株式会社ミライストラテジー 代表取締役 渡辺 博之氏
長年百貨店業界でキャリアを積み、社長職も経験した渡辺氏。現在は人事研修やコンサルティングを手掛ける株式会社ミライストラテジーを立ち上げ、年間150本以上の研修を一人で行っています。働く人が誇りを持てる社会をつくるという思いを胸に、未来の事業展開について伺いました。
法人化したばかりの研修会社
――現在の事業内容について教えてください。
弊社は人事系コンサルティングと研修事業を行っていますが、現在は研修が9割以上を占めています。法人化したのは今年で、まだ半年ほどの新しい会社です。フリーランスとして独立したのは2021年で、研修講師や人事コンサルタントとして活動してきました。
年間で150本以上の研修を担当しており、東証プライム企業からベンチャー企業まで幅広いお客様にご依頼いただいています。内容は管理職向けの人事評価やキャリアデザインが中心ですが、課題解決や目標管理などのテーマもニーズに応じて対応しています。すべて自分自身で提案から実施まで行っているため、密度の高い関わりができるのが特徴です。
高島屋での経験と独立の決意
――独立に至った経緯を教えてください。
私は大学卒業後、高島屋に入社し29年間勤めました。経営企画や食品部門の責任者を務め、関連会社で飲食事業の社長を任された経験もあります。その時に感じたのは「働く人が誇りを持っているかどうか」が組織にとっていかに大切かということです。調理人たちの高度な技術に比して、必ずしも処遇が十分ではない現実を見て、このままでいいのかと強く思いました。
50歳を過ぎ、セカンドキャリアを考えたときに、自分の力で誇りを持てる組織をつくりたいという気持ちが芽生えました。当初は飲食事業での独立を計画していましたが、コロナ禍で断念し、リスクの少ない研修事業へと切り替えました。5年間がむしゃらに取り組み、ようやく法人化までたどり着いたのが現在です。
相互リスペクトを軸にした組織観
――社員や仲間との関係性について大切にしていることは何でしょうか。
今は一人で活動していますが、将来的に仲間が増えたときに重視したいのは「役割へのリスペクト」です。社長や部長といった肩書きは役割に過ぎず、営業や現場の仕事がなければ会社は成り立ちません。立場に優劣をつけるのではなく、互いに欠かせない存在として尊重する意識を持つことが、働く誇りにつながると考えています。
また、一緒に働く人に求めるのはスキルよりも前向きな姿勢です。得意分野は人それぞれですが、自分の力を誰かのために生かそうとする意志があれば、十分に活躍できます。組織は多様な役割が組み合わさってこそ高みに到達できるものであり、相互リスペクトの風土を根づかせることが私の使命だと思っています。
研修から飲食事業へ広がる未来
――今後の展望について教えてください。
現在の研修事業は、すでに自分一人でこなせる本数の上限に近いと感じています。次のステップでは研修の質をさらに高め、直接クライアントと関わる案件を増やすことで、経営効率を上げたいと考えています。
中長期的には、もともとの独立計画であった飲食事業への挑戦を再び見据えています。具体的には、パスタをテーマにしたファストフードチェーンを構想しています。研修やコンサルで培った「人が誇りを持って働ける仕組みづくり」を飲食の現場にも生かし、働く人もお客様も笑顔になれる場をつくりたいです。
歩きながら思考を深めるリフレッシュ
――プライベートでのリフレッシュ方法を教えてください。
若い頃はラグビーをしていましたが、今は体を動かすといえば歩くことが中心です。時間があると品川から新宿まで歩くこともあります。街の雰囲気や地方の風景に触れながら考えを整理するのが、自分にとって大きなリフレッシュになっています。
趣味というほどではありませんが、歩くことで新しい発想が浮かぶこともあり、仕事にも良い影響を与えていると感じています。これからも体を動かしながら、挑戦のためのエネルギーを養っていきたいと思います。