定年後の挑戦から始まった、新しいコンサルティングの形

長年にわたり通信システム開発と営業に携わり、その後は企業支援や地域振興の分野でも活躍してきた坂田氏。70歳の節目に自ら会社を設立し、培った経験と人脈を活かしたコンサルティング活動を続けています。本章では、現在の事業内容や独自の取り組み、そこに込めた思いについて伺いました。

IT顧問・営業支援を中心とした少人数経営

現在の事業内容と、御社ならではの特徴を教えてください。

現在は、これまでのキャリアを活かし、主にIT関連企業の顧問や営業支援を行っています。特に「新しい顧客層にどうアプローチするか」という課題に対し、これまでの経験を踏まえたアドバイスを行うことが中心です。

私はNECで通信システムの研究開発や営業を担当し、国内外の大手企業や自治体と関わってきました。定年後はその経験を土台に、企業や行政の依頼でコンサルティングを行い、佐賀県の企業誘致活動などにも携わりました。その後、自分自身の会社を立ち上げ、「コンサルをするなら自らも経営者として挑戦すべきだ」との思いから、実務を通じて支援を続けています。

現在の会社は少人数体制ですが、その分フットワークを軽くし、信頼できる仲間との連携で質の高いサポートを行っています。特徴は、机上の理論ではなく「実践を通して得た経験」に基づいた助言であることです。

独立後、特に大変だと感じたことはありましたか。

やはり一番の課題は「新規顧客との出会い」です。過去の人脈を活かすことで最初は順調に進むのですが、それだけでは長続きしません。そこから先は、いかに新しい関係を築くかが重要になります。

その中で改めて気づいたのは「信頼関係の大切さ」です。学生時代や趣味の仲間、過去の職場の同僚など、長い時間をかけて築いた関係から自然と新しいご縁が広がっていきます。一度一緒に仕事をした人からの紹介は何よりも力強いものですし、信頼があるからこそ「まず会って話を聞こう」と思っていただけます。

今となっては、人とのつながりこそが一番の財産です。どれほど能力や知識があっても、一人だけでできることには限界があります。信頼を軸にしたネットワークこそが、新しい挑戦を支えてくれるのだと実感しています

通信業界から独立への歩み

これまでのキャリアは通信業界・IT業界を一貫して歩まれてきたと伺いました。

そうですね。NECに入社して以来、通信分野を中心に仕事をしてきました。通信の世界は奥が深く、特にNTT向けの大型システム開発などでは、世界中の企業と競争する場に立ち会いました。プレッシャーは大きかったですが、それ以上に面白さがありましたね。大変な環境ではありましたが、技術者としてのやりがいや達成感を存分に感じられました。

IT分野はさらに幅広く、あらゆる業界や企業に関連しています。通信と違い、対象が無限に広がっているので、その可能性をどう生かすかを考えるのが非常に興味深い部分です。クライアントによって求めるものも全く違いますので、いかに適切なアプローチをするかが自分の役割だと思っています。

定年後に経営者として独立されたわけですが、もともとその思いはあったのでしょうか。

正直に言うと、会社に勤めていた頃は独立や起業なんて考えていませんでした。NECという大きな会社で安定して働き、「生活のために仕事をする」という意識が強かったんです。

ただ、キャリアの途中で心身が限界に達した時期がありました。真剣に仕事に向き合う中で体調を崩し、休職を繰り返したこともありました。その頃は「自分の人生はここまでかもしれない」と思うことすらありましたね。

けれども、ある時に開き直ったんです。「人と比べても仕方ない。自分は自分の道を歩けばいい」と。そこから考え方が変わりました。上司や周囲の意見に従うだけでなく、自分の思いや考えを大切にするようになったら、不思議と仕事もうまく回り始めたんです。

経営者として独立する決断には、その「開き直り」が大きく影響しているのですね。

そうですね。人と比べて落ち込むよりも、「自分は世界に一人しかいないのだから、自分のやりたいように挑戦すればいい」と思えたことが大きかったです。その考え方がなければ、今の自分はなかったでしょう。

NEC時代には世界最先端の半導体やプロセッサの開発にも携わり、若い頃から大きな経験を積ませてもらいました。そうした挑戦の積み重ねが、結果として「独立してもやっていける」という自信につながったのだと思います。

若い頃の苦労や試行錯誤は、今の自分にとって確かな糧になっています。だからこそ今は「同じように悩む人に寄り添い、背中を押せる存在でありたい」と思っています。承知しました!ではいただいた流れを踏まえて、第3章(組織の運営と社員との関係)として整理しました。
これまでのお話は「一人社長で仲間数名と取り組む」「信頼関係を軸に協力している」という点が軸になっていましたので、その要素を活かして章をまとめています。

