ビジョンは、語るだけではなく「動かす」もの─日本に実行できるビジョン文化を広げたい

企業にとって「ビジョン」は、組織の方向性や文化を象徴する大切な指針です。株式会社comodoは、「売上や組織成長につながるビジョンづくり」に特化した研修・教育サービスを展開。代表取締役石垣敦章さんのこれまでの経験をもとに、「実行できるビジョン」を軸とした独自の取り組みについて伺いました。

ビジョンを基軸にした組織支援

現在の事業内容を教えてください。

当社は「成長を加速するビジョンベースの研修・教育事業」を展開しています。企業のビジョンを一緒に設計・再構築し、その達成に必要な人事制度や人材育成プラン、KPI設計までを一貫してサポートします。

ビジョンという言葉は日本でも一般的になりましたが、現場では「聞こえの良いスローガン」にとどまっているケースが非常に多いんです。

例えば「すべてはお客様の笑顔のために」や「常にチャレンジする」といった表現は、実はビジョンではなく、思いやスローガンにすぎません。重要なのは、現状とのギャップを明確にし、そこに向かうための測定可能な目標を持つことです。

弊社では、抽象的な理想論を現実に活用できるビジョンへと作り変える支援をしています。具体的には、役員クラスとともにワークショップを行い、現在のビジョンがどんな効果を生み出しているのかを検証し、必要に応じて顧客アンケートや従業員の声も反映させて再設計していきます。

実際にはどのようにビジョンを設計していくのですか?

通常は1日〜2日程度の集中セッションで進めることが多いですが、必要に応じてアンケートや社内ヒアリングを織り交ぜ、企業の価値や魅力を言語化していきます。面白いのは、企業自身よりもお客様の方がその会社の強みをよく理解していることもあるということ。そうした第三者の視点も大切にしています。

最終的に作るのは、社外にも社内にも「5秒で伝わるビジョン」です。例えば「防水で建物の寿命を50年延ばす」といったビジョンは、現状の技術では難しくても、目指す価値があり、社内の意識改革やスキル向上のモチベーションにつながる。しかも、顧客にとっても「なるほど、それならお願いしたい」と納得感がある。そんなビジョンを一緒につくり上げていきます。

このビジョンを軸に、フィードバックの質やKPI設計、人材育成の方向性もすべて変わっていく。それが私たちの提供する研修の真価です。

なぜ日本企業はビジョンを重視しないのか?

日本ではビジョンに対する関心が薄いように感じます。その背景には何があるのでしょうか?

日本人は「未来を描いて逆算すること」が苦手なんだと思います。例えば、自然災害が起きたとき、日本人はすごく協力的に動きますよね。そういう「起きたことへの対処」は得意。でも、「3年後にこうありたい」といった未来予測型の発想は、文化的にも教育的にもあまり育っていないんです。

日本は災害が多い国ですし、教育も「逆算思考」より「詰め込み暗記型」が中心。会社に入っても、新人には「言われた通りにやれ」という文化がまだ根強く残っています。つまり、自ら数年後の姿を想像して、逆算で行動するような訓練を、学生時代から社会人になっても受けていないんです。

そうした背景が、「ビジョンを語る」「未来を描く」という文化の醸成を難しくしているんじゃないかと感じています。

ビジョンづくりを追求するまでのキャリア

これまでのキャリアの歩みについて、改めてお聞かせください。

僕、実は芝大門っていうところの花屋で育ったんですよ。今は大手の本社ばかりになっちゃったけど、昔は魚屋さん、八百屋さん、割烹料理屋さんとか、地元の商売人がたくさんいたんです。みんな明るくて、元気で、上を向いて仕事してた。

でもいつの間にか、そういうお店が一つずつ潰れていって……そのとき思ったんですよね。「どうして価値のある商売が潰れていくんだろう」って。

それで学生の頃から経営に関する本ばかり読んでいました。働き始めてからは、美容室向けの商材を扱う会社に入ったり、アメリカ発の研修会社で「7つの習慣」なんかも扱ってるフランクリン・コヴィーにいたり。あと、マンパワーグループと一緒になってるライトマネジメントでも、タレントマネジメントや組織開発にずっと関わってきました。

でも、どの会社でも感じたのが「日本ってビジョンを語れない人が多すぎる」ってことです。内資の部長クラスの人がビジョンを語れないって、どういうことなんだろうって。外資の方達は話せるのに。だからこそ、本気でビジョンを伝えるサービスをやらなきゃって思ったんです。

