ホームページや動画制作から広告運用、さらにはAIツール開発まで。幅広い事業領域をカバーしながら、挑戦を続けるピークスマーケティング株式会社。代表の小森氏は、学生時代から培ってきたデザインの感性を軸に、柔軟かつ実践的なキャリアを歩み、独立へと舵を切りました。今回は、事業内容や理念に加え、経営者としての歩み、組織との関わり、そして未来の展望についてお話を伺いました。
目次
ITでできることをすべて担う―幅広く展開する事業内容
まずは御社の事業内容について教えてください。
現在、ピークスマーケティング株式会社を中心に活動しています。事業内容としては「ITでできることはすべて対応する」というスタンスで取り組んでおり、具体的にはホームページやランディングページの制作、動画コンテンツの制作が主軸です。そこから広告運用の代行を行い、さらにLPO(ランディングページ最適化)による改善やSEOツールを活用した分析・施策まで、一連のマーケティングプロセスをワンストップで支援しています。
加えて、自社事業としてキャンプに関するメディアを運営しており、SEOによる検索順位の向上を実現しています。そこで得たノウハウを実案件に活かすだけでなく、メディアを通じた新しいつながりからイベントやコラボレーションの機会も広がっています。
Webだけにとどまらず、幅広い取り組みをされていますね。
そうですね。私自身ピークスマーケティングのほかに、外国人特化の人材紹介会社の株式会社KMTや一般社団法人KMT、旅行会社の株式会社SKMT、農業法人82Works、栽培期間中農薬不使用の野菜を使用した和食料理屋「和菜七尾」など複数のグループ会社を運営しているのですが、メンバー同士の仲が良いのもあり、私含め幅広い分野で活動できるようになりました。

最近では「モルック」というフィンランド発祥のスポーツにも力を入れています。木製のピンを投げて点数を競うシンプルな競技で、老若男女問わず楽しめるのが魅力です。
「みんなで共通して楽しめる運動をしたい」と考えたときに、このスポーツに出会いました。サッカーのような激しい競技ではなく、誰もが気軽に参加できる点が大きな魅力です。
現在は仲間や共同代表と共に大会にも積極的に参加しており、「将来的には日本代表として活躍したい」という目標を持って取り組んでいます。WebやITに加えて、スポーツやリアルな場での活動にも広げていくことで、人と人とのつながりをさらに深めたいと考えています。
デザイン一筋から経営の道へ
小森様ご自身について、これまでのキャリアや経営者になられた経緯を教えてください。
私はもともとデザインに関心があり、学生時代から絵を描くことに没頭していました。進路を考える際に「好きなことを仕事にしたい」と思い、デザインの専門学校へ進学。卒業後はグラフィックやWebデザインを手がける会社に勤め、紙媒体からWebまで幅広い案件を経験する中で「やっぱり自分はデザインが好きだ」と確信しました。
特にWebは、知識とスキルがあれば独立も可能だと感じました。正解が一つでない分、お客様に納品した成果が結果につながる瞬間に大きなやりがいを覚えました。
独立を決意された理由をお聞かせください。
独立を考えたのは「自分でもやっていける」と思える経験が積み重なったからです。制作スキルに加え、スケジュール管理やクライアント対応を丁寧に行えば案件は安定して獲得できました。そうした体験を通じて「事業を自分でつくれる」と確信したんです。
また、私は決まった時間に縛られるより裁量を持って動ける方が力を発揮できます。フリーランスという道もありましたが、仲間を見ているとどうしても上限があると感じました。私はキャンプメディア運営など新しい挑戦にも積極的に取り組みたいタイプ。だからこそ組織の基盤が必要だと考え、会社を立ち上げました。
実際に独立されてからはいかがですか。
独立して本当に良かったと思います。最大の変化は「自分らしい働き方ができる」ことです。以前は夜遅くまで会社で作業を続けることもありましたが、今は自分のペースで集中できる時間に全力を注げます。その結果、サービスの質も高まり、お客様に還元できる価値も大きくなったと実感しています。
組織運営における「対話」と「信頼」
現在の組織規模や働き方について教えてください。
グループ全体では約40名が在籍し、Web事業は5名ほどで制作や広告運用を担っています。飲食や人材、農業法人など各事業のスタッフもおり、多様なチームが連携しています。基本的には東京・大田区の事務所に出社して業務を行い、農業法人のみ山梨健大月市が拠点です。Webに関しては対面でのやり取りを重視し、直接議論できる場を大切にしています。
