スタートアップや新規事業の立ち上げにおいて、課題となるのが営業とマーケティングの体制づくり。
そんな中、単なる業務委託にとどまらず、「クライアントとともに走る」伴走型の支援で注目を集めているのがMomentumStudioです。
今回は代表の小柳孝一氏に、事業のこだわりからキャリアの歩み、これからの展望までを伺いました。
目次
事業の現在地と、クライアントとの向き合い方
現在の事業内容や、MomentumStudioとしての強みについて教えてください。
当社は「MomentumStudio」という社名で、主にBtoB領域の営業支援やマーケティング支援を行っています。加えて、私自身が広告代理店出身ということもあり、広告代理事業も今後さらに力を入れていく予定です。
事業の特徴としては、「伴走型の支援スタイル」です。単なる業務委託やBPO的な受託ではなく、クライアント企業のパートナーとして、一緒に事業を伸ばしていくような関わり方を重視し、モメンタムを創り上げます。
例えば、「プロダクトはあるけど営業の体制が整っていない」「これからマーケティングを始めたい」といったスタートアップや新規事業の支援が、私たちの得意領域です。
支援のスタイルとして、「二人三脚」というキーワードが印象的でした。
やはり、単に施策を提供するだけではなく、クライアントの課題に向き合いながら、同じ目線で走り続けることを大切にしています。
これは、前職で事業開発の責任者をしていた際に感じていたことで、当時、事業を立ち上げても、一緒になってプロダクトを広めたり、セールスをしてくれる外部パートナーがなかなかいなかったことに起因しています。
信頼関係や密なコミュニケーションも大事にしており、事業フェーズごとの最適な提案や実行支援ができるのが、私たちの強みです。
キャリアを通して磨かれた“視点”─旅と広告、そして今
キャリアのスタートは広告代理店だったそうですね。最初の選択にどんな想いがありましたか?
はい。最初は「デイリ・インフォメーション関西」という老舗の広告代理店DACグループに入りました。正直、すごく計画的だったというよりは、その時々の関心や直感に従って動くことが多くて。
当時は旅が好きで、バックパッカーとしてヨーロッパ15カ国を回った経験もあり、「観光」に強い興味を持っていたんです。
その代理店は観光広告に非常に強く、まさに自分の関心と業務がマッチした会社でした。広告を通じて誰かの役に立てるという点でも惹かれましたね。
結果として、グループの転籍も含めて広告の現場で10年ほど経験を積みました。
旅がご自身のキャリアや価値観に影響を与えた部分もあるのでしょうか?
それは大きいですね。海外、特にヨーロッパを旅した2ヶ月間は、今でも自分の中での“原体験”です。
例えば、スペイン・マドリードで見たピカソの「ゲルニカ」や、イタリアで観たレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」など、現地で本物に触れた経験は衝撃でした。アートが好きなので、美術館巡りも多くしていました。
また、イタリアのミラノで海外在住のバリキャリウーマンの人に助けられたり、他の日本人バックパッカーや外国人と情報交換したりする中で、「人とつながる力」や「柔軟な思考」を身につけることができたと思っています。
旅の中で得た非日常の刺激は、帰国後の行動にも強い推進力になりました。
その後スタートアップや自身の事業を経て、今の会社を立ち上げられたのですね。転機はありましたか?
スタートアップ2社での経験を経て、「自分で何かを作りたい」「より自由に価値を提供したい」と強く思うようになりました。それで、去年MomentumStudioを立ち上げました。
広告代理店時代に培った提案力やプロジェクト遂行力、そしてスタートアップで経験したスピード感。これらを掛け合わせて、自分なりの「伴走型支援」を形にできる場所がほしかったんです。
今は、その思いを軸に動けている実感がありますね。
クライアントファーストの本質─“信頼”と“伴走”の先にある成果
クライアントと直接向き合う場面が多いかと思いますが、仕事をする上で大切にしている信念や意識されていることはありますか?
一番大切にやはり広告代理店時代の営業経験が大きいですね。
当時は非常に数字に厳しい会社で、週次・月次で目標管理が徹底されていました。数字に追われる環境で、利益を重視するあまり、顧客の本質的なニーズを見失ってしまう危うさも感じていたんです。
そんな中で、関西の地場企業の経営者の方々と近い距離で仕事をさせていただくことが多くありました。自分はまだ20代前半の“若造”でしたが、ポテンシャルを信じて提案を採用してくださる方も多くて。
仕事を超えて食事や会話の中で学ぶことも多く、まさに「育ててもらった」と感じています。こそ、利益だけを追わず、最終的にクライアント、その先にいるエンドユーザー、そして我々支援側の三者がwin-win-win(3win)になれる状態を目指すことが、自分の軸になっています。
クライアントとの関係で、特に印象的だったエピソードはありますか?
