株式会社アマル 代表取締役 佐伯 直子氏
地域に根ざし、求人・採用の最前線を30年以上歩んできた株式会社アマル。
紙媒体からWeb・SNSへと主戦場が移るなか、同社は「広告販売」から「採用パートナー」へと役割を拡張してきました。
大病や事業環境の激変を越えてなお、社名「アマル(=希望)」に込めた思いを掲げ続ける佐伯氏に、事業の現在地とこれからの挑戦を伺いました。
目次
採用をトータル支援する“地域密着コンサルティング”
――まず、現在の事業内容とその特徴について教えていただけますか。
採用コンサルティングを中心に、広告代理、イベント企画運営、就職支援を展開しています。紙媒体で培った編集・制作力を土台に、採用戦略の設計からSNS運用、合同説明会の設計まで一貫支援するのが強みです。近年は新卒採用の内製化支援に軸足を移し、サブスク型で“育てる”伴走を行っています。
――社名「アマル」に込められた思いについてもお聞かせください。
アラビア語で「希望」を意味します。企業と求職者の双方にとっての希望の架け橋でありたい――困難な局面でも前を向く自分自身の指針でもあります。
大病と逆境を乗り越えて見つけた“希望の原点”
――これまでのキャリアの中で、経営者として歩み出されたきっかけは何だったのでしょうか。
地元新聞社で制作を学び、求人紙で地域トップの実績を積みました。「採用の入口から出口まで伴走したい」という思いで独立しました。
――キャリアの中で特に大きな転機となった出来事はありますか。
独立直後の高血圧腎症、のちの乳がんです。治療と仕事の両立は過酷でしたが、支えてくれた人への感謝と「仕事ができること」への喜びが、今の覚悟をつくりました。「どんな企業にも必ず光を見つける」という信念はこの経験から生まれました。
顧客と“育て合う”関係を築くパートナーシップ
――現在はどのような体制でお仕事を進めていらっしゃるのでしょうか。
私が舵を取り、案件に応じて外部のプロとチームを組みます。意思決定が速く、一社一社に深く向き合えるのが強みです。
――クライアントとの関係づくりで、特に心がけていることは何ですか。
「育てる」視点です。私たちが一方的に代行するのではなく、担当者のスキルを高め、自社で採用ができる力を育てていく。二人三脚で進めることで、長期的な採用力を根付かせるのがゴールです。口コミや紹介でつながるお客様が多いのも、この姿勢が評価されている証だと思います。
採用の未来を切り拓く“新卒支援と情報発信戦略”
――今後の事業展開について、どのような展望をお持ちでしょうか。
新卒領域を中心に、企業規模や体力に合う戦略を設計し直し、定着までを見据えた支援を強化します。自社サイトも10年ぶりに全面刷新中で、現在の提供価値を正確に伝える基盤にします。
――業界の変化をどのように見ていらっしゃいますか。
採用は完全にWeb・SNS主戦場です。外部人材の役割は「代理店」から「ブランディングと発信戦略のパートナー」へ。変化の波を読みつつ、変わらない本質――企業の“らしさ”と言葉を磨き続けます。
また、今後は地元大学や高校との連携も視野に入れています。若い世代に直接アプローチする機会をつくり、地域での就職希望者と企業を結びつける取り組みを進めたいと考えています。小規模でも活躍できる地方企業の魅力を掘り起こし、学生に伝えていくことが、地域の未来を育てる第一歩になると信じています。
ご縁を紡ぎ続ける“希望の仕事”
――経営において、大切にされている価値観は何でしょうか。
「ご縁を繋ぎ、紡ぐ」ことです。助けられてきた分、企業と人の出会いを成果で返したい。冬には故郷・奥出雲のしめ縄販売も続けています。地域と人を結ぶ大切な仕事です。
――最後に、これから取り組んでいきたいことについてお聞かせください。
一つひとつのご縁に誠実に向き合い、企業の中に採用力を根づかせる伴走を広げていきます。必要な時に、必要な人が、必要な企業に出会える地域を増やしたい――そのために、私は今日も「希望」という名の看板を磨き続けます。