株式会社ネームレス 代表取締役 金田 隼人氏
「やりたいことを始めるのに、名前なんていらない」。このメッセージを掲げ、挑戦し続ける人々を支援する株式会社ネームレス。
地域創生から教育、AI技術まで幅広い分野に携わり、「挑戦の民主化」と「1億総プロデューサー社会」の実現を目指す金田社長に、これまでの歩みと未来への展望を伺いました。
挑戦を後押しするネームレスの事業と理念
――現在の事業内容と理念について教えてください。
弊社の事業は大きく3つあります。1つ目は「プロデュース事業」です。ベンチャー企業や後継経営者に寄り添い、新規事業やビジョン策定を支援しています。現場に深く関わり、言語化や価値創造を進める点が特徴です。
2つ目は「プロデュースシンキング事業」で、7年以上続く新規事業担当者向けの研修です。単なるスキル習得ではなく、価値の捉え方や仲間集め、リソース調達といった普遍的な視点を養います。
3つ目は「グループ経営化」です。これまで30社以上に出資・参画してきましたが、今後は教育や経営管理など多様な事業をグループとして統合し、広がりを持たせていく予定です。
理念として掲げているのは「挑戦の民主化」と「1億総プロデューサー社会の実現」です。誰もが挑戦でき、互いにプロデュースし合える社会をつくることを目標にしています。
社長が歩んだ起業の道と経営哲学
――経営者になられたきっかけをお聞かせください。
自分に経営者という強い自覚はありません。新卒で教育事業を立ち上げ、多くの若者と接する中で「一緒に挑戦することの大切さ」を学び、そこから事業を広げたいと思ったのが原点です。
夢は「500人のプロデューサーを輩出すること」です。渋沢栄一が500社を設立したことになぞらえ、未来をつくる人材を生み出したいと考えています。
大切にしているのは「何者でもない状態を保つこと」です。肩書きや役割に縛られると可能性を狭めてしまいます。常にニュートラルでいることで、多様なチャンスを掴みたいと思っています。
共創を重視した独自の組織運営スタイル
――組織運営で意識していることは何ですか。
ネームレス本体に社員はおらず、グループ各社が独立採算で経営しています。そこで重要なのは「責任者意識」です。全員が「ラストマン」として最終責任を持つことで、主体性が引き出されます。
また「目的には頑固で、手段には柔軟であれ」という考え方を重視しています。やりたいこととできること、必要とされることが必ずしも一致するわけではありません。その中で多様な手段を受け入れつつも、揺るがない目的を持ち続けることが大切です。
コミュニケーションでは「押し付けをしない」ことを徹底しています。相手の意図や言葉にならない思いを汲み取る対話を心がけています。
AI・教育・地域から広がる未来への挑戦
――今後の展望についてお聞かせください。
これからは「プロデュース思考」を軸に、教育や地域と掛け合わせた事業を次々と展開していきます。向こう10年でグループ全体を100億円規模に拡大したいと考えています。
特に注目しているのは生成AIと教育です。AIは挑戦を後押しする存在とも言えるのですが、決断することや責任を持つことは人間にしかできません。その強みを活かしながら、挑戦しやすい社会を作ることを目指します。
教育については、地域単位で挑戦できる環境を整えることを重視しています。深谷市での「渋沢栄一学」の構想や銚子市での「SUNRAIL」プロジェクト活動はその一環です。
経営を支える価値観とプライベートの原動力
――仕事以外のリフレッシュ方法を教えてください。
旅行が好きで、国内外問わず積極的に出かけています。世界一周をしながら各国の大学を巡った経験もあり、旅は新しい発見をくれる大切な時間です。最近は家族と過ごす時間も大きな活力になっています。子育ては私にとってかけがえのない挑戦であり喜びです。
経営においては「0.1の価値の種を見つける」ことを常に意識しています。小さな着眼点を積み重ねて大きな成果につなげる。その姿勢が、仕事も人生も支えています。
これからも日々の気づきを原動力にしながら、挑戦し続ける人々と共に、新しい未来を形にしていきたいと考えています。