株式会社JOY MUSICAL 代表取締役 山崎義也氏
ミュージカル教育と公演制作の両軸で子どもたちの成長を支える株式会社JOY MUSICAL。代表の山崎義也氏に、創業の背景、スクールへの想い、公演事業の挑戦、組織づくりの価値観、そして今後目指す未来について伺いました。
目次
子どもの“人間力”を育むミュージカルスクールの現在
――現在の事業内容と特徴について教えてください。
当社は「ジョイキッズミュージカルスクール」の名称で、東京都清澄白河を拠点に子ども向けのミュージカルスクールを運営しています。4歳から高校生まで約200名が在籍し、ダンス・歌・演技を通して「表現力」「コミュニケーション力」「継続する力」を育むことを大切にしています。スクールはフランチャイズも展開しており、千葉県柏市と神奈川県平塚市の2拠点でも同じ理念のもと運営されています。
――理念として大切にしていることは何ですか。
私たちは“子役養成”ではなく、子どもの総合的な成長にフォーカスしています。表現する場があることで、子どもたちは自己肯定感が育ち、学校や日常生活でも積極性が生まれます。保護者の方から「性格が明るくなった」「自信がついた」という声をいただくことも多く、教育としてのミュージカルに大きな可能性を感じています。
ミュージカルを“教育”に――山崎さんの原点と転機
――スクールを始められたきっかけを教えてください。
私は劇団四季の俳優として9年間舞台に立ってきました。その経験を通して、ミュージカルには人を成長させる力があると感じ、2009年に妻とともにスクールを立ち上げました。最初は数名からのスタートでしたが、子どもたちの成長が口コミとなり、今の規模まで広がりました。
――フランチャイズ化が進んだ理由は何でしょうか。
劇団四季時代の仲間が「地元で同じ理念のスクールを開きたい」と相談に来てくれたのがきっかけです。信頼関係があるからこそ理念の共有がスムーズで、同じ価値観で子どもたちと向き合える。看板を広げる以上、誰でもよいわけではなく、教育に対する想いが共通していることを最も大切にしています。
――15年間の中で最も印象的だった出来事は?
やはりコロナ禍です。2019年に法人化し、これからというタイミングでスクールも公演も中止。2年連続で公演ができず、子どもたちに中止を伝える瞬間は胸が締めつけられました。ですが、あの経験が「必ず次の年にもっと良い舞台をつくる」という強い決意につながりました。
小さな組織だからこそできる運営と信頼のつくり方
――組織運営で意識していることを教えてください。
社員は私と妻の2名のみで、講師やスタッフはプロフェッショナルの外部人材に委託しています。少人数でも質の高い運営ができるのは、信頼できる専門家たちとの協力体制があるからです。子どもたちの前に立つ講師は特に重要で、技術だけでなく教育的な視点を持つ方にお願いしています。
――課題に感じていることはありますか。
公演事業の拡大には営業力が必須ですが、現状は私一人で担当しており十分とは言えません。スポンサー開拓やチケット販売の強化、マーケティング体制の構築が今後の大きな課題です。
公演事業の拡大と地方上演――描く未来の姿
――今後挑戦したいことを教えてください。
毎年上演しているミュージカル『冒険者たち〜この海の彼方へ〜』の規模をさらに拡大したいと考えています。今年は初めて新国立劇場 中劇場で4公演を行い、3600名を動員しました。将来的には10公演・1万人規模を目指し、企業協賛やメディア連携も強化したいです。
また、地方公演にも挑戦したいと思っています。すでに岡山県から上演依頼があり、地域の子どもたちが参加できる形で広げていく可能性を感じています。スクールについては直営を増やす予定はなく、信頼できる方とのフランチャイズ展開を進めていきたいと考えています。
舞台が“仕事であり趣味”――山崎さんのリフレッシュ
――仕事以外でリフレッシュされる時間はありますか。
舞台鑑賞は私にとって趣味であり、同時に大きな学びの時間でもあります。映画や音楽からも刺激を受けますし、子どもたちの指導や作品づくりにも良い影響があります。プライベートでは家族と海や山へ出かける時間が心を整えるひとときで、 愛犬のトイプードルの散歩は日々の癒しです。仕事を少し離れて過ごす時間があるからこそ、また新しい舞台づくりや教育に向き合えると感じています。
今後も、ミュージカルの力で子どもたちが自分らしさを伸ばせる環境を広げたいと思っています。スクールや公演事業がさらに多くの地域へ広がり、より多くの子どもたちが“表現する喜び”と出会える未来をつくっていきたいです。

