株式会社AMENSは、20代に特化した人材紹介サービス「アメキャリ」と、障害を持つ方のキャリア形成を支援する就労移行支援事業「スキルワン」を展開しています。創業から6期目を迎えた同社の中心にあるのは、「一人ひとりに深く寄り添う」姿勢です。
大学時代のインターンをきっかけに人材紹介の世界へ飛び込み、卒業と同時に起業した小嶺吉平代表。若さゆえに直面した壁を乗り越えながらも、社員との近い距離を大切にし、信頼されるサービスづくりに挑戦してきました。本記事では、これまでの歩みや経営のこだわり、そして今後のビジョンについて伺いました。
目次
人材紹介と就労支援で若者の未来を支える
現在の事業内容と特徴について教えてください。
弊社、株式会社AMENSは20代に特化した人材紹介事業を展開しており、自社サービス「アメキャリ」を運営しています。大手の人材紹介会社と異なる点は、一人ひとりに深く寄り添ったサポートです。面談は平均1時間程度、場合によっては1日に2〜3回行うこともあり、面接対策も3〜4回以上繰り返します。電話やオンラインで完結するケースも多い業界の中で、必ず顔を合わせて信頼関係を築くことを大切にしています。
他社にはない強みはどこにあると考えていますか。
効率よりも「その方の人生に深く関わること」を優先している点です。求職者が納得し、自信を持って次のステップに進めるよう、書類作成や企業選定、面接練習などを何度も伴走します。こうした姿勢が、若い世代の方々から信頼される理由だと考えています。
人材紹介以外に取り組まれている事業についても教えてください。
就労移行支援事業所「スキルワン」を運営し、障害を持つ方のキャリア形成をサポートしています。ここでは動画編集やデザイン、事務スキル、ビジネスマナーなどを学んでいただき、その後の就労につなげる支援を行っています。これまで支援が届きにくかった層にも機会を広げ、「学び」と「働く」を結びつける場を提供しているのです。特に若年層で障害を持つ方は、社会との接点を築くことに不安を抱えるケースが多いため、AMENSは「まず安心して学べる環境」を整え、キャリアの第一歩を支えることを使命としています。
――なぜ就労移行支援に取り組もうと思われたのでしょうか。
大学時代から人材紹介業に携わる中で、障害を持つ方が転職活動で苦戦する姿を多く見てきました。既存の仕組みでは十分に応えられない課題をどうにか解決できないかと模索していたときに、就労移行支援事業所の存在を知りました。「これは弊社の理念と重なる」と確信し、立ち上げに至りました。誰もが自分らしいキャリアを描ける社会を実現するために、人材紹介と就労支援を両輪で進めています。
大学時代から芽生えた起業への想いと挑戦の軌跡
ご自身のキャリアについて教えてください。
大学2年生のときに先輩の紹介で人材紹介事業のインターンに参加したことが、最初のキャリアのスタートでした。最初は企業へのテレアポなどRA業務から始めましたが、企業の人材ニーズの高さを実感し、「人のキャリアを支援することには大きな社会的意義がある」と強く感じました。その経験が今の事業の土台になっています。大学卒業後はすぐに株式会社AMENSを設立しましたが、資金面や免許取得の関係で立ち上げ当初は営業代行も並行しながら進め、2年目から本格的に人材紹介事業に専念しました。現在は会社設立から6期目を迎えています。
大学卒業後すぐに起業されたのはなぜでしょうか。
大学時代から「経営に関わる仕事をしたい」という想いがありました。周囲にもビジネスに関心を持つ仲間が多く、学部も経営学部だったため、自然と経営の世界に惹かれていったのだと思います。「自分で事業を立ち上げたい」という気持ちは早い段階から強く、卒業と同時に実行に移しました。
実際に経営を始めて感じたことはありますか。
最初は社会人経験もなく、右も左も分からない状態でした。22歳で起業した当初は、若さゆえにクライアントから信頼を得にくい場面もあり、悔しい思いをしたこともあります。しかし同時に、自分がやりたいことに挑戦している実感が大きく、後悔はまったくありません。壁にぶつかりながらも「どうすれば唯一無二のサービスをつくれるか」を日々考え続けてきました。そうした積み重ねによって実績が評価され、今では信頼いただけるクライアントが着実に増えてきています。

