「白紙のメニュー」ではなく、仕事を“試食”できる場をつくる
SenseDrive株式会社 代表取締役 仲上 祐斗 氏
「やりたいことを見つけられる環境を作る」というミッションのもと、企業の仕事体験を企画・設計・運営している仲上氏。インターンシップの受託に加え、現在は複数の業種・職種の仕事体験を一つの場に集める「集積型の仕事体験」に力を入れています。仕事の魅力を抽出し、体験として設計している仲上氏に、事業の内容や、経営の道に進んだきっかけ、リフレッシュ方法などについて伺いました。
仕事の魅力を抽出し、体験として届ける
—―現在の事業内容について教えてください。
弊社は「やりたいことを見つけられる環境を作る」ということをミッションに掲げています。そのために、企業の「仕事体験」を届けています。
一般的にはインターンシップのようなものがありますが、そのインターンシップについて、企画・設計・運営まで受託することも行っています。今、特に力を入れているのは「仕事体験の集積」です。
現在はイベントという形で展開していますが、1カ所に足を運べば、いろいろな業種・職種の仕事体験ができるような場所を作っていきたいと考えています。
—―他社にはない強みはどのようなところにありますか。
私自身は、もともと国立研究開発法人のNEDOで、国として今どのような技術を開発すべきかという戦略づくりを担当していました。医療と原子力以外のほぼすべての産業領域において、企業様の先端技術開発や事業内容を視察する機会に恵まれていたのです。
その中で、素晴らしい技術であっても「何に使えるのか」が伝わりにくいものの魅力を抽出し、世の中にどう役立てていくかを考えてきました。私たちの強みは、仕事の魅力を抽出し、その魅力を体験していただくための設計をし、運営することにあります。
—―理念にはどのような思いが込められていますか。
最近よく「WILLハラ」という言葉を使っています。自分が何をやりたいのか、会社で何をやりたいのかを問われることが、ハラスメントのように感じられるというものです。
ただ、それはよく考えると当然だと思っています。私たちはよく「白紙のメニュー」を渡されて「メニューを選べ」と言われているのと一緒だと表現しています。企業の中にどのような仕事があるのかを知らない状態で、「何をやりたいの」と言われても、選びようがありません。
だから私たちは、メニュー表を作るだけではなく、「試食」までしてもらおうとしています。仕事体験を通して実際に試した上で、自分が好きなもの、嫌いなものを判別してもらう。その上で好きなものに取り組めば、やりがいを持って働けるのではないかと考えています。
経営の道へ進んだ背景と、判断の軸
—―経営の道に進まれたきっかけを教えてください。
もともと私は、経営学やマネジメントを専門領域にしていた部分がありました。スタートアップの支援や、経営者の方への伴走支援も仕事として行っていたので、経営というものには馴染みがありました。
その後、企業様向けのコンサルティングをしていた時に、次のキャリアを考えようとしていたタイミングで、東京都さんの協定事業である「STUDIO 10X」を知りました。知人が立ち上げようとしていて、私がスタートアップ支援をしていたこともあり、「いい起業家がいないか」と相談を受けたのです。
私はNEDOにいた頃から、「やりたいことを見つけられる環境づくり」をいつかやりたいと思っていました。7年、8年ほど前から抱いていた思いです。そこで「これはいいタイミングだ」と思い、自分自身がStudio 10Xに応募しました。その中で事業のブラッシュアップや伴走支援を受け、創業に至りました。
—―経営判断の軸になっている価値観はありますか。
ミッションとして「やりたいことを見つけられる環境を作る」と掲げていますが、基本的には、いろいろな方々がワクワクして働けるようにしたいという思いがあります。そのため、「ワクワク感」をどう作るかをとても大事にしています。
そのためには、私たち自身もワクワクしながら働かなければいけないと思っています。経営判断においても、「これはワクワクするか、しないか」という観点で考えている部分が大きいです。
—―経営の中で譲れない思いはありますか。
「三方よし」というか、誰にとってもいい形を目指すことを大事にしています。誰かだけが損をするような形や、搾取のようなことは、私たちのビジネスとしても、経営の観点でもしたくありません。
皆さんが、もちろん大変なこともあるとは思いますが、それでも自らやりたいと思える形にしたいです。大変かもしれないけれど、自分はこれをやりたいと思えることが、その方にとっていいことだと考えています。
もう一つは、多様性です。やりたいことは一人ひとり違います。私にとってこの仕事はここが魅力だから、その魅力を受け取ってくださいというのは傲慢だと思っています。私たちは魅力を抽出して体験してもらいますが、それが本当に本人にとって魅力かどうかは、自分で考えてもらいたい。体験した上で、好きか嫌いかを判断してもらうことを大切にしています。
集積型の仕事体験を、より多くの場所へ
—―今後取り組んでいきたい挑戦を教えてください。
今、ようやく集積型の仕事体験を実証として1本行うことができました。今後は、その機会をどんどん広げていきたいです。いろいろな業種・職種・場所で、集積型の仕事体験の機会を作っていきたいと考えています。
私は今、静岡県の三島市にいますが、こういった地方の仕事にも光を当てていきたいです。東京で地方の仕事を体験できる、いわば物産展のようなものもやっていきたいと思っています。
東京では、これから人が余っていくとも言われています。くすぶっている方々もいる中で、よりワクワクして働ける環境は地方にもあります。ただ、地方の仕事を知る機会はほとんどありません。
だからこそ、地方の仕事体験を東京で行い、そこから2拠点居住や副業、場合によっては移住につながっていけばうれしいです。
—―現在向き合っている課題は何ですか。
一つは、人が足りないことです。ただ、先立つものがないとなかなか人を増やせないので、これから資金調達をしようと取り組んでいます。
もう一つは、集客です。集積型の仕事体験イベントを1回やってみて、集客が大変だと感じました。そこで、集客力のあるイベントにサイドイベントのような形でくっつけて実施するモデルに取り組んでいきたいと考えています。
そうすることで、仕事体験を目的に来る方だけではなく、お祭りなどを楽しみに来た方が「何か面白そうなことをやっている」と立ち寄ってくれる可能性があります。その結果、新しい仕事を知っていただくような形を目指していきたいです。
家族との時間が、日々のリフレッシュに
—―お休みの日などのリフレッシュ方法を教えてください。
小学校3年生の娘と、小学校1年生の息子がいます。子どもたちと遊ぶのが、やはり一番リフレッシュになっていると思います。
また、家族で旅行をしたり、出かけたりすることも楽しいです。子どもたちと遊んでいる時が、一番リフレッシュできているのかなと思います。