株式会社シーク・シード 代表取締役 大貫 朗 氏
広告代理店・PR会社での豊富な経験を経て、2024年に株式会社シーク・シードを設立した大貫朗さん。日本と海外の距離をなくし、優れたプロダクトやサービス、コンテンツなどを世界へ届けたい——そんな想いから広告代理店に商社機能を融合した新しいビジネスモデルを展開しています。事業の軸、理念、そして未来への挑戦について伺いました。
日本と海外をつなぐ新しい商社モデル
――現在の事業内容とビジョンについて教えてください。
当社は、広告代理店と商社の機能を掛け合わせた新しいスタイルの企業です。国内外の優れた商品やサービスを発掘し、ブランディングから販売戦略まで一貫してサポートしています。
コンサルティングやPR支援、国内外のタレントやアーティスト・インフルエンサーのキャスティング、商品開発、輸出入まで幅広く手掛けており、韓国・中国・北米を中心にネットワークを構築中です。
社名「シーク・シード(Seek Seed)」には、「まだ世に知られていない種を見つけ、育てていく」という意味を込めました。特に地方企業には素晴らしい技術や商品が多く眠っています。それらを海外に広げ、また海外の良いものを日本に取り入れることで、世界との距離を近づけたいと考えています。
同時に、“売る”ことだけではなく、“価値を伝える”ことを使命としています。文化や商習慣の違いを超えて、共感の輪を広げることが、真のグローバル化だと信じています。
広告業界から独立へ。原点は“プロダクトの力”
――独立のきっかけや経営者としての想いを教えてください。
大学卒業後、広告代理店で営業やプロモーション戦略を担当し、街づくりや大規模施設の立ち上げなど、約10年間にわたり幅広い案件を経験しました。その後、PR会社で営業統括を務め、上場も経験しました。
多くの企業と関わる中で感じたのは、「本当に良い商品やサービスが正しく伝わっていない」という課題です。広告やPRはあくまで“伝える手段”であり、根本にあるのはプロダクトやサービスの力。その魅力を磨き、生活者に届く形で世の中に出していく仕組みをつくりたいと思い、起業を決意しました。
マーケティングの上流から関わり、社会に長く愛されるブランドを育てる――それが今の自分の使命だと感じています。
組織づくりと仲間へのリスペクト
――チーム運営やメンバーとの関わり方で意識していることはありますか。
現在は10名ほどの業務委託パートナーとプロジェクトごとにチームを組む、いわば“アベンジャーズ型”の体制を取っています。それぞれが専門領域を持つプロフェッショナルであり、お互いを尊重し合いながら仕事を進めるスタイルです。
今後、社員を採用する段階になれば、スキルよりも「熱意」や「主体性」を重視したいと考えています。量をこなす中でしか質は生まれません。経験よりも、やりたいことに本気で取り組む姿勢を大切にしたいと思っています。
また、規模が拡大しても“フラットな関係”を保ち、誰もが自分の意見を出し合える環境を守りたいです。挑戦と失敗を肯定できる文化をつくることこそ、創造的な仕事の土台になると考えています。
家族と過ごす時間が次の活力に
――日々のリフレッシュ方法を教えてください。
ジムとサウナで体を整え、休日は2人の子どもと過ごす時間を大切にしています。仕事への情熱が強い分、家族の理解と支えは欠かせません。
ストレスはあまり感じませんが、家族との時間が心のリセットになり、次の挑戦へのエネルギーになります。
どんなに忙しくても、笑顔で子どもと向き合う時間を確保することが、自分にとって大切なことです。
世界100か国とのビジネスを目指して
――今後の展望や挑戦したいことを教えてください。
最終的な目標は、「世界50〜100か国と取引を持つ企業になる」ことです。日本企業の多くは海外展開の必要性を感じながらも、ノウハウやリソースの壁に阻まれています。だからこそ、世界各国に信頼できるパートナーを持ち、共に成長できる体制を築いていきたいです。
また、廃棄される花を再利用してお酒の原料に変える「ロスイズモア」など、社会貢献型のプロジェクトにも力を入れています。単なるビジネスではなく、社会・企業・消費者の“三方よし”を実現する仕組みづくりを進めたいです。
今後は、AIやデジタル技術も積極的に取り入れ、国境を越えたコラボレーションを加速させたいと考えています。