たくさんありますが、一番印象に残っているのは、ある経営者の方にいただいた言葉です。
「できる・できないで考えるな。やると決めてから“どうすればできるか”を考えろ。」
当時、広告枠だけで行列をつくるのは無理じゃないかという会話の中で、そう言われたんです。これは今の自分の根幹にある考え方にもつながっています。できない理由を探すより、可能性を最大化するためにどう動くか。やると決めてやり抜くことによって道が拓かれる、そしてそれがクライアントへの誠実さだと思っています。

挑戦はまだ始まったばかり─事業拡張と「次の一手」への想い
今後の事業展開について、現時点で考えていらっしゃる構想があれば教えてください。
現在、社内で自社プロダクトの開発を進めていまして、これをクライアント向けの「パートナーシップ型支援ツール」としてしっかりローンチし、広げていきたいと考えています。
伴走支援をさらに強化する上で、提供価値の軸になると感じているので、今後はこのプロダクトを柱のひとつとして育てていく予定です。
また、これとは別に、BtoBの営業支援を行ってきた経験を活かして、営業のノウハウを体系化した「スクール」のような取り組みも構想中です。
営業職のスキルアップに貢献できる場を作りたいという想いもあります。
今後やってみたい新しい領域などもあれば、ぜひお聞かせください。
実は、広告代理の仕事をしている中で、ずっと興味を持ち続けているのが「EC事業」です。もともとモノづくりの分野には憧れがあり、いつかは自分でもチャレンジしてみたいという思いを抱いています。
まだ具体的にお伝えできる段階ではないのですが、いくつか水面下で動いているプロジェクトもあり、準備を進めているところです。
引き続き、MomentumStudioとしては「クライアントとともに前に進みモメンタムを起こす」姿勢を大切にしながら、事業の可能性を広げていきたいと考えています。
趣味と仕事の垣根を越えて─人との出会いが原動力
お仕事以外で、最近はまっていることやリフレッシュ方法があれば教えてください。
最近は、ありきたりですが「ゴルフ」に少しずつ力を入れ始めています。もともと苦手意識があってなかなか続かなかったんですが、せっかくやるならもう少し上手くなりたいなと(笑)。
あとは、美術館やアート鑑賞も好きですね。国内でも素晴らしい展示がたくさんあるので、また時間を見つけて訪れたいと思っています。旅行や芸術の時間は、気持ちのリセットにもなります。
ご自身で運営されている「朝のコミュニティ活動」についても少し教えていただけますか?
実は今BtoBのリファラル強化をミッションにした「朝活コミュニティ」を運営していまして、もうすぐ1年になります。
まだ始めたばかりですが、これからさらにアクティブに、そして何らかの「成果が生まれる場」として成長させていきたいと思っています。
この活動は、仕事でありつつも、ある意味では趣味にも近いですね。というのも、僕はもともと人と人とのつながりをとても大事にしていて、その延長でこの場を作っています。
過去に所属していたスタートアップでは、日本の有名マーケターが登壇する合宿型カンファレンスの運営を担当していた経験もあり、人との出会いや交流の力を実感してきました。
コミュニティを大切にされる背景には、そうした経験があるんですね。
そうですね。スタートアップやプロ人材のマッチングを行う会社でも働いていたので、たくさんの「すごい人」と出会う機会がありました。
その中で学んだのは、圧倒的な出会いは、自分自身を引き上げてくれるということです。だからこそ、今後も「人と人をつなぐ場」を作り続けたいと思っています。
行動が未来を変える─挑戦するすべての人へ
最後に、このメディアを読んでいる経営者や、これから起業を目指す方へメッセージをお願いします。
これから何か事業を始めようとしている方や、すでに経営に携わっている方に伝えたいのは、「一歩踏み出せば、自分次第であらゆる体験ができる時代」だということです。
受け売りですが、僕が好きな言葉に、「人が成長するのは、経験の延長線上ではなく“スペシャルな体験”や“圧倒的にすごい人との出会い”によってだ」というものがあります。
例えば、僕にとってのバックパッカー体験もまさにそれでしたし、関西時代にお世話になった経営者の方々との出会いによって自分の可能性がどんどん広がってきた実感があります。
今の時代、行動さえすれば、SNSやイベントなどを通じて、本当にすごい人に出会えるチャンスが無限にあると思うんです。そのチャンスを活かせるかどうかは、やっぱり「自分の行動力」にかかっている。
だからこそ、ぜひ自分の意思で人生を切り拓いてほしいし、挑戦し続けてほしい。どんな選択も、自分の未来を形作る一歩になると思います。