WEHOME合同会社 代表 黒坂 峻輔氏
宿泊を“遊び”として再定義し、地域と人をつなぐ新しい形を提案するWEHOME合同会社。
「ASOBUを自由に、宿泊をもっと自由に」という理念のもと、代表の黒坂峻輔氏は、枠にとらわれない発想で宿泊業界に新しい価値を生み出しています。本記事では、遊び心を軸に、仲間や地域とともに挑戦を続ける黒坂代表に、事業への想いと今後の展望について伺いました。
目次
宿泊事業を軸に、“遊び心”で人と地域をつなぐ
――まず、現在の事業内容について教えてください。
当社では宿泊業を主軸に、宿泊施設の立ち上げや運営を支援するコンサルティング、レンタルスペースやレンタカー事業などを展開しています。現在は特に宿泊事業に注力しており、「宿泊そのものを目的にしてもらう体験づくり」を重視しています。
私たちの宿は、観光の“ついで”ではなく「宿に泊まること自体が楽しみになる場所」を目指しています。たとえば、宿泊者同士が自然に打ち解けられるよう、トークゲームやカードなどの交流アイテムを設けています。宿での時間を通じて“人と人がつながる”ことが、WEHOMEならではの価値だと思っています。
経営者としての原点――“挑戦することを恐れない”
――独立のきっかけを教えてください。
前職は大手ホテルチェーンで首都圏のマネージャーを務めていました。企業の方針に縛られず、もっとお客様と近い距離で自由に表現できる場所をつくりたいという想いが独立の原点です。
実は学生時代はパイロットを目指しており、自衛隊や海外留学を経て夢を追っていました。しかし、その過程で「苦しさの先にある夢」ではなく、「楽しみながら挑戦する人生を選びたい」と思うようになったんです。ホテル業で出会った“人と空間のつながり”に惹かれ、そこから経営の道に進みました。
経営者として大切にしているのは、失敗を恐れず挑戦を続けること。会社の合言葉でもある「遊ぶを自由に」という理念のもと、働くことそのものを楽しめる環境をつくりたいと考えています。
仲間と共に成長する組織へ
――社員との関わり方で大切にしていることは何でしょうか。
創業当初は自分の理想を押し付けてしまい、結果的に社員が離れてしまったこともありました。そこから学んだのは、「任せる勇気」の大切さです。今は社員が自ら考え、責任を持って行動できるよう、できるだけ発言を抑え、役職も譲るようにしています。
また、定期的に“旅行会”を開いて、全員で他の宿泊施設を訪れたり、新しい体験を共有するようにしています。現場を離れて外の世界を見ることで、サービスの本質を考えるきっかけになる。学びとリフレッシュを兼ねた時間が、チームの成長につながっていると思います。
「会社の雰囲気をつくるのは代表ではなく社員」。その意識を共有しながら、信頼し合えるチームを育てています。
宿泊業に革命を――“泊まる”の先にある体験を提供したい
――今後のビジョンを教えてください。
宿泊業界では、いま“貸切宿”という新しいスタイルが注目されています。私たちは、その分野に特化した宿泊ポータルサイトを独自に開発し、業界トップシェアを目指しています。
さらに、廃校や廃集落を再生して宿泊施設に変える「地域再生型プロジェクト」にも挑戦中です。たとえば静岡県の旧小学校をリノベーションし、地域の交流拠点として年間6,000人が訪れる施設に再生しました。次の目標は、“村ごと宿泊施設にする”という構想です。廃墟化した地域を丸ごと買い取り、街全体を宿泊体験に変える――そんなスケールの大きな挑戦を進めています。
これからも、宿泊という枠を超えて地域と人をつなぐ新しい仕組みを生み出し、業界に新たな風を吹き込みたいと考えています。
家族から学ぶ、“素直に生きる”ということ
――仕事以外で大切にしていることを教えてください。
最近、子どもが生まれて、毎朝ぎゅっと抱きしめて送り出す時間が一番の癒しになっています。経営も子育ても“失敗と挑戦の繰り返し”で、正解がないという点では共通しています。だからこそ、常に素直に、愚直に向き合っていきたいと思っています。
趣味というほどのものはありませんが、家族の笑顔を見ることが何よりのリフレッシュですね。
これからも、仲間や家族とともに成長を重ねながら、誰もが笑顔で過ごせる“居心地の良い場所”を全国に広げていきたいです。

