OMO株式会社 代表取締役 河野正幸氏
オンラインとオフラインを融合させ、新たなリユース体験を創造するOMO株式会社。
今回は、同社を率いる河野社長に、その事業戦略から経営哲学、そして未来への展望について伺いました。
ユーザー目線を徹底し、既存のリユース市場に一石を投じるOMOの挑戦に迫ります。
目次
店頭買い取りに特化した「ココウル」の誕生
――現在の事業内容と、その特徴について教えてください。
当社の主軸はリユース事業で、その中でも「ココウル」というサービスを展開しています。お客様は不要になった 専門性の高い中古品をオンラインで査定依頼し、提示された金額を確認した後、近所の提携店に持ち込むだけで売却が完結できます。ご自宅にいながら事前に金額が分かるので安心して利用できるのが強みです。
――ココウル立ち上げの経緯をお聞かせください。
2016年に電動工具の買い取り( https://kougu-up.com/ )から事業を始め、その後さまざまな事業の実証実験を実施してトライ&エラーを繰り返しました。そして約2年前に、店頭買い取り市場の課題を解決するためゴルフクラブ買い取りサービス「ココウル https://cocoul.jp/ 」を始めました。インドアゴルフ練習場や打ちっぱなし練習場を買い取り窓口にすることで、生活動線の中で気軽に売却できる仕組みを作っています。
――業界における御社のポジションや強みはどこにあるとお考えですか?
私たちは宅配ではなく、あくまで「店頭買い取り」にフォーカスしています。指名検索が定着していないジャンル、例えば電動工具やゴルフ用品に特化することで、ユーザーの不便や不安を解消し、専門性あるパートナー店舗と連携している点が強みだと考えています。
25歳で独立、原点は「暮らしを良くする」想い
――経営者になられたきっかけを教えてください。
新卒では注文住宅の営業をしていました。先輩や上司の支援もあり成績は好調でしたが、職人さんたちが持つ工具や資材の利活用に課題を感じたことが独立のきっかけです。25歳で思い切って会社を立ち上げました。
――仕事で大切にしていることは何ですか?
一番は「誰かの暮らしにメリットを提供する」ことです。人の幸福度は日々の小さな改善で決まると思っています。不用品を手間なく売却できることで、お金や時間に余裕が生まれ、暮らしに安心や豊かさを加えられる。そこにリユース事業の意義があると考えています。
――これまでで最も印象に残っている出来事は?
25歳で独立したことと、昨年苦戦していたシードラウンドで1億円の資金調達ができたことですね。どちらも、挑戦を続ける中で多くの人に助けられ、事業の意義が認められた瞬間でした。
信用して任せる、議論は「こと」に向かう
――社員は何名ほど在籍されていますか?
正社員5名と業務委託8名です。営業は2名、私は大手クライアントやオペレーション設計を担当し、残りはtoC対応です。まだ小規模ですが、チームで一丸となって取り組んでいます。
――社員の主体性を引き出すために意識していることは?
私は「信用はするが、期待はしない」という考え方で接しています。信用して任せるからこそ、社員が自分で考え、動いてくれる。前職と比べ「自分の意見が経営に反映されるのが面白い」という声もあり、文化が根づいてきたと感じています。
――社内文化の特徴について教えてください。
特徴は「ことに向かう文化」です。お客様にどんな価値を届けられるかを中心に議論します。意見がぶつかることもありますが、それはあくまで価値提供のため。そこに共通認識があるので、前向きな議論になります。
店頭買取から新しい暮らしの価値をつくる
――今後の展望について教えてください。
「近くの専門店で手間なく安心して売りたい」というニーズに応えることが最優先です。ゴルフ用品の次はロードバイクや電動工具など、専門店との提携で市場を広げていきます。口コミや紹介で提携先が増えているので、この流れを強化していきたいです。
――直面している課題とその対策は?
課題は提携店舗の拡大です。まずはユーザーヒアリングを重ね、需要が強い分野から小規模な専門店にアプローチしています。過去には3ヶ月で60店舗との提携に成功しました。今後も実績を積み、仲間を増やしていきたいです。
パンとDIYが支えるリフレッシュと原点
――プライベートでの趣味やリフレッシュ方法を教えてください。
パン屋巡りですね。プライベートの予定の合間に立ち寄っては買って帰ります。子どもも喜んでくれるので、癒しの時間です。
あとはDIYです。幼少期の経験から「古いものを生かす」ことに価値を感じてきました。工具買い取りの原点もここにあります。将来的にはリユースだけでなく、リノベーションやリフォームも含め、暮らし全体を豊かにするサービスを展開したいです。
――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
起業家や経営者の皆様には「挑戦を愚直に続けてほしい」とお伝えしたいです。たとえ一時的にうまくいかなくても、その経験が必ず次の選択を導いてくれます。夢中になれることをやり続けることが、一番の成長につながると信じています。