コミュニケーションの重要性について、具体的にどのような点を意識されていますか。
デザインや制作は「正解が一つでない」仕事です。意図やイメージが共有できていないと齟齬が生じやすいため、「言語化して伝える」ことを重視しています。実績だけでは判断できない場合もあるので、会話を通じて相手の理解力や対応力を確認するようにしています。結果的に、実績以上にコミュニケーション力や背景を汲む力を重視しています。
採用や面談の際にも、その点を意識されているのでしょうか。
はい。私は今も可能な限り面談に参加し、その人の人となりを自分の目で確かめています。受け答えがしっかりしているか、チームに馴染めそうかを大切にしています。弊社は社員同士の仲が良く、協力的な雰囲気があります。だからこそスキルが高くても合わなければ難しい。一方、人柄が合えば自然と力を発揮できる。信頼できる仲間かどうかを最重要視しています。
1社ごとの深い伴走を目指して
今後の展望について教えてください。
各グループ会社ごとにKPIは異なりますが、Web事業に関しては「一貫して何でも対応できる」ことを強みとしています。最初のサイト設計から制作、広告運用、さらに運用後の改善までを包括的に行うことで、クライアントの成長に長く寄り添えるのが理想の形です。
具体的には、広告を回しながらヒートマップやSEOツールを活用してユーザーの行動を可視化し、改善を繰り返す。成果が上がれば、さらに新しいサイトリニューアルやデザイン改修につながり、クライアント企業の成長に伴走する形でLTV(顧客生涯価値)を伸ばしていけます。
私たち自身の売上を追うのではなく、「クライアントが成長することによって自社も伸びる」。そんな関係性を築くことが目標です。ひとつひとつの案件に深く関わり、信頼関係を強めながら、長期的なパートナーシップを広げていきたいと思っています。
小森さんはお話もとても分かりやすいですが、元々得意だったのでしょうか。
いえ、実は全くそうではなく、むしろ「営業は苦手」だと感じていたほどです。私は元々作ることが好きで、裏方の作業を担う方が性に合っていると考えていました。だからこそ、クオリティを保ちたいという気持ちから、お客様とのやりとりはあえて自分が窓口になるようにしていたんです。
そうして直接会話を重ねるうちに、自然と「どんなものを求めているのか」「何を背景にその要望があるのか」が掴めるようになっていきました。今振り返れば、対話を通じて自分なりのコミュニケーション力が磨かれてきたのだと思います。
仕事と遊びの境界をなくす―キャンプがもたらすリセットの時間
経営以外で没頭されていることはありますか。
やはり「キャンプ」が大きいですね。自社でキャンプメディアを運営していることもあり、取材を兼ねて趣味として楽しんでいます。仕事と遊びの境界をなくし、両方を同時に楽しめるのは会社を立ち上げてから得られた大きな変化です。
キャンプにはいろいろなスタイルがあります。オートキャンプ場にテントを立てる王道のキャンプから、設備が整ったグランピング、コテージやロッジまで多様です。私自身は「自然の中でパソコンを閉じ、完全にリセットできる時間」を大切にしています。日常的に画面に向かう仕事だからこそ、シャットダウンできる環境は心身のデトックスにつながるんです。
グランピングとの違いを挙げるとすれば?
グランピングは快適さが魅力ですが、キャンプならではの良さは「空間を自分たちでつくる」点にあります。場所によっては貸切のように使えるキャンプ場もあり、仲間だけで焚き火を囲んで語り合える。周囲を気にせず、自分たちだけの時間を過ごせるのは格別です。
また、ギアによって快適さを自在に変えられるのも楽しみのひとつです。大容量バッテリーを持ち込んで冬でも暖かく過ごすこともできますし、テントの中をほとんど家のように快適に整えることもできます。日常から一歩離れ、異空間を自由にデザインできる――そんなところにキャンプの醍醐味を感じています。
最後に、今後に向けての思いをお聞かせください。
仕事も趣味も、自分が心から楽しめることを大切にしてきました。これからもその姿勢は変えず、WebやITだけでなく、スポーツやアウトドアといったリアルな場を通じても、人と人とのつながりを広げていきたいと考えています。どの事業においても共通しているのは「関わる人すべてにプラスを届ける」ということ。仲間と共に新しい挑戦を重ねながら、より多くの方に価値を感じてもらえる未来を築いていきたいです。