天ぷら・鉄板 珊瑚 オーナーシェフ 角谷優斗氏
名古屋の激戦区でありながら、他にはない「体験型鉄板焼き」というスタイルで注目を集めているのが「天ぷら・鉄板 珊瑚」。
料理そのものに物語性を持たせ、五感すべてで味わえる演出にこだわったこの店は、食を通じて“一生の思い出”を提供することを使命としています。
今回は、オーナーシェフ・角谷優斗さんに、お店の理念とこれまでの歩み、そして今後の展望について伺いました。
体験型鉄板焼で、お客様の心に残る“物語”を届けたい
――現在の事業内容や、お店の特徴について教えてください。
当店「天ぷら・鉄板 珊瑚」は、名古屋で“体験型鉄板焼”をコンセプトに掲げています。
料理をただ提供するだけでなく、テーマに沿って始まる物語を空間を通して、お客様に驚きと感動を届けることを大切にしています。
例えば「旅」をテーマにしたコースでは、日本を出発点に、畑で収穫するような体験で、その国を旅しているかのような気分を味わっていただけます。
料理は演劇のように構成されていて、お客様自身がその物語の主人公になったような体験ができることが、最大の特徴です。
――お店の理念やビジョンについても教えてください。
理念として掲げているのは「一生愛されるお店」。
そして、「一瞬が一生の思い出になるような体験を提供すること」がビジョンです。
季節ごとにテーマを変えて料理を一新することで、何度訪れても新しい驚きと発見を楽しんでいただけるようにしています。
「思いが未来をつくる」──料理人として、経営者としての信念
――料理人を志したきっかけは何だったのでしょうか?
小学5年生の時に観たドラマ「バンビーノ」が最初のきっかけでした。料理そのものより、厨房の人間ドラマに惹かれたのが始まりです。
その後、様々な料理番組を見るようになり、中学3年生で料理人になると決意しました。
高校卒業後、専門学校で学び、町場の飲食店からホテルへと修業を積み、最終的に独立に至りました。
――仕事をする上で大切にしている価値観を教えてください。
何よりも「お客様の思いを大切にすること」です。
「思いが未来を作る」という尊敬する経営者の言葉を常に胸に、お客様がどんな期待を持って来店されたのかを想像しながら、その期待を超える体験を提供したいと思っています。
――これまでのキャリアで印象的だった出来事はありますか?
独立当初、料理以外の業務──特に集客や経営面で悩んだ時期がありました。
そんな中で学んだのは、「周囲を頼ること」と「言葉にし続けること」の大切さです。
一人で抱え込まずに、周りとつながることで大きく成長できたと感じています。
――スタッフとの関係づくりで大切にしていることは?
「思いの共有」が最も重要です。
料理や演出のアイデアも、お客様にどんな気持ちを届けたいかを共有してこそ、意味あるものになると考えています。
全員が「お客様の感動」という同じゴールを見て、力を合わせられるチームを目指しています。
肉文化の可能性を広げ、持続可能な飲食業へ
――今後の事業展開や目標について教えてください。
今後は伊万里牛の一頭買いを軸に、より質の高い肉料理を提供しつつ、フードロス削減にも取り組んでいきたいと考えています。焼肉や弁当業態などへの展開も視野に入れています。
また、SNSを活用した広報や異業種との交流を通じて、より多くの人に当店の魅力を届けたいです。
ロボットやAIが進化する時代だからこそ、「人間にしかできない」温かみのあるサービスを大切にしていきたいと思います。
自然とつながる時間が、原動力を生む
――日々忙しい中で、どのようにリフレッシュされていますか?
まとまった休みは少ないですが、自然に触れることや実家への帰省が、心のリセットになっています。
仕事そのものが好きなので、お客様と話す時間も私にとっての癒しなんです。
また、ボディメンテナンスにも気を配っています。整体師の方と話す中で、思わぬ経営のヒントを得ることもあり、日常の中に学びの機会があると感じています。