水槽に揺れるサンゴ、AIが描く爬虫類キャラクター、そして独自のサブスクリプサービス。ユニークな切り口でアクアリウムと爬虫類の魅力を届けるレプタルワーク。
代表の堀氏は、多彩なキャリアを経て、副業から事業をスタートさせました。現在はECや機器開発にも挑戦し、全国展開・上場を見据える真っ只中。
今回は、事業の特徴やビジョン、キャリアや哲学、社員との関わり、そして未来への挑戦について詳しく伺いました。
目次
独自の仕組みで展開するアクア・爬虫類分野の事業
現在の事業内容や、御社ならではの強みについて教えてください。
当社は、アクア製品と爬虫類に特化したサブスクリプション事業、機器の開発、ECショップの運営という三つの柱を中心に事業を展開しています。特にサブスク事業では、海水魚を中心としたセットを提供しており、その際に自社独自のローン制度を導入しているのが大きな特徴です。
一般的にアクアリウムや爬虫類の飼育には初期費用がかかるため、参入のハードルが高いとされてきました。しかし、自社ローンを用いることで顧客の負担を軽減し、より幅広い層に門戸を開くことができています。
さらに、自社開発による機器の製造にも力を入れています。例えば「プロテインスキマー」と呼ばれる海水魚飼育に欠かせない装置についても、自社で開発し、提供できる体制を整えつつあります。これにより、必要な機材から飼育環境までを一貫して自社で揃えることが可能となり、顧客に安心感のあるトータルサポートを実現できるのです。
こうした仕組みは、「サブスク」と「自社ローン」、そして「自社開発製品」という三本の柱が組み合わさることで初めて成立するものであり、当社ならではの強みとなっています。
また、ECショップやSNSを通じた情報発信にも注力しており、キャラクター化した爬虫類やオリジナルグッズを通じてブランドの世界観を広げています。単なる飼育用品の提供にとどまらず、ユーザーが「楽しみながら学べる仕組み」を整えることで、アクアリウムや爬虫類飼育をより身近で魅力的なものにすることを目指しています。
多彩なキャリアから経営者へ ― 副業が本業へと変わった転機
これまでのキャリアや、起業に至った経緯について教えてください。
私は、スイミングスクールのコーチやタクシー運転手、食品会社での勤務など、さまざまな仕事を経験してきました。特に食品会社ではネットワーク関連の業務に携わり、幅広いスキルを身につけることができました。
起業のきっかけとなったのは、大好きだった爬虫類との出会いです。最初に飼った「サバンナモニター」という爬虫類が亡くなってしまい、その存在を忘れないようにと、グッズを制作・販売したことが始まりでした。そこからアイデアが広がり、SNSでの発信やAIを活用したキャラクターデザインなどを取り入れることで、徐々に事業として形になっていきました。
当初は副業としてスタートしましたが、計算してみると事業規模が拡大していることがわかり、出資金も確保できたことから独立を決意しました。今では委託を含め14名体制となり、10月から本格稼働を始めています。将来的には全国展開を視野に入れており、2年後には大きな規模で展開していく計画です。
事業を広げていく中で、どのような取り組みをされていますか?