信頼できる仲間と築く小規模チームの強み

会社を運営するうえで、仲間や関わる方々との関係づくりで意識していることはありますか。

現在は一人社長という形で会社を運営していますが、信頼できる友人や専門家に委託をお願いすることもあります。大きな組織をつくるのではなく、必要なときに力を貸してくれる人と連携するスタイルです。その方が無理なく柔軟に動けますし、お互いに専門性を発揮できるので、結果として良い形で事業が回っていると感じます。

社員やパートナーとのコミュニケーションで大切にしていることは何でしょうか。

一番大切にしているのは「相手の力を信じること」です。細かく指示するよりも、相手の得意分野に任せた方が成果が出る。だからこそ、信頼できる人に仕事をお願いし、その関係を継続することを意識しています。

また、依頼した仕事に対しては感謝の気持ちをしっかり伝えるようにしています。こちらが誠実に向き合えば、相手も自然と同じように返してくれる。そうした積み重ねが、安心して協力できる雰囲気につながっているのだと思います。

小規模な組織だからこその強みはありますか。

大規模な会社だとどうしても意思決定に時間がかかりますが、少人数体制であればその場で決断し、すぐに行動に移せます。市場や顧客のニーズに合わせて柔軟に動けるのは大きな強みです。さらに、協力してくれる方々とは長年の信頼関係があるので、意思疎通もスムーズです。

「人を増やすこと」よりも「信頼できる仲間と一緒に取り組むこと」を大切にしてきました。結果として、会社とパートナー様との関係は常に落ち着いていて、前向きに挑戦できる環境になっていると感じています。

AI・データサイエンスへの挑戦と既存クライアントとの深耕

今後のビジョンについて、どのような展望をお持ちでしょうか。

一つは、最新のAIやデータサイエンスの動向にしっかりキャッチアップしていくことです。最近、知り合いの社長がデータサイエンス協会の理事を務めていて、その流れで「DS検定」という試験を受けてみたんです。最初は落ちてしまいましたが、そこからもう一度学び直し、合格できました。やはり新しい分野に挑戦するには努力が必要ですが、その分だけ自分の力を再確認できる機会にもなります。

勉強を続けていると「まだ頭は使える」と感じる瞬間があります。年齢を理由に限界を決めるのではなく、挑戦を続けることで成長できることを実感しています。AIやデータサイエンスの知識は、これからもクライアント企業の支援に役立つと信じています。

組織や事業の規模については、どのように考えていますか。

これから大きく人を増やして急拡大する、という方向にはあまり魅力を感じていません。むしろ現在お付き合いしているクライアントを大切にし、その関係をさらに深めていくことが自分の目指す道です。

一時は4社ほどのクライアントを抱えていた時期もありましたが、現在は2社に絞っています。それぞれの企業とじっくり向き合うことで、より質の高い支援ができると考えています。新しいご縁が生まれれば、そのつながりは自然に広がっていくはずです。

「これからバリバリ拡大していく」というよりも、「今の関係を丁寧に育てていく」という姿勢なのですね。

そうですね。私にとっては、規模を追いかけることよりも「関わる企業の力になれているかどうか」が大事です。無理に広げるのではなく、信頼関係を大切にしながら持続的に価値を提供していくこと。それが私の描く未来像です。

コーラスと音楽活動が支える創造力と信頼資産

仕事以外の時間では、どのような趣味を楽しまれていますか。

趣味はコーラスです。若い頃はバンドを組んで歌やピアノを演奏したこともあり、音楽はずっと生活の一部でした。今はアカペラのチームに参加し、曲のアレンジやオリジナル曲づくりにも挑戦しています。新しいものを生み出すのは簡単ではありませんが、仲間と声を重ねる時間は本当に楽しく、仕事とはまた違ったエネルギーを与えてくれます。

音楽も仕事と同じで、調子が良いときもあれば停滞するときもあります。けれども、仲間から頼まれれば「やってみよう」と気持ちを切り替えられる。そんな繰り返しが、結果的に前に進む力になっていると感じます。

最後に、経営道を読んでいる方へメッセージをお願いします。

大げさなことは言えませんが、一つお伝えしたいのは「資産」という考え方です。ここで言う資産はお金ではなく、人との関係や経験です。若い方であれば時間そのものが資産ですし、これまで築いてきた友情や信頼関係も大切な資産です。

私自身、今の仕事は「信頼の積み重ね」に支えられています。裏切ってしまえばマイナスの資産になりますが、誠実に応え続ければ、大きな力となって返ってきます。だからこそ、身近な人との関係を大切にして将来に活かしてほしいと思います。

そして、ITや通信といった分野に詳しくなくても、興味があれば気軽に声をかけていただければ嬉しいです。真面目に取り組みたい方であれば、いつでもお話しできる準備があります。

資産は「人」「時間」「学び」。その積み重ねを大切にすることで、必ず未来はひらけると信じています。

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