税理士はオールマイティではない─専門性で勝負する、経営の伴走者

「税理士はなんでも屋ではない」

そう語るのは、税理士法人ミライヲカタル代表の川村周平氏。月次顧問や申告業務をあえて手放し、相続や事業承継といった“経営の外科手術”に特化したスタイルで独自の存在感を放っています。広告業界出身という異色のキャリアを持つ川村氏は、経営者にとって何が最善かを魂のこもった提案で導いています。

今回はその原点と、描いている未来の構想についてお話を伺いました。

すべての税理士が“万能”とは限らない

まずは御社の事業内容とスタンスについて教えてください。

私は「税理士法人ミライヲカタル」という少数精鋭の専門家チームを率いています。
よくお客様にお伝えしているのは、「税理士=なんでもできる万能職」ではない、ということ。

税務顧問の先生に会社や個人、相続のことまで丸ごと任せている経営者の方も多いですが、実際には税理士にも得意・不得意があります。

私は、医師で例えるなら「外科専門」。日々の会計や申告書の作成といった「内科」的な業務は手放し、資本政策や事業承継といった経営の外科手術に特化しているのが特徴です。

月次顧問業務などの定常業務は行っていないのですか?

基本的にはお引き受けしておりませんが、資本政策などをきっかけに法人顧問契約を締結させていただいているお客様も現在約30社ほどいらっしゃいます。どうしても必要な場合は、信頼できる仲間とチームを組んで対応するケースもあり、柔軟に対応しています。DMや広告も一切打たず、完全に紹介ベースでお客様と出会い、どこへでも足を運んでいます。遠方の場合は、オンラインでの対応も柔軟に取り入れています。

紹介でお会いした経営者には、セカンドオピニオンのような形で今抱えている課題を整理し、私ならこういう選択肢がありますよ、とお伝えしています。

実際には、どのような課題に対応されることが多いのでしょうか?

非上場のオーナー企業に多いのが「自社株の評価が上がりすぎて、相続のときに困る」というケースです。資産の大半が株式になり、納税の原資が足りないという問題ですね。

そこで、会社分割や、ホールディングス体制にするなどの組織再編や生前贈与を活用し、最適な株式承継のご提案を行っています。数億単位のメリットが出ることも珍しくありません。その成果に応じて報酬を頂く形にしています。

提案に魂を込めることの原点

川村さんのご経歴は少し異色ですよね。

最初のきっかけは大学1年のときに落ちた「簿記3級」でした(笑)。仲間にバカにされて、見返してやろうと勉強を続け、最終的には簿記1級まで取得しました。その勢いで公認会計士の資格も取り、大手の監査法人に就職しました。

会計士としてのキャリアを積まれたんですね。

はい。ただ、実際に働いてみると、仕事の内容に違和感を覚えました。監査法人では、お客様の数字を疑ってかかるのが仕事。信頼ではなくルールで動く世界で、自分には合わないと感じたんです。

もっとお客様と直接向き合いながら提案できる環境を求めて、次のステップとして税理士法人へ転職し、相続や事業承継の現場を経験しました。

とにかく厳しい職場で、上司から提案書を破られるような日々。でもその中で本物の実力が身についた実感があります。

その後、広告業界にも?

ご縁があってテレビ局系列の広告部門に転職し、営業やイベント企画、新規事業の立ち上げを担当しました。数千万円規模の屋外広告事業をゼロから立ち上げ、年間6000万円規模に育てるなど、仕組みづくりと人の動かし方を現場で学びました。

当時は、ある意味“泥臭い”とも言える飛び込み営業やテレアポを一日中行うような業務にも体当たりで取り組みましたし、コロナ禍でそもそも屋外に人がいないという厳しい状況下で、屋外広告を売るというジレンマにも直面しました。そうした逆風の中で、営業としての粘り強さや突破力、そしてマインドが鍛えられたと感じています。

思い切って仲間とともに個人の税理士事務所を立ち上げ、現場での提案や実務を通じて相続や事業承継の案件に数多く携わりました。

その後は、M&Aや資本政策を手がける「株式会社ミライヲカタル」の情報開発担当として、事業にも関わるようになりました。昔から憧れていたM&A仲介業務の情報開発に携わる中で、単純な譲渡型のM&Aだけでなく、会社分割や持株会社化など、組織再編を絡めたM&Aに関する複合的なご提案が、お客様にとってご満足いただけるケースもあるのだと、実務を通じて実感するようになりました。

それを機に、M&Aが絡むかどうかに関わらず、「オーナー家の立場に立ち、最も喜ばれる提案をフルオーダーで行う」ことを今のモットーとしています。

会計・税務・事業構造・人の想いのすべて掛け合わせる「総合格闘技」のようなスタイルで、提案力を日々磨いています。

「魂の提案」という考え方に至ったきっかけは何だったのでしょうか?