その思いが起業のきっかけにつながったんですね。

そうなんです。周りには「ビジョンなんて売れないからやめとけ」って散々言われましたよ。大手を相手にした方が利益は出やすいし、そっちに行けって。でも僕は、どうしても中小企業さんにビジョンの価値を届けたかった。それで「もう自分でやるしかないな」と思って、起業しました。

やってみたら、やっぱりビジョンって、めちゃくちゃ使えるんですよ。しかも、みんな興味持ってないからこそ、ちゃんと向き合えばちゃんと届く。ブログも毎週書いてて、「ビジョン」ってワードで検索1位になってる記事もいくつかあるんですよ。

あとは、SNSも活用してて、LinkedInで僕、日本一社長と繋がってると思います。フォロワーが1万7000人以上いるんですけど、その95%が経営者。イベント開いても100人くらい普通に集まりますし、やっぱり「本気のビジョン」は、伝わるんですよね。

組織づくりのこだわりと関わり方

 現在の組織体制について教えてください。

現在、正社員は在籍しておらず、10名の講師と事務スタッフ数名が業務委託という形で関わっています。講師陣は前職時代からの仲間が中心で、ビジョン構築の意義を深く理解したプロフェッショナルばかりです。

弊社では「質」を何よりも重視しています。研修業界にありがちな「規模の拡大」を追う経営ではなく、必要な人材と必要な仕組みだけに絞り込むことで、柔軟かつ持続可能な事業運営を実現しています。営業活動もすべて外部連携で行い、固定費の肥大化を防ぎながら、高いクオリティを維持する工夫を重ねています。

社員や従業員との関係で大切にしていることは?

ビジョンをつくる上で、双方向の対話は不可欠です。一方的に押し付けられたビジョンでは、組織は動きません。だからこそ、弊社のビジョン構築ワークでは、現場や顧客の声を丁寧に拾い上げるプロセスを重視しています。

自分たちが関わったビジョンであるからこそ、社員は主体的に動いてくれる。そこが最大の成果につながります。

 「残したいもの」と「拡大しない」戦略

今後の展望について教えてください。

僕としては「ビジョンってこうやって作っていくんだ」っていう本物のプロセスを、ちゃんと世の中に残していきたいなと思っています。

今の世の中って、「ビジョンとは何か」って調べると、当たり障りのないことしか出てこないんです。AIに聞いても出てくるような話ばっかりで、現場の人間が実際に使える内容ってほとんどない。

例えばですけど、業界1位の企業が出すビジョンが、逆にちっちゃいものだったりすると、他の企業は「うちなんてもっと小さくていいよね」ってなってしまう。そうじゃなくて、それぞれの業界や規模に合った使えるビジョンの設計が必要なんですよ。でも、日本にはまだそういう情報が少ない。

いずれは書籍でもいいし、メディアでもいい。誰かの参考になるような形でまとめて、残していけたらと思っています。

組織の拡大については、どのように考えていますか?

人を増やすつもりはあまりないですね。もちろん、絶対に採用しないっていうわけじゃないんですけど、研修会社って、本当に潰れやすいんですよ。僕もたくさん見てきました。

原因は大体、人を雇っちゃうことなんです。営業マンを雇っても、その人件費分を稼げる営業マンって本当に少ない。何人か未達になると、すぐに会社は回らなくなる。

だから僕は、営業はもう外部に頼るのが正解だと思ってて。今はアイドマさんみたいな素晴らしいサービスもあるし、彼らみたいにリードを安定して取ってくる営業マンなんて、自分で雇ってもまず出会えない。

間接部門だって、AIで代替できる時代じゃないですか。人を増やすよりも、信頼できるパートナーと一緒にやっていくほうが、絶対に事業はうまくいく。

講師だって同じです。月額で安く縛るより、そのときどきでしっかり報酬をお渡ししたほうが講師の人たちもやりがいを持てるし、こちらも質の高い仕事ができる。

だからこそ、僕は「規模を追わない」「無理に組織を広げない」っていう経営スタイルを貫いています。

「ビジョンで迷ったら、まずは声をかけてほしい」

挑戦する経営者に向けて、メッセージをお願いします。

これは本当に伝えたいんですけど……。

もし、ビジョンのことでひとりで悩んでるんだったら、まず僕に連絡してください。もう、初回無料で相談に乗りますから!

