「誠実なものづくりで未来を拓く」――元プロボクサーが率いる丸心産業の挑戦

1970年創業の丸心産業株式会社は、ゴムやプラスチックなどの素材加工を通じて、通信機器や医療機器、自動車部品など幅広い分野を支えてきました。

現在、代表取締役を務めるのは元プロボクサーという異色の経歴を持つ小口幸太氏。培ってきた「勝負への覚悟」を経営に生かし、社員が自立して輝く組織づくりに挑戦しています。

今回は、小口氏にこれまでの歩みと組織づくりの考え方、そして丸心産業が目指す未来について伺いました。

「誠実なものづくりで信頼を築く――一貫体制が生む安心と品質

まず、御社の事業内容と特徴について教えてください。

当社は、1970年の創業以来、ゴムやプラスチックといった素材を中心に、試作から量産までを一貫して手がける加工メーカーです。通信機器や車載機器、医療機器など、幅広い分野の製品に関わっており、お客様のニーズに合わせたオーダーメイドの対応を強みとしています。長年の実績を通じて培った技術力と柔軟な発想力を掛け合わせ、少量多品種のご依頼にも迅速に応えられる体制を整えています。

他社にはない特徴やこだわりはどのような点でしょうか。

丸心産業の特長は、小規模ながらもフットワークの軽さを活かし、スピーディーかつ柔軟に対応できることです。単に部品をつくるのではなく、素材の選定段階からお客様と一緒に考え、最適な加工方法を提案しています。ゴム・スポンジ・プラスチックフィルム・両面テープなど多様な素材を扱い、それらを組み合わせる「複合加工」にも対応できる点は当社ならではです。さらに、試作品の段階から量産までを同一ラインで管理することで、品質の安定とコスト削減を両立しています。

経営のうえで大切にしている理念を教えてください。

私たちが一貫して大切にしているのは「誠実なものづくり」です。どんなに小さな案件でも手を抜かず、納期や品質を守り抜くことで信頼を積み重ねてきました。近年ではSDGsへの取り組みにも力を入れており、環境に配慮した素材や工程の導入を進めています。お客様、仕入れ先、社員など関わるすべての人に誠実であること。ものづくりの現場から社会を支え、次世代に誇れる企業でありたい――それが丸心産業の変わらぬ想いです。

プロボクサーから経営者へ――「勝負の舞台」を変えて挑む覚悟

小口社長が家業に入られた経緯を教えてください。

私は高校卒業後、プロボクサーとして上京し、宮田ボクシングジムに所属していました。内藤大助さんが在籍していたチームでもあり、長い下積みを経て日本ランカーとしてリングに立っていました。しかし、30歳のときに結婚を機に現役を引退。これを機に家業である丸心産業に入社しました。もともと実家の事業を継ぐつもりはなかったのですが、挑戦を続けてきた性格上、「新しいステージで勝負してみたい」と思ったのがきっかけです。ボクシングと経営は一見異なるようで、実はどちらも“戦略と覚悟”が問われる世界。勝つために自分を律し続ける姿勢は、今も変わっていません。

未経験からのスタートに不安はありませんでしたか。

正直、最初は戸惑いの連続でした。一般企業での勤務経験もなく、パソコン操作さえ手探りの状態でしたからね。ただ、ボクシングで培った「自分に打ち勝つ力」と「継続する粘り強さ」は大きな財産になりました。その後、独立行政法人・中小企業大学校の後継者研修に通い、経営や財務の基礎を体系的に学びました。実践を重ねるうちに、自分なりの経営スタイルを見いだせるようになったと感じています。

経営者として意識が変化した瞬間はありましたか。

ここ3年ほどで、社内体制や社員の意識改革に本格的に取り組んできました。ボクシング時代の経験を通じて、「人が成長するには環境づくりが何より大切」だと実感していたからです。当初は自分の常識と社会の常識のギャップに悩むこともありましたが、いまはその個性こそが自分の強みだと思っています。勝負の世界で磨いた集中力や人との関係構築力を、経営にも活かせると確信しました。「自分のやり方で会社を強くする」そう決意してから、迷いはなくなりましたね。

「任せて育てる」――社員一人ひとりが主役の組織づくり

現在の組織運営で意識されていることを教えてください。

私が会社を継いだ当初は、今よりも規模が小さく、現場中心の体制でした。先代は創業者の想いを受け継いで会社を守り抜いてきた人で、経営者でありながら実務もこなす“現場型”のスタイルでした。私はその流れを尊重しつつも、「組織として自走できる体制をつくる」ことが次のステージだと考えました。そこで、各部門のリーダーに明確な権限と責任を与え、自分の判断で動ける環境を整えたんです。社員を“信じて任せる”ことが、会社を成長させる最大の力になると実感しています。

