清花商事株式会社 代表取締役 清水秀之氏
清花商事株式会社は、2010年に創業され、熱関連製品の卸売事業を経て、現在は不動産賃貸業を中心に展開しています。2018年に二代目として清水秀之代表が事業を引き継ぎ、個人投資家に向けた「初心者大家向けの個別支援サービス(Shimizuコーチング)」にも注力。現場感覚を活かしたリフォーム支援や、不動産運用の実践的なサポートを行いながら、独自のスタイルで地域と不動産市場をつなぐ存在を目指しています。
不動産賃貸業へのシフトと現状
――現在の事業内容について教えてください。
当社は2010年に父が創業し、当初は熱関連製品の卸売を主事業としていました。しかし、時代の変化やキャッシュレス化の流れを受け、2018年に私が事業を引き継いでからは不動産賃貸事業に軸足を移しました。現在はアパートや区分所有マンションに加え、戸建を購入し賃貸する「大家業」および「リノベーション事業」に注力しています。
1戸あたり500万円以下の物件を中心に、郊外の千葉や埼玉といったエリアで取り組んでいます。建物は60〜70平米、土地は100平米前後の物件が多く、比較的手頃な投資額で始められるのが強みです。現在は8軒ほどの戸建を保有しており、実質利回りは平均で14〜15%前後。相場家賃に対して140~200%の実績家賃を実現しています。将来的には戸数を増やし、事業規模をさらに拡大していきたいと考えています。

エンジニア経験から経営者へ
――代表ご自身のキャリアについて教えてください。
私はもともとエンジニアとして、ソフトウェアと電気の中間領域の仕事に携わってきました。CADを使った設計検証やシステム開発など、SESに近い形で8〜9年ほど現場を経験しました。その仕事はやりがいもありましたが、夜遅くまで働く日々が続き、この先を考えたときに「自分の裁量で進められる事業を持ちたい」と思ったことが、経営者になった大きなきっかけです。
不動産は、自分が動けば成果が見える分野であり、資産形成という観点からも将来性を感じました。父の事業を継ぐ中で自然と舵を切り、不動産業へとシフトしていったのです。現在は大家業に加え、初心者向けの「Shimizuコーチング」を立ち上げ、不動産投資を始めたい方への個別支援を行っています。
現場に通い、職人と築く信頼関係
――組織運営や社員との関わりについて教えてください。
現在は私ひとりで事業を運営しています。経理や事務作業も含めてすべて自分で行っていますが、その分、現場での職人さんとのやり取りは非常に大切にしています。
1件のリフォームで20回近く現場に足を運ぶこともあります。単に作業をお願いするのではなく、雑談や近況を交えながら信頼関係を築くことが重要だと思っています。こうした地道な関わりが、職人不足が深刻化する中での強みになっています。すべてを業者に任せると費用がかさみ利回りも悪化しますが、信頼できる関係性を持つことで、コストを抑えつつ良い仕上がりを実現できるのです。
将来に向けた展望と挑戦
――今後の展望について教えてください。
今後は戸建て賃貸の件数をさらに増やしていきたいと考えています。その一方で、不動産業者との連携を通じた新しい取り組みにも注力したいです。ネットに出ない「水面下物件」は価値が高く、そうした情報を投資家に紹介し、私自身の経験をもとにアドバイスを行う仕組みを構想しています。
また、空き家問題も大きな社会課題です。地方都市を中心に空き家が増え続けていますが、適切にリフォームすれば十分活用できる物件も多く存在します。そうした物件を活かし、住宅需要と地域の課題解決を両立できる仕組みをつくることも、これからの挑戦の一つだと考えています。
一人ひとりに寄り添う支援と経営への想い
――最後に、経営者として大切にしていることをお聞かせください。
私は「一人ひとりに合った支援を届けたい」という想いを大切にしています。不動産投資を始めたいけれど何から手を付ければよいかわからない、融資や資金面に不安を抱えている──そうした方々に寄り添い、安心して一歩を踏み出せる環境を整えることが、自分の役割だと思っています。
今後も現場で培った経験と人とのつながりを活かしながら、一歩ずつ着実に不動産事業を広げていきたいです。初心者大家を支える個別支援や空き家活用の取り組みを通じて、地域と共に成長していく会社を目指していきます。

