株式会社Peony 代表取締役 馬場 彩月氏
英語とダンスを掛け合わせた“グローバルダンスプログラム”で、子どもたちの感性と国際感覚を育む株式会社Peony。代表の馬場彩月さんは、海外でのバレリーナ経験を活かし、「英語を学ぶ」ではなく「英語で表現する」教育を展開しています。0歳からのレッスンを通して、誰もが自然に異文化とふれあい、自分の力を花開かせられる社会を目指している馬場さんに、お話を伺いました。
目次
英語×ダンスで広がる世界。楽しみながら育つグローバル感覚
――現在の事業内容と特徴を教えてください。
当社は「英語で学ぶダンスレッスン」を軸に、幼稚園・保育園・特別支援学校などに向けた教育プログラムを提供しています。外国人講師が毎月異なる国や文化をテーマにレッスンを行い、子どもたちは音楽や振り付けを通して自然に英語と世界を学びます。たとえば、7月はフランス革命の月に合わせ、フランスの伝統舞踊や音楽に挑戦するといった具合です。
もともと私自身が海外でバレリーナとして活動していた経験から、「英語を目的に学ぶのではなく、表現の手段として身につける」教育を目指すようになりました。英会話教室では学べない“生きた英語”を体験できる場をつくりたいという思いが出発点です。
社長も現場に立つ。リアルな教育の手応えを大切に
――どのような体制で運営されていますか。
現在、関東圏を中心に約17園と契約し、10名ほどの外国人講師が在籍しています。私は今でも現場に立ち、講師トレーニングや保育園での指導にも関わっています。教育現場は“生もの”なので、社長が現場を理解していないと課題に気づけません。現場の声を直接聞き、講師や園の要望に合わせて柔軟にプログラムを調整しています。
――講師のマネジメントで意識している点はありますか。
毎月のテーマや指導方針は提示しますが、細部までは決めすぎないようにしています。これは、講師それぞれの個性や得意分野を活かしてもらうためです。ヒップホップが得意な講師もいれば、クラシックが得意な講師もいます。自分の色を出しながら、子どもたちと一緒に楽しんでもらいたいと思っています。
教育を通じて「人のために」。成長を支える喜び
――これまでのキャリアの中で印象的だった出来事を教えてください。
特別支援学校での授業がとても印象に残っています。最初は「難しいかもしれない」と思っていたのですが、子どもたちは自分のペースで体を動かし、笑顔で楽しんでくれました。後日、「あれから毎日動画を見ています」と保護者の方から聞いたとき、誰かのきっかけになれた喜びを強く感じました。
また、講師が自主的に工夫をしてくれていたときも嬉しい瞬間です。例えば、テーマ国の文化を自分で調べて説明したり、子どもとの関わり方を改善してくれたり。私の理想を超える形で現場をつくってくれている姿を見ると、本当に頼もしく思います。
多文化共生を日常に。教育の力で世界を近づける
――外国人講師と日本の子どもたちをつなぐうえで意識していることはありますか。
特に気をつけているのは「文化的な感受性」です。たとえば黒人講師がサンタクロースの衣装を着てくれた際、子どもの何気ない一言に傷ついてしまったことがありました。その経験を機に、文化や人種に関する理解を子どもにも丁寧に伝えるようにしています。誤解や偏見を教育の機会に変えることが、私たちの大事な役割だと思っています。
睡眠と前向きな心が、次のエネルギーに
――プライベートのリフレッシュ方法を教えてください。
正直、プライベートの時間はほとんどありませんが(笑)、よく眠ることが一番のリセット方法です。あとは「ストレスを感じる選択をしない」ことを意識しています。人は期待が大きすぎるときにネガティブになるもの。自分の心の状態を整えながら、次の挑戦に向けてエネルギーを充電しています。
世界に広がるPeonyの花。次のステージへ
――今後の展望を教えてください。
現在は首都圏中心ですが、今後は名古屋や大阪など西日本にも展開し、さらに海外にも広げていきたいです。すでにカンボジアでダンススクールの立ち上げに携わっており、非認知能力を育むプログラムとして注目されています。教育を通して、英語力や表現力を“国の力”へと変えていけるような仕組みを作りたいですね。

