プライス・コンサルティング株式会社 代表取締役社長 名和博史 氏
「この見積もり、本当に妥当なのか?」──。経営や購買の現場で、そう感じた経験がある方は少なくないでしょう。相見積もりを取っていても、価格の中身まで正確に判断できているとは限りません。企業の利益を守り、信頼性ある取引を実現するには、価格妥当性の“専門的な評価”が必要です。
今回は、35年以上にわたり経営管理や購買の現場で見積もり分析や価格交渉を重ねてきた、プライス・コンサルティング株式会社の名和博史代表に、同社の独自サービスと経営の哲学、そして読者へのメッセージをお伺いしました。
企業のコストを守る「見積もり評価」と「コスト削減」のプロ
──事業の内容と特徴について教えてください。
当社は企業やマンション管理組合に向けて、見積もり書の「価格妥当性評価」を専門的に提供しています。提出された見積もりの内訳を精査し、適正価格かどうかを判断。必要に応じて価格交渉のアドバイスや代理交渉も行い、コスト削減に繋げます。
特に、ITシステム開発や工事関連などは専門性が高く、高額な金額にもかかわらず一式表示や管理費、諸経費も多く見積もりがブラックボックスになりがちです。言い値で契約してしまえば、数百万円〜数千万円の逸失利益が生まれることも珍しくありません。
──強みはどこにあるとお考えですか?
私自身、1万社以上の見積もり書を見てきました。IT・システム、建設・工事、印刷、家賃・ファシリティ関連、広告・宣伝、イベント関連、採用・研修、様々なアウトソーシング・業務委託など、幅広い業界や費用に対応できる「目利き力」が最大の強みです。
大手コンサルは業界相場や過去データと比較する“マクロ視点”が中心ですが、当社は“ミクロ視点”も含めて見積もり金額の内訳や構造を読み解きます。なぜこの項目が高いのか、どの費目を見直せばいいのかまで踏み込み、実効性のある見積もり評価を行っています。
起業の動機は、現場で感じた“社会的な課題意識”
──起業された背景を教えてください。
IT企業や生命保険会社の経営管理部門などで長く勤務する中で、価格妥当性のチェックができていない現場を数多く見てきました。社内では気づかれないコストの“ムダ”や、”不正取引のリスク”にさらされている状況を目の当たりにしてきました。また、マンション管理組合など、見積もり評価の専門家不在で長期修繕工事など高額な見積りを割高なまま発注をしている方々を支援したいという想いがありました。これまでの経験や知見が企業やマンション管理組合の力となり、このような社会課題の解決に活かせると考えたからです。
──経営で大切にしていることは?
公正さ、誠実さ、そして実効性です。クライアントの利益を守るために、時に厳しい指摘もさせて頂きますが、それが信頼につながり、感謝されることが多いです。表面的なコスト削減ではなく、品質やサービスレベルを落とすことなく“本質的なコスト削減・コスト最適化”を追求しています。
今後の展望と課題、そして広げたい想い
──今後の目標や取り組みについてお聞かせください。
当面は、現在のサービスをより多くの企業やマンションの管理組合に届けることが目標です。大手企業との契約を多く安定化させ、事業基盤を固めて拡大していきたいと考えています。
今後は、組織として専門人材を育成し、より大きな案件にも対応できる体制を築きたい。そして、上場企業の社外取締役や監査役など、外部から企業のガバナンス強化に貢献したいと考えています。
──業界の変化への対応は?
AIや自動化が進む中でも、見積もり書の中身を評価するには“経験に基づく判断力”が必要です。AIには読み取れない、背景や構造まで含めた「価格の意味」を捉える力。それが私たちの存在価値だと考えています。
読者の皆様へ──“目利き”の力を組織に
──最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。
「この見積もり、高すぎる気がするけれど、何が正解か分からない」──そんな風に思ったことはありませんか? 多くの企業やマンションの管理組合が、同じ悩みを抱えています。
見積もりの中には、交渉や仕様見直しで削減できる“ムダなコスト”が多く含まれています。
私たちは、そうしたコストの“見える化”を通じて、経営に安心と透明性を提供します。
取引先との関係を壊さずにコストを下げるには、第三者だからこそできる働きかけがあります。私たちは、その“橋渡し役”でもあるのです。
また、取引のガバナンスの強化は、コンプライアンスや企業価値の向上にも直結します。価格の妥当性を問い直すことは、単なるコスト削減ではなく、“経営の質”を高める第一歩です。
少しでも気になる見積もりがあれば、ぜひご相談ください。企業の皆様も、マンションの管理組合の皆様もお待ちしております。私たちの経験と知見が、きっとお役に立てると思います。