特定非営利活動法人 日本サポートマーク普及協会 理事長 池田 勧氏
特定非営利活動法人 日本サポートマーク普及協会は、病気や障がいを抱える人が安心して暮らせる社会を目指し、「助けたい」という思いを形にする“サポートマーク”の普及活動を行っています。マークを通じて「助けを必要とする人」と「助けたい人」をつなぎ、誰もが自然に支え合える環境づくりを進めています。本記事では、理事長の池田勧氏に、設立の経緯や活動への思い、今後の展望について伺いました。
目次
“助けたい”気持ちを形にするために
――活動内容について教えてください。
当協会では、困っている人を見かけたら自然と声をかけられるような社会をつくるため、「サポートマーク」という仕組みの普及をしています。ハートのマークを中心に青の缶バッジやキーホルダー、ステッカーなどの形で展開し、「助けたい」「支えたい」という思いを持つ人が身につけることで、周囲にその気持ちを伝えることができます。
マークを通して支援の輪を広げると同時に、賛同いただいた方には賛助会員として活動を支えていただいています。現在は全国的に認知を広げるため、企業や自治体とも連携しながら啓発活動を続けています。
自身の経験から生まれた「もう一つのマーク」
――設立のきっかけを教えてください。
私自身、障がいを負ったことをきっかけに「ヘルプマーク(赤のハートマーク)」を身につけて生活をしていました。しかし実際には、マークをつけていても助けてもらえる機会はほとんどありませんでした。助けてほしいという意思を示すマークはあっても、「助ける側」を示すマークは存在しません。その現状を痛感したことが設立の原点です。
子どものころから「困っている人がいたら助けなさい」と教えられて育ちました。けれども今は、声をかけること自体が難しい時代。誤解を恐れて行動をためらう人も少なくありません。だからこそ、「この人になら助けを求めても大丈夫」と信頼できる目印が必要だと考えました。それが“サポートマーク”です。
健康支援と社会活動、二本柱の取り組み
――現在の活動の軸や今後の展望についてお聞かせください。
サポートマークの普及に加え、もう一つの柱として「ドクター水素ボトル」という水素ガス吸入器の普及にも取り組んでいます。水素ガスに関する研究は世界で進んでおり、心身の健康維持をサポートする可能性があると考えています。水素ガス吸入によって自身の体調が改善した経験から、病気や障がいのある方にも正しい知識を届けたいと思いました。
このように、非営利の普及活動と、営利事業としての健康支援を両輪で進めることで、協会の運営を安定させつつ、持続的な支援の形を模索しています。SDGsへの関心が一時期よりも薄れつつある今だからこそ、「誰かを思いやる行動」を継続的に社会へ広げていくことが重要だと感じています。
思いに共感し、動ける仲間とともに
――組織運営における課題や工夫について教えてください。
現在は理事長の私を含め、理事3名、幹事3名の体制で運営しています。資金面の制約もあるため、基本的にはボランティアでの活動になります。そのため、強い思いを持ち、自主的に動いてくれる仲間の存在がとても大きいです。
日常のコミュニケーションはグループLINEを活用し、意見交換や進捗共有をこまめに行っています。スタンプ1つでも意思表示になるよう、発言しやすい雰囲気づくりを大切にしています。小さな組織だからこそ、全員が対話を通じて関われる関係性を意識しています。
「困っている人を助けたい」という原点を忘れずに
――活動を続ける上で大切にしている価値観は何でしょうか。
私の原点はただ一つ、「困っている人を助けたい」という気持ちです。協会のホームページにも掲げていますが、サポートマークはその思いを“見える形”にしたものです。自分が助けてもらえなかった経験を通じて、誰かの力になりたいと強く思うようになりました。その気持ちを忘れず、今後も一歩ずつ活動を続けていきたいと思います。
社会全体で支え合う文化をつくるために
――皆さんに伝えたい想いはありますか。
病気や障がいの有無にかかわらず、誰もが安心して暮らせる社会を目指して活動を続けていきます。マークをきっかけに、人と人とのあたたかな関係が再び日常に戻ってくる。そんな未来を描きながら、「支え合う心の輪」をこれからも広げていきます。

