Ring-ndx株式会社 代表取締役 蔭山貴弘氏
高齢化、人手不足、老朽化という「三老問題」に直面するマンション管理業界。その構造的課題に挑むのが、Ring-ndx株式会社の蔭山氏です。
同社は、マンション管理の現場に精通した知見を活かし、ITによる新たな解決策を生み出しています。
「マンション管理は課題の泉」と語る蔭山氏に、事業への思いと未来への展望を伺いました。
目次
「人を集めるDX」でマンション管理に新しい価値を
――御社の事業について教えてください。
当社は2021年に創業し、マンション管理に特化したDXソリューションを展開しています。現在の主力事業は、マンション管理業務を外部委託したい管理会社や管理組合と、在宅で働きたいクラウドワーカーをつなぐマッチングサービス「リング」です。
この仕組みにより、人手不足や人件費の高騰といった業界特有の課題を解決し、効率的で質の高いマンション管理を実現しています。また、私たちは「新しいDX(New DX)」を掲げています。一般的なDXが効率化や削減を目指すのに対し、私たちは「人を集めるDX」を通じて業界に新しい価値を創造していきたいと考えています。
現場経験から生まれた使命感と、マラソンが教える経営哲学
――起業のきっかけや大切にしていることを教えてください。
私は東急コミュニティや三菱地所コミュニティといった大手管理会社で15年間実務に携わり、マンション管理業協会の最年少専門相談員も務めました。その経験から、業界が抱える人材不足や古い体質に強い危機感を覚えたのが、起業の原点です。
経営で大切にしているのは「我慢することの大切さ」です。趣味のマラソンから学んだのですが、最初は辛くても走り続けることで見えてくる景色や達成感があります。これは経営にも通じていて、困難な状況に粘り強く向き合う姿勢が成果につながると実感しています。
課題解決の情熱を共有する、少数精鋭のチーム文化
――組織づくりや社内の雰囲気についてはいかがでしょうか。
私たちは社員一人ひとりの主体性を重視し、「課題解決への情熱」を共有することを大切にしています。少数精鋭のスタートアップとしてスピード感を持ちながら、自由に意見を出し合える風通しのよい文化を目指しています。
「リング」から広がる、データ活用と地域貢献の未来
――今後の事業展開について教えてください。
今後は「リング」のプラットフォームをさらに拡充し、より多くの管理会社や管理組合にご利用いただけるようにしたいと考えています。蓄積されるデータを活用し、AIやIoTと組み合わせることで、新しいソリューション開発にも挑戦していきます。
また、大田区で進めている限界集落化マンションの課題解決プロジェクトのように、地域社会に貢献する取り組みにも力を入れています。マンション管理は生活の基盤であり、社会課題そのものです。そこに光を当て、新しい価値を生み出していくことが当社の使命だと考えています。
走り続けることで見える景色、そして社会への挑戦へ
――仕事以外で大切にされていることを教えてください。
趣味はマラソンで、年に2〜3回大会に出場しています。練習よりも大会そのものを楽しむタイプで、走ることで得られる達成感や景色の変化が経営の励みになります。
この事は、日々の仕事の中でも同様で、様々なマンションの組合員の方々との交流の中で、達成感や景色の変化を経験することで、マンションを通して、社会に貢献することを自分の使命だと感じています。
マンション管理は、暮らしを支える根幹であり、同時に課題の泉でもあります。その課題に粘り強く向き合い、新たな解決策を生み出していくことが、業界全体の未来を変える力になると信じています。
Ring-ndxの挑戦は、やがて業界の常識を覆し、多くの人々の生活に新しい安心と豊かさをもたらしていくでしょう。