「向上心」と「社会貢献」を軸に—13億の負債を乗り越えて見えた本当の経営のかたち

株式会社ナレッジホールディングス代表取締役・道川内知(みちかわうち・とも)さん。今回は、道川内さんのこれまでの歩みと、人生を変えた転機、今後の展望についてお話を伺いました。

高校生で決めた「起業家になる」バイト30種から通信代理店へ

 起業を志したきっかけを教えてください

最初に「起業しよう」と思ったのは、高校生の頃でした。
とにかく「お金を稼ぎたい」という一心で30種類以上のアルバイトを経験し、夏休みには30万円以上稼いだこともありました。

しかし、現場のトップである店長やマネージャーたちを見ても、
自分がまったく憧れを持っていないことに気づいてしまったんです。

「10年後、20年後、自分がこうなっているのか?」と思ったとき、強烈な違和感を覚えました。

それなら、自分で何かを作るしかない。
誰かに決められた未来ではなく、自分で未来を切り拓きたい。

 そう強く思い「起業しよう」と心に決めました。

最初にどんな行動を起こしたのでしょうか?

当時通っていた高校は神奈川県でも偏差値がかなり低く、起業家のロールモデルもいませんでした。「社長になりたい」と相談しても、周囲では 経営者に出会うことさえ難しかったんです。

そんな中、先輩に誘われて行ったお店が人生の転機になりました。
そこには、スーツをばしっと着こなした社長たちが、堂々とした態度で振る舞っていて、まるで別世界。衝撃でした。

そんな別世界の中、自分と同い年くらいの女の子たちが自然に社長たちと話す姿を見て、「まずはこの世界に近づこう」と思いました。そこで始めたのが「スカウトマン」(キャッチ)です。

現場にいるうちに少しずつ人脈を広げ、社長たちの飲み会にも呼ばれるようになりました。

直接、経営者たちから話を聞ける機会が増え、そこでようやくリアルなビジネスの世界を知ることができたんです。

通信代理店の立ち上げと「地デジバブル」とは?

あるとき、知り合った社長に 「これからは通信が伸びるぞ」と言われました。インターネット回線やケーブルテレビの普及が始まったばかりの頃だったんです。

資金も経験も資格もなかった自分にできることは何かと考えた末、通信の代理店ビジネスを始めることにしました。スタート地点は、間借りの営業所を借りた小さな代理店でした。

光回線やケーブルテレビの営業を手がけるなかで、時代の追い風が吹きました。
地上デジタル放送への完全移行です。

「このままだとテレビが映らなくなります」という状況が、営業の強い武器になったんです。

「アンテナを立て直すか、ケーブルに加入するか」 住民にとっては究極の選択を迫られる状況下で、営業をかけると自然と契約が取れました。
しかも、マンション一棟をまとめて契約すると、1世帯あたり2〜3万円のコミッション。
100世帯なら一気に200万〜300万円の報酬が発生したんです。

この「地デジバブル」に乗り、一気に資金を拡大できたことは、間違いなくその後の礎になりました。若かった自分には勢いもあり、実力以上に大きな成功を手にすることができた時期でしたね。

起業の13億円の負債 逆境を客観視して乗り越えた3年間

 13億円の負債。どのような状況だったのですか?

順調に事業を拡大していた中で、突然大きなトラブルが襲ってきました。
負債は徐々に積み上がったわけではなく一気に押し寄せ、気づいたときには13億円という巨額の負債を抱えていました。

すぐに、弁護士やセキュリティ顧問をつけ債権者会議を何度も開いたのですが、債権回収を急ぐ業者からの圧力や、誤情報によるプレッシャーもあり、あの頃は心身ともに追い詰められましたね。

メンタル的にはどう対応していたのでしょうか?

自分の中に「もう一人の自分」を作り出しました。
感情に流される自分とは別に、客観的に状況を見つめ、冷静に動く自分です。

もちろん、しんどいものはしんどかったです。それでも客観視する自分を作ったから、何とかできたかなっていう感じですかね。

 負債を抱える前から鍛えられていた習慣とは?

今思えば、創業してから何度も経験してきた小さなトラブルの積み重ねが、自分を強くしてくれたのだと思います。

数百万円、数千万円単位のトラブルを乗り越えるたびに少しずつ耐性ができていった。だから、13億円という途方もない負債を前にしても、すぐには折れなかったのかもしれません。

むしろ「またボス戦が来たか!」という感覚に近かったかもしれません。

社会貢献へシフト―感謝と再起から生まれたビジョン

社会貢献を考え始めたきっかけは何でしたか?