2年ほど前、個人の所得ベースで年間1億円を超える保険営業の方と出会ったんです。その方のお客様に偶然私が提案をする機会があり「川村さんの提案、悪くないけど、押し切り感がある」と言われてハッとしました。

そのとき、自分は「成果を出したい一心で、お客様の気持ちまで見えていなかった」と気づきました。それからは、A案・B案・C案と複数の選択肢を用意し、「税制的に最も有利と考えられる案」だけでなく「親族関係、心情等と考慮した案」を示すようにしています。

1社1社、ものすごく手間はかかります。でも、それが「魂のこもった提案」につながると信じています。

「戦友」と築くチームのかたち

現在の組織体制について教えてください。

社内の正式メンバーは、私と共同代表の佐竹、そして佐竹の奥様の3名です。加えて、法人税や顧問対応を得意とするグループ会社のメンバーが3名ほど業務連携しており、実質的には6名体制で必要に応じてフル稼働しています。

また、M&A仲介を専門とする株式会社ミライヲカタルでは、約10名ほどのメンバーが在籍しており、専門性を活かした支援をより幅広く展開しています。案件ごとにチームを組み、柔軟かつ実行力のある体制で対応しています。

特徴的なのは、オフィスを持たずに完全リモートで運営している点です。お互いの家が車で5分圏内なので、必要があればすぐ集まれる距離感。普段はチャットやクラウドで業務を進めながら、それぞれのライフスタイルを尊重した働き方をしています。

 共同代表・佐竹さんとの関係性についても教えてください。

彼とは前職の税理士法人で出会いました。

当時はかなり厳しい職場環境で、深夜残業もハラスメントも当たり前。お互いに心身を削りながら、なんとか乗り越えてきた間柄です。

性格は真逆。私はスピード型で感覚で動くタイプですが、佐竹は思慮深くて堅実。私が前のめりになった時には彼がブレーキをかけてくれますし、逆に彼が慎重すぎる時は私が背中を押す。そうした信頼関係があるからこそ、言葉を交わさずとも阿吽の呼吸で動けます。

彼の奥様もチームの要で、子育ての合間に帳簿管理やタスクの進行を担ってくれています。「家族経営」と言ってもいいほど、互いの強みと役割がかみ合った理想的なチームです。

チーム運営におけるこだわりは何ですか?

一番大切にしているのは「相手の立場に立つこと」。これはお客様に対しても、チーム内でも同じです。

たとえば佐竹は子育ての時間を最優先。日中は家庭中心に動き、夜の静かな時間に集中して仕事を進めます。私は逆に朝型で、ほぼ一日中動けるタイプ。稼働時間が違っても、タスクと報告のルールさえ整っていればまったく問題ありません。

そしてもう一つ大事なのは「弱音を言える空気」です。体調が悪い、気分が乗らない…そんな時に「ちょっとしんどい」と言える関係性こそが、真に信頼し合えるチームだと考えています。

拡大しないからこそ生まれる価値

今後の事業拡大についての考えを教えてください。

実は「拡大しない」というのが僕らの明確な方針なんです。10年後も今と変わらず、10人以下の少数精鋭体制でいたい。

世の中的には、顧問先をどんどん増やし、人を雇い、支店を構える。そんな成長モデルが主流かもしれません。でも僕たちは、1件1件にしっかり時間をかけて、本質的な提案をしていく方が性に合っているんです。

限られた人員で依頼をどう取捨選択していますか?

ありがたいことに、紹介だけでご依頼が増え続けていますが、「誰でも受ける」というスタンスは取りません。

初回面談の段階で、顧問の先生で十分対応可能と判断すれば、無理に関与せずに丁寧にお断りします。逆に、株価の高騰や相続リスクが明らかな場合は、早めにご提案させていただく。いずれにしても、相手の時間軸を尊重しながら、必要な時に最善の選択肢を出すことを心がけています。

どのような社会的な役割を果たしていきたいと考えていますか?

「株価が上がる=良いこと」と思っている経営者は多いですが、裏を返せば、それは相続税という地雷にもなり得ます。私たちはそのリスクを可視化し、未来に備えるサポートをする専門家でありたいと思っています。

また、税理士という仕事に「感情」や「人間関係」をもっと持ち込みたい。数字だけでなく、家族の気持ちまで考え抜いた提案ができる税理士が増えていくことで、日本の企業の未来がもっと健全になるはずだと信じています。

人柄がにじむ趣味と生き方

 趣味にも本気で向き合っていると伺いました。

はい。趣味は完全に「自分らしさを保つための時間」ですね。

今ハマっているのは車とブーツです。車は営業用にアバルトという小型のマニュアル車を選んでいます。以前は高級車に乗っていたんですが、「派手すぎて怖い」と言われてしまって(笑)。そこからは、ちょっとクセのある、でも親しみやすい車にシフトしました。

意外と営業車って見られてるんですよ。「この人の価値観ってこうなんだな」と伝わるんです。

ブーツのコレクションも本格的とか。

ヴィンテージのレッドウィングを中心に、今は200足以上を保有しています。コロナ禍に修理やリペアにハマり、いつの間にか販売まで始めてしまいました。状態を見て、必要なパーツを調達し、革を手入れして……まるで経営課題を再生するような作業なんですよね。

将来は、車・バイク・ブーツ好きが集まる「秘密基地」のようなガレージラウンジを作るのが夢です。酒は飲めないので、コーヒーでも飲みながら、同じ感性の仲間と語り合うような場所にしたいですね。

最後に、 経営者へのメッセージをお願いします。

経営者って、本当に孤独です。家族にも社員にも本音を出せず、「自分がすべて背負わなければ」と思い込んでしまう。でも、実際にはそんな必要はないんです。

税理士にだって専門があります。今の顧問の先生を信頼しながら、もう一人別の視点を持った専門家に話を聞いてみる。そんなセカンドオピニオンの考え方が、これからの時代はもっと必要になると思っています。

「自社株の評価、いくらかご存じですか?」「その株価、家族にちゃんと渡せますか?」

そんな問いに、即答できない方は、一度だけでも私の話を聞いてみてください。きっと何かのヒントになるはずです。

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