株式会社GILD 代表取締役 國光 良将氏
コロナ禍の混乱期に創業し、多様な人材とともにプロダクト開発や地域ブランディングに取り組んできた株式会社GILD。代表の國光良将氏は「センスは不要。地道なことでも熱意を持って思考し行動を続けることで新しい価値を生む」と語ります。本記事では、事業の理念から経営者としての歩み、組織のあり方、そして今後の展望までを伺いました。
プロダクト開発企業としての現在地
――現在の事業内容や理念について教えてください。
GILDは一言で表すと「プロダクト開発企業」です。ここでいうプロダクトは有形商材に限らず、事業そのものや新しい仕組みなど無形のものも含みます。新規事業の共同開発、グッズやコスメといった商品の企画開発、クリエイターとの協業、地域ブランディングなど、多角的に展開しています。
大切にしているのは「人の意思や熱意を絶やさないプラットフォーム」を追求していくことです。個人の強みを掛け合わせ、組織や地域の新しい可能性を開く――そんな未来を目指して活動を続けています。プロダクトは単なる物ではなく、人や組織の思いを形にする手段。そのため、GILDでは「共創」をキーワードに、常に新しい挑戦を仕掛けています。
コロナ禍から生まれた決意と試練
――創業の経緯や経営者として印象的な経験をお聞かせください。
設立の契機はコロナ禍でした。従来の大企業や組織の動きが鈍化する中、個人や小規模チームが柔軟に対応する姿を目にして「これからは多様な人材が活躍できる会社が必要だ」と感じたのが出発点です。創業前には、京都大学(SEC)にて産学連携の一環として新規事業開発の民間研究員を務めました。大手企業の役員や教授陣と議論を重ねる中で、当時の漠然とした感覚に理論的な裏付けが加わり、自分の背中を押す一つの自信になったと感じています。
創業初期には大きなトラブルもありました。信頼していたパートナー企業が相次いで契約不履行となり、多額の損失を抱えたのです。当時は苦しい経験でしたが、それ以降は契約や仕組みを徹底し、組織としての強さを磨くきっかけになりました。経営で大切にしているのは「本質を見極める」こと。表面的な現象に流されず、抽象と具体を行き来しながら掘り下げる姿勢です。培ってきた実務経験、現場感覚、研究の場で得た学術的視座、失敗や挫折とともに、いまのGILDの礎を形づくっています。
多様性を生かす小さな組織運営
――組織づくりにおいて大切にしていることは何でしょうか。
当社は社員、アルバイト、業務委託を合わせて10名ほどの小規模組織ですが、それ以外にも数多くのクリエイターや外部パートナーと協業しています。大切にしているのは、多様なメンバーが自分の強みを発揮し、柔軟に連携できる体制をつくることです。
課題は「業務の属人的依存」です。特定の個人に依存する体制を防ぐため、柔軟性を大切にしながらマニュアル化や仕組み化を進めています。フランチャイズの知見を活かしつつ、誰でも一定の水準で成果を出せる仕組みを構築中です。組織が小さいからこそ、一人ひとりの成長が会社の成長に直結します。だからこそ、日々のコミュニケーションや信頼関係の積み重ねを特に重視しています。
デジタルとリアルをつなぐ未来戦略
――今後の展開や目標についてお聞かせください。
今注力しているのは「リアルとデジタルの融合」体験価値のハイブリット化です。地域イベントやブランド体験をデジタルコンテンツと連動させ、場所や時間を超えて拡張する仕組みを作りたいと考えています。地方創生やスポーツとの連携もその一環で、クリエイターと地域を結びつける取り組みを強化しています。
3年後には売上を現在の15倍に拡大し、国内外で通用するプロダクト企業へと成長させたいと考えています。売上を10倍以上にするには、既存の事業を壊すほどの変革が必要だと言われます。だからこそ現状に安心せず、常に疑問を持ち、既存の枠を破壊しながら挑戦していきます。そのためにも品質の維持と組織の体系化を徹底し、持続的な成長基盤を築いていきます。単なる成長ではなく、「人と社会に必要とされ続ける存在」としての進化を目指しています。
運動で心を整え、挑戦者へのエールを
――プライベートでの趣味やリフレッシュ方法を教えてください。
小さい頃から運動を続けてきており、空手では黒帯を取得、バスケットボールにも熱中しており小学生から大学まで部活動として経験、大学の途中からは自身で組織を作りリーグ戦や大会運営を実施しておりました。今も筋トレやランニングを欠かさず、早朝から活動をしています。早朝の運動で体調を整えるのが日課です。運動は心身をリフレッシュするだけでなく、新しい発想にもつながる大切な時間です。
――最後に、これから起業を目指す方へのメッセージをお願いします。
事業を生み出すのに特別なセンスは必要ありません。誰もやりたがらない地味なことにも、熱意を持って思考をし行動を続けることで大きな成果につながることも多いです。日常の小さな気づきや当たり前のことを深く掘り下げれば、自分だけのアイデアになります。恐れずに一歩を踏み出してください。その挑戦の積み重ねが、未来の新しい価値を切り拓くはずです。

