nowhere film株式会社 代表取締役 酒井大輝氏
SNSの普及により短尺動画が一大トレンドとなる中、「ショートドラマ」という新たな表現が世界的に注目を集めています。nowhere film株式会社は、この領域に特化したプロダクションとして設立されたばかりながら、確かな存在感を示し始めています。代表の酒井氏に、事業の特徴や経営哲学、そして未来への展望について伺いました。
目次
ショートドラマ制作に特化、急成長を遂げる新鋭プロダクション
――現在の事業内容と特徴について教えてください。
弊社は1分から数分程度のショートドラマ制作に特化したプロダクションです。クライアント様からの依頼に応じた制作だけでなく、自社発案の企画を作品化し、SNSや専用プラットフォームで配信しています。昨年8月に設立したばかりですが、需要の急増を受け、国内外で存在感を高めています。
――御社の強みはどこにありますか。
単なる短尺動画ではなく、ドラマとしてのクオリティとストーリー性を追求している点です。広告目的の作品から、視聴者課金を狙うエンタメ作品まで幅広く対応し、目的に合った最適なドラマを提供しています。直近では、世界的ショートドラマアプリ「Reel Short」で日本国内ランキング1位を獲得できたことが、大きな自信になりました。
需要の波を掴み、挑戦を形に
――経営者になられた経緯を教えてください。
以前からクリエイティブ事業を展開していましたが、ショートドラマへの問い合わせが増えたことが大きな転機でした。需要の波を確信し、事業の一部を分社化してnowhere filmを立ち上げました。
――印象的な出来事はありますか。
やはり「Reel Short」でのランキング1位です。創業間もない会社として、チームの努力が形となった瞬間であり、非常に大きな達成感を得られました。
――大切にしている価値観を教えてください。
「みんながハッピーに、好きなことを楽しめているか」を常に意識しています。無理を強いるのではなく、好きだからこそ頑張れる環境を整えることが重要です。長期的には具体的な数値目標よりも、その時々で「好きな人と好きなことができているか」という感情的価値を大切にしています。
少数精鋭のチームで生み出す、主体性とクリエイティビティ
――現在の組織体制を教えてください。
正社員は8名、業務委託を含めると約20名の体制です。創業当初から少数精鋭を掲げ、各人がプロフェッショナルとして力を発揮できる環境を目指してきました。
――社員の主体性を引き出すための工夫はありますか。
常に「好きなことを仕事にしてほしい」と伝えています。苦手なことは得意な人に任せ、各自が好きで得意な分野に集中できる体制を整えています。結果的に、全員が起業家精神を持って働く文化が根付いていると感じます。
3年で売上3〜5倍へ、ショートドラマ市場の頂点を目指す
――今後の事業展開についてお聞かせください。
当面はショートドラマ制作事業のさらなる拡大に注力します。市場はまだ伸びしろが大きく、成長余地は十分にあります。
――3年後の姿をどう描いていますか。
売上を3〜5倍に拡大し、社員10名程度の少数精鋭体制でヒット作を量産することを目指しています。「ショートドラマといえばnowhere film」と言われるポジションを確立したいですね。
――直面している課題はありますか。
最大の課題は認知度向上とブランド確立です。そのために広報や情報発信を積極的に行い、何よりも作品そのものが最高のPRになると信じて高品質な制作を続けています。
結果主義から学び、好きなことを楽しむ
――尊敬する人物はいますか。
中日ドラゴンズ元監督の落合博満さんです。結果至上主義という自分にはない要素を持っており、大変尊敬しています。家庭や楽しさを重視する自分とは異なる価値観ですが、結果を出し続ける姿勢は経営において大きな学びになります。
――プライベートのリフレッシュ方法を教えてください。
アウトドアが好きで、月に数日は地方に出かけています。ドライブで好きな車を走らせ、環境を変えて仕事をすることで、新しい気づきが得られることも多いです。仕事とリフレッシュを両立させ、創造性を高める時間にしています。
――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
「とにかくやってみる」ことを大切にしてほしいです。行動して初めて、自分に合うかどうかが分かります。食わず嫌いはチャンスを逃すことにつながります。先入観にとらわれず挑戦する姿勢が、人生を豊かにし、新しい可能性を切り開いてくれるはずです。