共歩ビジネスパートナー 代表 西田義宏氏
税理士法人での実務を経て独立し、社外CFOとして中小企業の右腕を担う西田義宏氏。売上づくりだけでなく、「資金を守る・増やす」までを設計し、24時間365日で意思決定を支える伴走型の支援が持ち味です。プロジェクト完結型ではなく、社長の生活リズムに寄り添う関係性や、時に報酬の一部を株式で受け取り資産形成も視野に入れる独自のスタイルを貫く西田氏に、独立の背景から今後の展望までを伺いました。
社外CFOの役割と提供価値
――現在提供しているサービスの全体像を教えてください。
紹介のみで案件をお受けし、ワントップのオーナー社長に寄り添う伴走型の財務コンサルを行っています。資金計画、融資設計、管理会計の仕組み化はもちろん、現場のスケジュール管理や資料整理まで踏み込み、毎月の数値モニタリングから経営指針とアクションプランを共同で策定しています。
――仕事をする上で心がけていることは何でしょうか。
深夜や早朝の連絡にも即対応し、「思いつき」を意思決定のタイミングに変えることです。顧問料は過度に高額化せず、状況に応じて報酬の一部を株式で受け取り、将来のキャピタルゲインを見据えた“財務収益”の設計にも寄与します。
独自のスタイルを貫く経営観
――他のコンサルティングと比べた際の違いと、仕事の軸は何でしょうか。
軸は「日常の意思決定を支える右腕」です。プロジェクトの完了をゴールにせず、社長の生活リズムに合わせた24時間365日の伴走で、迷いが生まれた瞬間に共に判断します。
上場やM&Aを前提としない「持続経営」に焦点を当て、事業収益だけでなく株式による資産形成も含めて総合的に設計します。税率や社会保険の影響も踏まえ、手元資金を減らさない意思決定を最優先に据える姿勢が、結果として挑戦余力を生むと考えています。
外注・標準化で支援の質を高める取り組み
――体制づくりや関わり方で意識していることを教えてください。
基本的に、フリーランスとして少数精鋭で向き合っています。自分でなくてもできる業務は外注や標準化、顧客側への内製移管を進め、私が担うのは「意思決定に直結する領域」です。
事業計画書の個社調整やフォーマット整備などはテンプレートを磨きつつ、将来的には顧客内で完結できるよう伴走します。銀行融資診断士としての知見も活かし、金融機関との関係構築や資金調達の地ならしまで含めて支援しています。
5倍成長への道筋と注力領域
――今後の目標を教えてください。
目標は3年で売上を5倍にすることです。既存顧客からも単価改定のご提案をいただいており、提供価値と報酬の整合を丁寧に進めています。新規顧客に関しては紹介中心を維持しつつ、資金スパンが長く財務設計が肝となる建設業界との接点を増やしていきたいです。
加えて、売上拡大に資するAI活用をクライアントと共に検証し、見込み創出や意思決定支援に実装していくことも考えています。将来的には、社外から参画した企業に正式ジョインする形や、私の手法を体得する後進を少人数で育てる構想も練っています。
――これから注力したい領域はありますか。
事業の標準化にも力を入れていきたいと考えています。属人化しやすい財務支援を仕組みとして整理し、誰が見ても再現できる型に落とし込むことで、支援の幅と質を一定に保ちたいからです。
特に、資金繰りの可視化や経営計画のテンプレート化は中小企業にとって大きな武器になります。これらをオンラインでも利用できる形に整備することで、私が直接支援できる企業以外にも価値を届けられると感じています。財務を「わかりやすく、実行しやすく」する取り組みを、今後さらに広げていきたいです。
交流会運営と信頼のつくり方
――交流会を主催されていると伺いました。目的を教えてください。
毎回、10〜15人程度の少人数制で交流会を開いています。名刺交換で終わらず、雑談から関係を深める会です。出身地や趣味といった「人となり」の接点から信頼が生まれ、結果として自然なビジネスマッチにつながっています。
ここで私は直接顧客獲得を狙うことはせず、むしろ参加者の後ろにいる方々へ価値が広がることを良しとしています。人間関係を大切にする姿勢が、私の仕事の質を底上げしてくれると感じています。
家族と趣味が支える「右腕」の原動力
――お仕事以外で大切にしていることや、リフレッシュ法を教えてください。
仕事以外は、3人の子どもと過ごす時間を最優先にしています。土日や長期休暇は家族中心で、夜はギターを弾いたり、ひとりで軽く飲みに出て心を整えています。
独立後、肩書きがなくなって離れた縁もありましたが、同時に世界は大きく広がりました。数字だけで会社を語るのではなく、「どのように生きたいか」という価値観まで共有しながら並走することが、私の理想とする支援の形です。
経営は、お金が尽きたらゲームオーバーです。だからこそ「減らさない設計」を土台に、挑戦できる余白を増やす支えでありたいと思います。

