株式会社ヤマトソリューションズ 代表取締役 田村茂利氏
DXやAIによる効率化やコスト削減が進むデジタル中心の世の中で、あえてアナログに挑む企業があります。「ありがとうハガキ」に特化した株式会社ヤマトソリューションズです。年間120万枚の宛名の手書きハガキを通じ、人と人との関係を深め、リピーターづくりや顧客との信頼構築を支えています。田村代表に、事業の背景や経営者としての歩み、社員との関わり、そして未来への展望を伺いました。
人の心に届く「ありがとうハガキ」事業の強み
――御社の事業内容と特徴について教えてください。
当社は「ありがとうハガキ」という独自サービスを展開しています。名刺交換やお客様のご購入後、ご来店後、誕生日、メンテナンスフォローなど、ビジネスのあらゆる場面でお客様に感謝の気持ちを届けるため、宛名を一枚一枚手書きで書いたハガキを送るというものです。
インターネットの世の中は効率化が進み、メールやSNSでの連絡が主流になっていますが、私たちはあえてアナログに特化し逆行しています。ハガキというアナログ紙媒体に宛名を印字するのではなく、手間暇かけて手書きにこだわることで「あなたを大切に思っている」という思いを確実に届けることができると考えているからです。
このアナログな手法こそが、AIには真似できない“人間らしい仕事”であり、顧客との関係を深める最大の強みだと自負しています。
証券会社から起業へ──経営者としての歩み
――経営者になられた経緯や、大切にしている考え方を教えてください。
私はもともと山一證券に勤めていましたが、会社の自主廃業に陥ったことをきっかけに転機を迎えました。当時、証券マンは最強の営業マンだと信じていましたが、金融以外の道を模索し、ダイレクトメール事業に関わるようになりました。
パンフレットの折り込みや発送業務から始まり、やがて「宛名を手書きで書いてほしい」という依頼に出会いました。最初は私自身も非効率に思えましたが、実際にお客様の反応を目の当たりにする中で「感謝を届けることの価値」に気づき、現在の「ありがとうハガキ」事業にたどり着いたのです。
前職の金融では規模を重視する考えでしたが、今の私が大切にしているのは、「感謝こそ商売の原点」という考え方です。効率化だけを追求するのではなく、人に喜ばれる仕事をすることが経営の本質だと信じています。
社員と共に育む感謝文化と働き方改革
――社員との関わりや組織づくりで意識していることはありますか。
当社ではパートを含め約60名の社員が在籍しています。単純作業と思われがちな宛名書きですが、私たちは「宛名を書く」のではなく「ありがとうを届けている」と考えています。この意識を持つことで社員のモチベーションは高まり、自然と感謝の文化が社内に根付いてきます。
働き方の柔軟性も重視しています。子連れでの出社を可能にし、一部はテレワークでの作業も導入しました。子どもが親の姿を見て字に興味を持ったり、学習に取り組むようになったりするなど、仕事が家庭にも良い影響を与えるケースも生まれています。
書くことで心が落ち着く、という声も多く、社員にとっても「感謝を届ける仕事」が自らの心を整える時間になっています。
今後の展望──感謝力を育てる教育事業へ
――今後の事業展開や展望について教えてください。
直近の課題は「感謝の大切さをどう伝えていくか」です。AIやDXの波だからこそ大切で必要な取り組みです。経営者に本質的な価値を理解してもらう必要があります。人財育成は従来A型教育でしたが、これからはB型教育です。
ひとことで言えば「非認知能力」がビジネスの世界にも求められてきます。
今後は、ハガキの宛名書き代行だけでなく「感謝力を育てる教育事業」に力を入れていきたいと考えています。感謝力が上がるチームビルディング、社員研修や自立型人財育成の一環として、ありがとうを伝える文化を浸透させることができれば、組織全体の活性化につながるはずです。
また、企業の規模や業種に合わせた、リードナーチャリング、リピート率向上、自社の従業員さんのお客様への関心が増え、顧客対応力の向上や、当社が業務を一括請負することで、貴社の「顧客フォロー業務」が完全自動化になることを提案していきたいと思います。
これはまさに「販売促進」+「人財育成」を同時にできる提案です。
「感謝・ありがとう」を軸にした仕組みを広げることで、企業や地域社会全体に新しい価値を生み出していきたいと考えています。
大切にしている価値観と健康寿命への挑戦
――プライベートでの趣味やリフレッシュ方法について教えてください。
私が大切にしているのは「健康寿命」です。体の健康、心の健康、そして経済的な健康、この三つが揃ってこそ人生を楽しめると考えています。そのため、毎月100キロ走ることを自分に課し、8年以上継続しています。これは「習慣化」の実践であります。
以前は500メートルも走れませんでしたが、続けることで習慣となり、今では当たり前の生活の一部になりました。体を動かすことで心も整い、経営の判断や日々の活力につながっています。
――最後に、読者へメッセージをお願いします。
子育て中のママはいつもこう答えます。
コスパがよくて、タイパもよくて、すごく美味しいくて、なんといっても子供がすごく大好きな「冷凍食品」だけで、子供のお弁当を365日つくりますか??
答えは「No」です。
少々しょっぱくても、形が不格好でも、ママが朝早く起きて、手間暇かけて作ってくれた ママの手作り弁当がいちばん嬉しいし、美味しい。
そこにはママの子供に対する「想い」があるからです。
『大切なもの、というのは何事も手間暇かかる』ということです。
貴社の大切な見込客、既存客も大切なものであるはず。
手抜き工事をしない!心の寄り添った関係づくりを「ありがとうハガキ」で取組んでみませんか?
皆さんもぜひ日常の中で、ありがとうの気持ちを形にしてみてください。ちょっとしたひと手間が、人とのつながりや信頼を深めるきっかけになります。「ありがとうハガキ」をきっかけに、感謝を伝える文化が広がっていけば嬉しいです。