ビジョンって、光の側面だけじゃないんですよ。うまくいってるときだけじゃなくて、リストラ(再建・再編)のような厳しい場面でも、ちゃんと活きるビジョンがある。僕自身、そういう局面にも数多く関わってきたので、現場の“光と影”を両方見てきました。

ビジョンって一度市場に出したら、そう簡単には変えられないですよね。例えば翌月に変えたら、「あれ、あの会社迷走してる?」って見られかねない。でも、事前に「この方向性で発信したら、どう反応されるか?」って予測が立てられれば、無駄な遠回りはしなくて済む。そのためにも、早い段階で誰かに聞くって、すごく大事なんです。

僕なら「このビジョンで発信したら、たぶんこうなるよ」って予測を立てられるし、「こう変えたらもっと伝わるよ」ってアドバイスもできます。なので、一人で抱え込まずに、気軽に相談してくれたら嬉しいです。

「発信したけど、社員がまったく反応してくれない」「新しい事業部を立ち上げたけど、方向性がぼんやりしている」……そういうときも、見直すタイミングかもしれません。

これからビジョンを掲げようとしている方、あるいは一度作ったビジョンに違和感がある方。どちらでも構いません。ビジョンで迷ったら、気負わず声をかけてくださいね。

関連サイト

    お問い合わせ内容
    氏名
    会社名

    ※会社・組織に属さない方は「個人」とお書きくだい

    役職

    ※会社・組織に属さない方は「一般」をお選びください

    メールアドレス
    電話番号
    どこでお知りになりましたか?
    お問い合わせ内容
    プライバシーポリシー

    株式会社アイドマ・ホールディングス(以下「当社」といいます)は、次世代型営業支援サービスを提供しております。当社に対するご信頼とご期待に応えるためには、お客様から取得した又は業務委託元等の取引先からお預かりした個人情報の取扱いの重要性を、全ての従業員が強く認識し、適正に取り扱うことが不可欠と考えております。そこで、当社は、個人情報に関する法令等及び以下に定める個人情報保護方針を、従業員一同がこれを遵守することを宣言します。 1. 個人情報の取得・利用・提供について 業務を通じて取り扱う個人情報、また従事する従業者の個人情報について適切に取得するとともに、事業活動を通じて定めた個人情報の利用目的の範囲で適切に個人情報を取り扱い、利用目的を超えた利用をいたしません。 またその行動を遵守するための措置として従業者教育や内部監査等を行います。 2. 法令等の遵守について 個人情報を取り扱う上で、個人情報保護法をはじめとする法令や、関連ガイドライン等の国が定める指針、条例、その他の規範を確認し、遵守します。 3. 個人情報保護のための安全対策の実施について 個人情報を安全且つ適切に取り扱うことを確実にするため、個人情報保護管理者を中心とした「個人情報保護マネジメントシステム」としての管理体制を組織し、また従業者一人ひとりへの教育を通じて、個人情報の滅失、破壊、改ざん、毀損、漏洩等の予防に努めます。 また、日々の確認、内部監査等を通じて、不適切な取扱いについては早期に検出し、原因を精査して是正、再発防止に努めます。 4. 個人情報の取り扱いに関する苦情及び相談 個人情報の取扱いに関する苦情、相談等に対して、受付窓口として「個人情報相談対応窓口」を設置し、本人の意思の尊重のもと遅滞なく、速やかに対応を行います。 5. 個人情報保護マネジメントシステムの継続的改善 当社の経営環境、社会情勢の変化や情報技術の進歩等に対応した個人情報保護を実現するため、柔軟に「個人情報保護マネジメントシステム」を見直し、継続的な取組みのレベルアップ、改善に努めます。 制定日 2014年2月1日 改定日 2022年4月1日 株式会社アイドマ・ホールディングス 代表取締役 三浦 陽平 〒141-0021 東京都 品川区上大崎 2-13-30 oak meguro 5・10F 個人情報に関するお問い合わせ窓口 株式会社アイドマ・ホールディングス 個人情報相談対応窓口 〒141-0021 東京都 品川区上大崎 2-13-30 oak meguro 5・10F 電話/03‐6455‐7935 メール/privacy@aidma-hd.jp 受付時間/10:00~18:00(土日祝日、年末年始の休業日を除く) 担当責任者/経営管理本部 担当役員

    プライバシーポリシー に同意して内容を送信してください。