モダン懐石 やまかわ 河村 氏
大阪を拠点に東京へも展開する「モダン懐石 やまかわ」。その舵を取るのは、若き経営者・河村氏です。
「従業員の幸福こそが顧客満足を生む」という信念のもと、常識にとらわれない飲食店経営を実践しています。
全国、そしてアジアへの進出を視野に入れる河村氏に、未来への展望と挑戦の原点を伺いました。
目次
「従業員が幸せなら、自然と顧客も笑顔になる」
現在の事業内容と経営方針について教えてください。
当店は大阪を中心に、東京にも展開する日本料理店で、現在は1店舗体制です。
将来的には全国、さらにはアジアへの展開を視野に入れています。
懐石料理を中心に、今後は天ぷらなど他の和食業態での多店舗展開も計画しています。
経営の根幹にあるのは「従業員ファースト」。
飲食業界ではお客様第一が当たり前とされがちですが、私はまず従業員が心身ともに満たされていることが、結果的に顧客満足につながると考えています。
自由を求めて起業、たどり着いたのは「人を大切にする経営」
経営者になったきっかけについて教えてください。
正直に言うと、誰かに指示されるのが嫌だったんです(笑)。自分のアイデアで働きたかった。それが一番の理由ですね。
独立前は10年ほど日本料理店で会社員をしていましたが、飲食業界の長時間労働と低賃金にはずっと疑問を感じていました。
その反動もあって、「従業員が豊かに働ける環境をつくりたい」と強く思うようになりました。
目標は、従業員に日本の平均年収の2倍、3倍を稼いでもらうこと。
「この会社は違う!」と思ってもらえる職場にしたいです。
これまでの中で印象的だった出来事はありますか?
2年ほど前に始めたおせち料理の販売です。
一人で約200個を手売りし、800万円の売上を達成しました。
高価格帯の商品を信頼ベースで販売できた経験は、自信にもつながりました。
失敗を恐れない文化が人を育てる
人材育成や職場づくりで意識していることはありますか?
スタッフのモチベーションを高めることが最優先です。雰囲気の良さは自然と接客に表れ、それが顧客体験につながります。
現在はパート・アルバイトを含め5名体制ですが、小規模だからこそ一人ひとりの状態を把握しやすいと感じています。
特に意識しているのは、失敗を恐れず挑戦してもらうこと。
料理未経験でも積極的に任せ、結果は私が責任を持つ。そうした環境が成長につながると思っています。
社内は年齢や立場に関係なくフラットな関係を重視しています。意見が言いやすい雰囲気づくりと、ハラスメント対策には特に気を配っています。
求める人物像は、自分で考えて動ける人。私自身がそうだったように、自分の意思で行動できる人と共に成長していきたいです。
「世界に日本料理を」。次なる舞台はアジアへ
今後の展望と、現在直面している課題を教えてください。
まずは国内での多店舗展開。その先にアジア圏への進出を目指しています。和食は世界でも評価が高いので、もっと可能性があると感じています。
課題は人材の確保と育成。飲食業界全体で人手不足が深刻なので、高待遇と働きやすい環境を整え、選ばれる会社にしていきたいですね。
また、ITの導入にも積極的です。予約や在庫管理など効率化できるところはシステム化し、伝統とテクノロジーを融合させた新しい価値を創造していきたいと思います。
「自由」と「人」から生まれる成長の循環
リフレッシュ方法はありますか?
バイクとソロキャンプが趣味です。自然の中で静かに過ごすことで気持ちを整えています。
ホンダのスティードを2台所有していて、天気が良い日はバイクで走りに出かけます。
経営以外で情熱を注いでいることは?
やはり「人」です。
従業員をはじめ、関わるすべての人が少しでも成長できる場をつくることにやりがいを感じています。
最後に、今後に向けた思いをお願いします。
まずは一緒に働いてくれている従業員が「ここで働いてよかった」と思える会社をつくること。それができてこそ、全国展開や海外進出にも挑戦できると思っています。
料理も組織も、もっと自由に広げていきたい。その挑戦を、これからも続けていきたいですね。