自社ブランドのキャラクターである「ビオちゃん」や「レオパ君」など、飼育している爬虫類をベースにしたオリジナルキャラクターを活用しています。AIで制作したイラストを用いたグッズ販売も行い、事業の幅を広げています。さらに、アクアリウム事業では海水魚やサンゴ、水草などの生体に加え、水槽やフィルターなどの関連機器の提供も計画中です。法人向けサービスについても外部の営業部と連携し、展開を進めています。

コミュニケーションが生む信頼 ― 組織運営の基盤づくり
仕事をされる上で大切にしていることを教えてください。
私が最も重視しているのは「コミュニケーション」です。仕事は一人では成り立たず、相手との信頼関係があってこそ円滑に進みます。意思疎通が不足すれば効率も下がり、何より働いていても面白くありません。だからこそ、普段から相手の声に耳を傾け、率直にやり取りできる環境づくりを意識しています。
その大切さを実感した経験はありますか。
スイミングスクールでコーチをしていたときのことです。子どもたちと丁寧にコミュニケーションをとると、自然と信頼してくれるようになります。そして、子どもが私を信頼してくれれば、その親御さんも安心して子どもを任せてくださる。結果的に、遠方からでも通ってくれるご家族が増え、スクール全体が活気づきました。このとき「信頼は会話の積み重ねから生まれる」と実感しました。
水に関わる仕事を多く経験されたそうですね。
はい。水泳コーチの前はプールの監視員をしていましたし、スキューバダイビングにも熱中していました。沖縄、サイパン、モルディブ、フィリピンなど、さまざまな海で潜りました。特にモルディブでは、ビーチ自体が珊瑚礁で、海に入れば色とりどりの魚が目の前を泳ぐ光景が広がります。日本の海とはまったく違う美しさに感動しました。
この経験を通じて「自然や環境を守りながら楽しむことの大切さ」も学びました。現在は事業の一環として、サンゴの植え付けなど海の保全活動にも取り組みたいと考えています。自然環境と共生する姿勢は、組織運営においても「相手と信頼関係を築きながら共に成長する」という考え方に繋がっています。
全国展開とオリジナル開発 ― 上場を目指す未来ビジョン
今後、どのように事業を広げていきたいとお考えですか。
まず直近の展開としては、現在取り組んでいるサブスク事業やECショップの強化に加え、アクアリウム製品の一つである「プロテインスキマー」の自社開発を進めたいと考えています。水質を安定させるこの機械をオリジナル商品として展開することで、競争力をさらに高めたいと思っています。
2年目以降は、大阪・名古屋・福岡といった主要都市への進出を予定しています。北海道はコスト面の課題がありますが、現地からの要望も強いため、最終的には展開を検討しています。中長期的には全国展開を視野に入れ、将来的には株式上場を目指しています。持続的に事業を成長させ、後継者に引き継げる「続く会社」をつくることが私の大きな使命です。
将来的には、日本国内だけでなく海外への展開も視野に入れています。アクアリウムや爬虫類市場は欧米やアジアでも人気が高く、グッズやサブスクといった仕組みは十分に通用すると感じています。特にアジア圏では爬虫類愛好家のコミュニティが大きく広がっており、現地パートナーとの協業によって新たな販路を開拓することも目指しています。国内外で共通するのは「好きなものを安心して楽しみたい」というニーズです。その思いに応えるため、信頼できるサービスを提供し続けることが当社の使命だと考えています。
また、挑戦を続ける中で最も大切なのは「楽しむ気持ちを忘れないこと」です。経営者である前に一人の愛好家として、心からワクワクできる事業を形にする。それこそが、仲間や顧客に支持される原動力になると思っています。
長期的なビジョンについてもお聞かせください。
計算上では、売上規模を大幅に拡大することも可能と見込んでいます。10年後、20年後には社会から信頼される企業として、さらなる飛躍を遂げたい。そのためにも、今は目の前の事業を着実に進め、社員やお客様、そして社会に貢献し続けることを大切にしています。
趣味と仕事の境界線 ― 海と爬虫類に魅せられて
経営以外で没頭していることはありますか。
実は趣味と仕事がほとんど重なっています。給料が入ればサンゴを買いに行き、自分で飼育して楽しんでいます。爬虫類を集めるのも好きで、飼育しながら日々の生活に彩りを加えています。仕事と趣味が一体化しているので、常にワクワクしながら取り組めているのは幸せなことだと感じます。
また、食べ歩きも好きで、ラーメン屋やステーキ店をよく巡ります。特に限定の高級ステーキ店に憧れていて、予約困難な名店にいつか行きたいと思っています。旅行も好きで、出かける先々でスキューバダイビングを楽しむのが定番です。伊豆や沖縄、海外でも潜り、自然の美しさに触れることが大きなリフレッシュになっています。
最後に、このインタビュー記事を読んでいる方々へメッセージをお願いします。
経営は決して一人では成り立ちません。挑戦の過程で壁にぶつかることもありますが、同じように歩んでいる仲間と交流し、知見を分かち合うことで道は開けていきます。私自身、まだ立ち上げの最中ですが、同じく挑戦している経営者の皆さんや、これから起業を目指す方々と一緒に成長していければ嬉しいです。ぜひ異なる業界や立場を超えて交流し、未来を切り拓いていきましょう。