――これまでの歩みを振り返って、どのように感じていますか。
最初は相手にされなかった企業も、今では取引先として信頼をいただけるようになりました。挑戦を続けてきたからこそ道が開け、認知や実績も広がっていると実感しています。これからも「人材紹介業の課題を解決し、他社にはない価値を届けること」を軸に、会社としてさらに成長していきたいと思います。また、若い経営者ならではのスピード感と柔軟性を強みに、社会の変化に合わせた新しいサービス開発にも挑戦し続けたいと考えています。
社員と共に成長する「近い距離の組織づくり」
経営や仕事において大切にしていることは何でしょうか。
転職は人生において大きなイベントです。そのため、求職者一人ひとりにしっかり寄り添い、本当にマッチする求人を提案することを意識しています。単なる「カウンセラーと求職者」という関係ではなく、身近に相談できる“お兄ちゃん”のような存在でありたいと考えています。そうすることで、より近い距離感で信頼できるサポートができると思っています。
社員とのコミュニケーションはどのようにされていますか。
弊社では、私自身が週に1回、必ず全社員と1対1で話す「1on1」の時間を設けています。1回あたり30分から1時間ほどかけ、週の振り返りや次週の目標、サービスに対する意見などを直接聞いています。年齢も近いことから距離感が近く、定期的な社内イベントも開催して社員同士が気軽に意見交換できる場をつくっています。
今後も1on1は続けていかれるのでしょうか。
はい、基本的には続けていきたいと思っています。ただ、私だけでは時間が限られるため、各事業部長にも同じように1on1を担当してもらっています。社長には言いにくいことも部長には話せる、その逆もあると思うので、多角的に意見を吸い上げられる仕組みを整えています。こうした体制をつくることで、社員が安心して声を届けられる環境を維持し、組織全体を成長させていきたいと考えています。「社員一人ひとりが会社の主役」という意識を持ってもらえるよう、今後も風通しの良い組織づくりに努めていきたいです。
サービス認知の拡大と一人ひとりの幸せを支える挑戦
今後のビジョンについて教えてください。
昨年立ち上げた就労移行支援「スキルワン」と、人材紹介サービス「アメキャリ」。この二つのサービスをより多くの方に知っていただくことが、まず最優先の目標です。認知が広がることで、より多くの方のキャリアや生活を支える機会が増え、一人ひとりの幸せに直結すると考えています。そのために、日々サービスの質を高める努力を続けています。
これからも「人の人生に深く関わり、寄り添う支援」を軸に、社会に必要とされる事業を展開していきたいと思っています。
さらに、今後は首都圏だけでなく地方都市へのサービス展開も視野に入れています。地域ごとに異なる雇用課題に対応し、全国的に「寄り添う支援」を広げていくことが目標です。
経営者へのメッセージとリフレッシュの時間
仕事以外で熱中されていることはありますか。
最近はゴルフに熱中しています。会社全体でコンペを行うなど、社員との交流の場としても楽しんでいます。現在の目標はスコア90を切ること。すでに100は切れるようになってきましたので、年内には90を達成できるよう練習に励んでいます。仕事と同じく、目標を設定して挑戦していくプロセスが自分に合っていると感じています。
経営者の方々へ、最後にメッセージをお願いします。
2点お伝えしたいと思います。まず、弊社が運営する就労移行支援「スキルワン」についてです。経営者の皆さまの中には、障害者雇用を検討されている方も多いと思います。私たちの事業所を卒業した方は、動画編集やデザイン、事務スキルなどをしっかり身につけ、精神的にも安定した状態で就労に臨めるようサポートしています。もし障害者雇用に取り組まれる際には、ぜひご相談いただければ嬉しいです。

