「いいモノさえあれば売れる」は嘘だった。西野亮廣が“ドブ板営業”をやめない理由

「営業って、根性だけだと思ってました。でも実は、一番クリエイティブで、一番人間くさい仕事かもしれない」

そう語るのは、お笑い芸人であり絵本作家、そしてエンタメ企業の代表も務める西野亮廣さんだ。
今回は、「西野に聞かせたい話」に登場した西野さんの発言から、“営業の本質”を掘り下げていく。成功する商品と、売れずに終る商品。その差は、営業にある。
ブロードウェイ、絵本、映画、YouTube、演劇……さまざまな現場で実践してきた営業のリアルと、
トップ自らが動くことで生まれるチームの熱量。
西野さんが語る泥臭くも希望に満ちた“売ること”の話をお届けします。

ブロードウェイで気づいた「売れない理由」

西野さんが営業の本質に気づいたのは、
ミュージカルの海外進出だった。
ブロードウェイで作品を展開しようとしたとき、こう感じたという。

「日本人を勝たせる義理が、あの人たちには一個もない」

どんなにクオリティが高くても、どんなに情熱を持っていても、
それだけでは何も始まらない。
村の中に入り、少しずつ信頼を得ていく。
ビジネスの現場でもまったく同じだと語る。

「いい作品を作ったら売れる、なんて幻想。
むしろ“お前気に入った”をもらわなきゃ何も動かない」

作品の力だけで市場を突破できる時代は、すでに終わっている。
西野さんは、売る力こそが真の武器だと痛感するようになった。

「結局、“お前を応援したい”と思わせられるかどうか。
それが営業のすべて」

この言葉の背景には、どれほどの数の失敗や、
扉をノックして断られた経験があるのだろう。
現場で戦ってきた人間だけが語れるリアルが、ここにある。

「ポスティングから始めた」
ドブ板営業がチームを変える

絵本『えんとつ町のプペル』を出す前、西野さんはチラシを自作し、
自らポスティングを行っていた。

「1万枚、自分で配りました。
でも、ほとんど効果なかったです(笑)」

地味で、時間がかかって、非効率。
その“報われない努力”のように思える行動の中で、
最も大きな価値は「チームの空気を変えたこと」だったという。

「“大将が動いてるなら俺たちもやらなきゃ”って、
チームが引き締まる」

営業は数字のためだけにやるものではない。
リーダーが汗をかくことで、
組織に共通の目的意識と“熱”が芽生えてくる。

「営業って、チームビルディングのためにもあるんですよね」

こうした文化は、やがて作品を超えた“応援者”を生み出す。
単なるお客さんではなく、
「西野さんなら応援したい」と言ってくれる人たちが増えていく。
営業とは、そういう“輪”を地道に広げる仕事なのだ。

営業は「育児」である

「出産が“作ること”だとしたら、営業は“育てること”」

この言葉が象徴するように、西野さんは営業を
“命を育てる営み”に近いものとして捉えている。
作品を世に送り出すという責任を果たすため、
彼はさまざまな行動を起こしてきた。

代表的なのが「チケット手売り」だ。

「2000人キャパのライブのチケットを全部
自分で売りました」

ポシェットを下げて酒場に行き、「買ってください」と頭を下げる。
効率は悪い。
だがその“非効率”の中に、濃いファンが生まれる土壌がある。

「手売りすると“もう一枚ください、
友達誘います”って言われる。
それってチケットぴあでは絶対に起きないこと」

手間を惜しまないことで、信頼も“伝播”していく。
「あの人、そこまでやってるなら応援したい」と思わせる力。
営業は信頼構築そのものでもある。

また、西野さんは営業活動において「誰が届けるか」に
強いこだわりを持っている。
インスタ広告やバナーより、
やっぱり“人の顔”が見える方が安心できる。
だから、どんなに規模が大きくなっても、自ら現場に立ち続けている。

