Professional Care International株式会社 代表取締役 片山 海斗氏
19歳で介護事業所を立ち上げ、現在はProfessional Care International株式会社を率いる片山海斗氏。介護現場での体験を原点に、コンサルティングやDXサービスを通じて業界の変革を推し進めています。15名規模の組織ながら全国200社以上のクライアントを抱え、海外展開や政策提言まで視野に入れる若き経営者。その歩みや価値観、そして未来への挑戦について伺いました。
介護福祉業界に特化した事業展開
――御社の事業内容について教えてください。
当社は介護福祉業界に特化したコンサルティングファームです。介護事業所の運営支援や事業再生、コンプライアンス強化など幅広い経営課題に対応しています。最近はSaaS型のDXツール「プロケアDX」を開発し、書類作成や監査対応を効率化できる仕組みを提供しています。さらに海外人材活用をサポートする「プロケアグローバルタレント」事業もスタートし、インドネシア政府との連携を視野に入れながら、日本の介護現場における人材不足解決を目指しています。
19歳での起業と原点となった体験
――経営者になられたきっかけをお聞かせください。
中卒で就職先の選択肢が限られていた中、近所の方の紹介で介護の仕事を始めたのが原点です。現場では高齢者虐待を目の当たりにし、大きな衝撃を受けました。その経験から「介護業界を変えなければならない」という強い思いが芽生え、19歳で奈良に訪問介護事業所を立ち上げました。資金も人脈もない中で全国200ヶ所以上の施設を回り学び、経営者に育ててもらった経験は今でも財産です。
現在はコンサルタントとして、自身が培ったノウハウを体系化し、仕組みとして全国の事業所に届けています。売上の成長やセミナー登壇、商業出版の決定などもあり、自分の活動が確実に業界の改善につながっていると実感しています。
フラットな組織づくりとチームの在り方
――組織運営で意識されていることは何でしょうか。
現在は15名ほどの体制で、コンサルタントは4名、その他はエンジニアやデザイナーが中心です。社内は年齢や上下関係にこだわらず、役割で動くフラットな組織を目指しています。社員の9割は私より年上ですが、そこに壁はありません。
大切にしているのは「役割を果たすこと」と「自由に意見を出せる雰囲気」です。メディア運営やインサイドセールスなども仕組み化しており、クライアント獲得の90%以上をオウンドメディア「介護経営ラボ」から実現しています。営業をほぼ置かずにここまで成長できたのは、チームが知恵を出し合い効率的に仕組みを回してきた結果だと思います。
世界を視野に入れた未来構想
――今後の展望をお聞かせください。
直近では「プロケアDX」を全国に拡大し、介護事業所の経営をデジタルで支える仕組みを強化していきます。さらに海外人材の活用を推進し、介護を日本発の産業として世界に輸出できる体制をつくりたいと考えています。3年後には国の政策提言にも関わるシンクタンク的な存在になり、売上ベースで15億規模を目指します。
最終的なビジョンは、世界的な福祉の指標機関「ワールド・ウェルフェア・オーガナイゼーション」を立ち上げることです。WHOが医療の国際基準を示すように、福祉分野でも世界共通の枠組みをつくりたい。その思いが私の究極の目標です。
経営を支える価値観とリフレッシュの時間
――経営で大切にしている価値観や、リフレッシュ方法を教えてください。
私が大切にしているのは「本質的な課題解決」です。表面的な改善で満足せず、経営者に厳しいことも率直に伝えます。短期的な利益よりも、長期的に業界が良くなることを優先する姿勢を崩さないようにしています。
リフレッシュについては、妻と一緒にホテルのレストランで食事を楽しむ時間が癒しです。ただ本質的には仕事が一番の喜びであり、仮説が再現性をもって形になった瞬間に最も承認欲求が満たされます。プライベートの趣味は少ないですが、論文を読むことで新しい知見を取り入れ、経営に活かしています。
――これから起業を目指す方に一言お願いします。
「やるか死ぬか」です。起業は覚悟のある世界で悩むよりまず行動し、血を吐くくらいの努力を続けるしかありません。才能の有無ではなく、やり切れるかどうか。それだけが結果を分けます。
起業は決して甘いものではありませんが、その覚悟を持って挑み続ければ必ず道は開けます。自らの信念を貫き、未来を切り拓く力を信じて走り続けてほしい――それが、私からこれからの起業家へのメッセージです。