社員の方々の意識や行動に、変化は感じますか。

大きく変わりましたね。最初の1~2年は、外部研修や社内講師を招いた勉強会を積極的に導入しました。業務に直結しないテーマであっても、人との交流を通じて視野を広げてほしいという思いがありました。そうした取り組みを続けるうちに、社員自らが社内イベントや改善案を企画するようになり、少しずつ“自走する組織”へと成長してきました。今では、部署ごとに目標を立て、互いに刺激し合いながら動けるチームができています。

経営者として、どのようなスタンスで社員と関わっているのでしょうか。

私は“現場に出ない社長”です。営業や納品などの実務はすべて社員に任せ、自分は会社全体の仕組みづくりと方向性の舵取りに専念しています。もちろん、ただ任せるだけではなく、各部署のリーダーを招集して新しいシステムやIT化のアイデアを共有する場を設けています。参加はあくまで自由ですが、「挑戦したい」と手を挙げる人を中心にチームをつくることで、自主性と前向きな空気が生まれています。社員の“やってみたい”を尊重することで、組織全体に挑戦の文化が根づいてきました。社員一人ひとりが主役として輝ける環境を整えることが、今の私の最も大切な仕事です。

「見える化」と「自立」を軸に、強い組織を次世代へつなぐ

今後、会社をどのように発展させていきたいとお考えですか。

今はまさに“第二創業期”のようなタイミングだと思っています。先代から引き継いだ20名規模の会社も、現在は売上が3倍となり、社員数も増加しました。組織として成長するなかで重要なのは、個人と会社の双方が納得できる「見える化」だと考えています。
その一環として、退職金制度や人事評価制度の整備を進めています。どの役職に就けばどのような手当がつくのか、昇給・昇格の基準を明確にすることで、社員一人ひとりが将来を具体的に描けるようにしたい。見えない不安を可視化すれば、会社も個人も次の一手を打てます。これは、私自身が現場や経営を経験して痛感したことです。

制度面だけでなく、人づくりにも力を入れていると伺いました。

社員には常々「丸心産業にいるうちに、どこへ行っても通用する人材になってほしい」と伝えています。転職を否定するのではなく、むしろ“前向きな転職”を歓迎しています。自分を磨き、他社から声がかかるほどの実力を身につければ、それは会社の誇りでもありますし、結果的に組織の底上げにもつながると考えています。実際、資格取得を希望する社員には全面的に支援しており、自分の意思で学び・挑戦する風土を大切にしています。

社員の皆さんへのメッセージをお願いします。

社員一人ひとりが優秀であるからこそ、ここまで成長できました。私は社長として特別なことをしているわけではありません。むしろ「自分は完璧ではない」と伝えることで、社員が主体的に動き、会社を良くしてくれると信じています。「この会社を踏み台にして、もっと強くなってほしい」そういう気持ちで日々社員と向き合っています。結果として、その成長が丸心産業の未来をつくるのだと思います。

自分を磨くことが最大の趣味――「自分を好きでいる努力」を続ける

経営以外で、夢中になっていることやリフレッシュ方法を教えてください。

昔からトレーニングが好きで、今でも時間を見つけては体を動かしています。トレーニングというと「鍛える」イメージが強いかもしれませんが、私にとっては“自分と向き合う時間”でもあります。体を動かすことで頭が整理され、新しい発想が浮かぶことも多いですね。仕事で大きな決断をするときも、トレーニング中に気持ちを整えてから臨むようにしています。少し驚かれるかもしれませんが、私は自分自身が大好きなんです。自分を信じて努力し、理想の姿に近づいていくプロセスこそが楽しい。どんな環境にあっても、自分の手で人生をつくり変えていけると思っています。

その考え方は、社員にも伝えていらっしゃるのでしょうか。

はい。社員にも「自分を好きでいられる生き方をしてほしい」と伝えています。うまくいかないことがあっても、それを環境のせいにせず、自分がどうありたいかを常に考えてほしい。どんなに厳しい状況でも、自分の選択で人生を切り開いていくことができる――そういう姿勢を大切にしてほしいと思っています。

経営も人生も、最後は“自分次第”。トレーニングを通じて心身を整えながら、これからも自分らしく挑戦を続けていきたいです。

著名人との対談動画

【現役時代1番殴りあった異色の経歴の社長とビジネス哲学を話したら、深い話が聞けました】
URL:https://www.youtube.com/watch?v=PqrUpEzMfIg&t=822s

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