「人って“売ってる人の目”で買うんですよね」

泥臭さは「信頼」に変わる

西野さんは営業を「汗くさい」と笑う。
だがその泥臭さが、最終的には“信頼”につながることを実感している。

「離脱率がとにかく低い。オンラインサロンも、
手売りしたお客さんはずっと残ってくれる」

だから今も、西野さんは自ら営業をする。
群馬の牧場に映画のチケットを持っていき、
おばあちゃんたちに直接手渡しする。

「合理的じゃない。でもその“湿っぽさ”が一番大事」

最も非効率で、最も効率的。泥臭い営業が持つ“魔法”のような力を、
彼は身をもって知っている。

「“熱”のない営業は、すぐに見抜かれる。
汗の匂いがしないと信頼されないんですよね」

ある意味で、営業は“人間らしさ”を取り戻す行為なのかもしれない。
AIやDXが進む今だからこそ、
「あなたに言われたから買う」という関係性は、いっそう価値を持つ。

営業に必要なのは「根性」だけじゃない

「営業は根性でしょ」と思われがちだが、
実はロジカルに体系化できる側面もある。

今回の対談で登場したアイドマ・ホールディングスでは、
営業を心理プロセスで7段階に分類しているという。

  1. 関心 2. 連想 3. 欲求 4. 比較 5. 信念 6. 決意 7. 購入

相手が今どの段階にいるかを見極め、対応を変える。
だからこそ「当てずっぽう」で動かず、成果につながる型がある。

西野さんもこのモデルに驚きつつ、納得の声を上げる。

「当てずっぽうじゃない営業、強いっすね。
これ、チームにも共通言語として浸透させたい」

このフレームワークをもとに教育・改善が行えるようになれば、
営業は属人的な“才能勝負”ではなく、
組織で再現可能な“仕組み”になる。

「営業って、勘と根性だけの世界じゃないって実感しました」

加えて、こうした仕組みがあれば、後進の育成も飛躍的に進む。
トップが属人的に頑張るだけでなく、
メンバー全員で“勝てる営業”を共有できるのだ。

組織の熱量を生む「後輩文化」

営業に限らず、西野さんが重視しているのが「チームの熱量」だ。

「社員じゃなくて、“後輩”って呼んでます」

部下・上司という利害関係を超えて、師弟関係に近い信頼を築く。
飲みに誘い、1対1で話し、
何かあればLINEの返信スピードや表情で察する。
その積み重ねが、会社全体の温度を上げていく。

「リアクションは“愛”なんですよね。
作ってもらったものに、ちゃんと感想を返す。
それだけで全然違う」

組織文化としての“反応力”があるか。そこにチームの“熱さ”が宿る。

「キャバ嬢くらいリアクションしろって言ってます(笑)。
だって、それだけ大事なんですよ」

これは単なるコミュニケーションではなく、“感情の共有”の話だ。
冷たい組織に熱は宿らない。
経営者がリアクションを惜しむようになったら、
その会社の寿命は縮むかもしれない。

「営業を外注できる時代」にどう挑むか

今回の対談で登場したアイドマ社では、
営業活動を“外注可能”な仕組みとして提供している。
50万人以上の在宅人材から選抜されたワーカーが営業を担い、
仕組み化・数値化して成果を出す。

「採用に悩む中小企業こそ、
営業を仕組みで外注できる選択肢が必要」

西野さんも「それができたら最高」と共感しながら、
「でもまずは、トップが動くべき」と語る。

「トップが営業しなかったら、部下もしない。
会社全体が“売らない会社”になっちゃう」

売上や採用に課題を持つ中小企業ほど、
営業という活動を誰かに任せられるだけで一歩踏み出せる。
その背中を押す仕組みが、今求められている。

「営業って、誰でもできるって思われがちだけど、
やっぱり“熱量のある人”がやるのが一番なんですよ」

おわりに──営業とは「お前気に入った」の世界

どれだけいい企画でも、どれだけ資金があっても、
「あいつが言うなら仕方ない」と泣き落とされる人がいたから実現した。
西野さんは、その話に強く共感する。

「やっぱり営業って、“お前気に入った”の世界なんすよ」

論理と熱量、根性と仕組み。
営業という仕事の両輪を、誰よりも自分で走ってきた西野亮廣さん。
その言葉には、売れない時代を乗り越えてきたリアルが詰まっている。

だから彼は、今日もチラシを持って外に出る。
会社の未来を、自分の足で切り拓いていくために。

「これからも僕は、売りますよ」

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