13億円もの負債を抱えたとき、多くの人が離れていきました。それまで一緒に仕事をしていた仲間やビジネスパートナー、支援者のほとんどが去っていったと思います。

「手のひらを返す」という言葉を、あのときほどリアルに実感したことはありません。そんな中でも、離れずについてきてくれる人たちがいてくれて、初めて「今度は自分が誰かを支える側に回ろう」と強く感じました。

それまではビジネスの手段の一つくらいにしか考えていなかった社会貢献活動に、真剣に向き合うきっかけになりましたね。

10代から変わらない「向上心」とは?

社会貢献に目覚めるよりずっと前から、僕の根底にあったものは「向上心」です。

10代の頃、小さな学校の中で満足することはありませんでした。もっと広い世界へ出たい。もっと大きな舞台で自分を試したい。そんな想いを常に持っていました。

その原動力になっていたのが「もっと成長したい」という強烈な向上心でした。
この気持ちは、大人になった今でも変わっていません。どんなに状況が厳しくても、もっと上を目指したいという思いが、常に背中を押してくれています。

ビジネスにおけるスピード感と直感の重要性

海外に出てビジネスをしたとき、僕にとって大きな気づきがありました。
特に印象的だったのは、中国を訪れたときに出会った「パクリ文化」と呼ばれる考え方です。

当時の中国では、誰が最初に考えたかとか、どうしてそれが生まれたかといった背景にはあまり関心を払わず、
重要視しているのは「今、この技術や仕組みをどう活かすか」という視点のみ。彼らの関心は常に“未来”に向いていたのです。

たとえば、初めて使った電話がスマートフォンという人も珍しくなく、日本のようにポケベルやPHS、ガラケーを経て…といった段階的な進化のプロセスを経験していない世代が大勢いました。
だからこそ、過去の経緯や変遷に縛られることなく、新しいものを躊躇なく取り入れられる柔軟さとスピード感があったのだと思います。

「このスピード感に乗り遅れたら、間違いなく時代に取り残される」
そのとき、僕は強烈にそう感じました。

それ以来、「背景にこだわるよりも、直感を信じてまず動く」という思考は、今のビジネススタイルの核となっています。
変化の激しい時代においては、何よりも行動の早さと感覚の鋭さが問われると、今も実感しています。

未来へ―「貢献型挑戦」でIPOを目指す

「これだけはしない」と決めた行動指針は?

「保留にしない」ということですね。

一度止まるにしても「いつまでに決めるか」という期限は必ず設定する。決断を先送りにすると、何倍もの工数や精神的エネルギーがかかってしまうことを身をもって学びました。

だからこそ、たとえ小さなことでも、決断を積み重ねる。そして、前に進み続ける。これを徹底しています。

また、無駄な会食も極力やめました。かつては「とりあえず付き合う」ことも多かったですが、今は本当に意味のある人、意味のある時間だけに集中するようにしています。

 自分の時間、体力、精神力は有限だからこそ、大切に使いたいと思っています。

これから挑戦したい方へメッセージをお願いします。

これから挑戦しようとしている人には「自分の信念を最後まで大切にしてほしい」と伝えたいです。

どこを目指すのか、何を求めるのかは人それぞれ違っていいと思います。ですが「なぜそれをやりたいのか」「誰のためにやるのか」という信念だけは、絶対にブレずに持っていてほしい。

信念を持って行動すれば、自然と仲間も集まってくる。情報もチャンスも、結果的にはすべて繋がっていく。僕自身、それを何度も実感してきました。

これから僕自身も、ただの好奇心ではなく、社会への「貢献」を軸に挑戦を続けていきます。その象徴が、今本気で目指している「IPO」という目標です。

会社の上場というのは、単なるゴールではなくスタートだと思っています。

自分たちが作った価値を、もっと社会に広げ、必要としてくれる人たちに届けるためにこれからも挑戦し続けたいと思います。

ご家族へのメッセージをお願いします。

仕事でどれだけ忙しくても、どれだけ辛いことがあっても、家族の存在があったから、僕は前を向いて歩き続けることができました。

子どもの笑顔、妻の支え。
それがどれだけ大きな力になっていたか、言葉では言い尽くせません。

これからも健康で、元気で、笑顔で!

仕事もプライベートも、一緒に楽しみながら人生を歩んでいきたいと思っています。

挑戦する上で、一番の敵は「諦め」です。諦めた瞬間、すべてが止まってしまう。自分にも諦めてしまったことがあり、今でも「あのとき続けていれば」と思うことがあります。

でも、今なら「絶対に諦めてほしくない」と伝えられます。失敗を繰り返しても、学び続けていれば道は開けます。そしてその道の先には、きっと誰かが待っている。支えてくれる人、共に進む人とのご縁が、未来を作ってくれると信じています。

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