有限会社CKS 吉村覚代表に聞く、長寿命化と安心・安全なまちづくりへの挑戦
都市インフラの老朽化や災害リスクへの備え、持続可能なまちづくりが求められる現代社会。こうした課題に対し、長野県の有限会社CKSは独自の改質技術を通じて挑み続けています。今回は、コンクリートと木材の耐久技術を軸に社会貢献を実践する吉村代表に、これまでの歩みと今後の展望を伺いました。
目次
コンクリートを内側から守る──独自技術「RCガーデックス」とは
──貴社の主力事業について教えてください。
弊社は2005年に設立し、「RCガーデックス」というコンクリート改質剤を使った防水・耐久工事を主に行っています。この材料はコンクリート内部に浸透し、化学反応によって構造自体を緻密化させるもので、表面的な塗装とは違い、剥がれにくく長期的な効果が見込めます。
──実際にどのような場所で採用されているのですか?
北陸新幹線の高架橋でも使用されています。北海道新幹線でも導入が検討されていて、国のインフラにおいても信頼される技術として実績を重ねています。コンクリートは“100年もつ”と言われていた時代もありましたが、実際には20〜30年で劣化が見られます。維持管理と長寿命化の技術が必要な時代に、RCガーデックは有効な解決策だと考えています。
木材にも革新を──液体ガラスコーティングの展開
──木材保護の技術にも取り組まれているそうですね。
はい。環境配慮の観点から木材が再評価されるなか、屋外に使用される木材の耐久性が課題になっています。弊社では木材に液体ガラスを浸透させることで、防水性・耐火性を高め、ササクレや反り、割れを抑える技術を提供しています。
──すでに導入実績もあるのでしょうか?
金沢城公園の再建、東京オリンピック施設、隈研吾氏の設計建築などで採用されています。コンクリートと木材の両方に対応できる施工技術は、弊社の大きな強みです。
「真面目に仕事をする」ことを大切に──家族経営の強みとこれから
──経営のスタンスとして、何を大切にされていますか?
とにかく「真面目に仕事をする」。それがすべての基本です。お客様にも、仲間にも、誠実であることが信頼につながると信じています。
──現在の組織体制について教えてください。
私と3人の息子の家族経営です。現在は息子たちが現場を担当し、私は営業や経理などの業務に専念しています。3年後の事業承継を目標に準備を進めているところです。家族ならではの率直な意見交換ができる関係性が、組織としての強さにもなっています。
地域に“縁”を灯す──太陽光街灯「えにし」プロジェクト
──最近では「えにし」という新たな取り組みも始められたとか。
えにしは太陽光発電で点灯する多機能型街灯で、防犯や災害時の避難誘導にも活用できます。ライト部分を取り外して、避難所の仮設トイレなどの照明に使える点が大きな特徴です。
──なぜ「えにし」という名前に?
“縁”という漢字から取りました。この街灯が、人と人、企業と地域をつなぐきっかけになればと。設置費用は企業協賛を想定しており、税金に頼らない社会貢献の形として広げていきたいと考えています。現在はまず長野県内から少しずつ広げています。
真面目な仲間と共に、社会の困りごとを解決する
──今後、取り組んでいきたいテーマはありますか?
協力会社との連携ネットワークを全国に広げたいと考えています。「真面目に仕事をする」という価値観を共有できる仲間とつながり、例えば防水工事の相談から派生する他業種の課題にも、信頼できるパートナーを紹介できる体制を作りたい。それが、お客様の“困りごと”をワンストップで解決する手助けになります。
──最後に、経営者としてご自身の原動力は?
結局のところ「困っている人の役に立ちたい」という気持ちです。特別なことはしていませんが、目の前の課題に真摯に向き合い、誰かの助けになれるように、これからも仕事に取り組んでいきたいと思っています。