株式会社できる・杉本 嵩龍代表
企業経営において、単なる利益追求にとどまらず、「人」や「社会」に対してどんな価値を届けられるかが問われる時代。
そんな中、石川県金沢市を拠点に、企業向け研修やコンサルティングを行う株式会社できるの代表・杉本嵩龍氏は、「子供たちが未来に夢を持てる社会をつくる」という視点から、働く大人の在り方に焦点を当てた活動を続けています。
コーチングやLEGO® SERIOUS PLAY®を活用したユニークな研修を通じて、組織の変革を支援する杉本代表に、理念やキャリア、そしてこれからのビジョンについて伺いました。
「大人が輝けば、子供も未来に希望を持てる」
━━ 現在の事業内容について教えてください。
企業向けの研修や組織コンサルティングを行っています。特に、社員一人ひとりが「自分ごと」として仕事に向き合えるような、組織文化の土壌づくりをサポートしています。
特徴的なのは、レゴ®ブロックを使ってビジネスにおける課題を可視化する「LEGO® SERIOUS PLAY®」という手法と、幸動力コーチングを通じて内面の気づきを促すアプローチを組み合わせている点です。
この手法を取り入れたのは、想いをうまく言葉にできない人でも、形にすることで自然と語れるようになるからなんです。言葉にすることが苦手な人でも、ブロックという「作品」を媒介にすることで、自然と対話が生まれやすくなる。
また、立場や役職に関係なく、全員が同じ土俵で発言できるような仕掛けになっているので、普段は表に出てこないような声やアイデアも引き出されやすいんです。そういった声こそ、組織の未来にとって重要なヒントになると思っています。
━━ 事業の根底にある理念についても伺えますか?
一番の原点は、「子供たちが未来に夢を持てる社会をつくりたい」という想いです。
直接子供に関わるのではなく、働く親や大人たちが、いきいきと幸せそうに働いている姿を見せることが大切だと考えています。
そうした姿が、子供たちにとっての「大人っていいな」「働くって楽しそうだな」という感覚に繋がると信じています。
経営者を支える「右腕」として、組織を変えていく
━━ 経営者としてのご自身のビジョンを教えてください。
私は、社長の右腕のような存在になりたいと考えています。社長が持つビジョンや想いを、社員に伝わりやすい形に言語化する一方で、社員の声や現場の課題を社長に届ける。そうした橋渡しの役割が、私の大きなミッションです。
例えば、研修やワークショップの場では、社員の声を経営者が「初めてリアルに聞いた」と驚かれることもあります。そうした声をどう経営に活かしていくか、一緒に言葉にして、戦略や組織文化にまで落とし込んでいくところまで伴走するのが私のスタンスです。
「伝える」のではなく「伝わる」ところまで支援することが、“側近・補佐役”としての私の役割だと考えています。
経営者の孤独や苦悩も、自分自身の経験からよくわかります。だからこそ、最も信頼される相談相手でありたい。その想いが、今の私の原動力になっています。
━━ キャリアに影響を与えた出来事はありますか?
もともと家業の三代目として経営に携わっていたのですが、バブル崩壊後に会社を畳んだ経験があります。そこから全くのゼロから学び直し、組織や人材の重要性を再認識しました。あの経験がなければ、今の私の仕事や価値観は生まれていなかったと思います。
特に印象的だったのは、経営が傾いたときに残ってくれた社員たちの存在です。売上や数字では測れない信頼や関係性がいかに大切かを身をもって学びました。
だからこそ今は、数値目標だけでなく、人と人との繋がりに焦点を当てた経営支援を行いたいという想いが強くなっています。
「幸動力」が社会を変える。働くことに幸せを
━━ 大切にされている価値観や言葉があれば教えてください。
「幸せに働くこと」を重視しています。私はそれを「幸動力(こうどうりょく)」と呼んでいて、「自らの意志で働き、周りにも良い影響を与える力」と定義しています。
これは「幸せに動く力(幸動力)」「幸せに働く力(幸働力)」「幸せを導く力(幸導力)」という3つの要素で構成されていて、私の研修や支援の根幹を成しています。
━━ 今後の展望についてはいかがですか?
今後は、レゴ®シリアスプレイ®や幸動力コーチングの手法を活用したサービスをより多くの企業に届けていきたいです。特に中小企業の経営者の皆さんが、社員と同じ方向を向いて進んでいけるような組織づくりをサポートしたい。
私一人の力では限界がありますが、志を同じくする仲間とも連携しながら、活動の幅を広げていきたいと考えています。
特に、現場の声を丁寧にすくい上げ、経営層と社員の意識のずれを埋めるような関わりを増やしていきたいと考えています。
組織の変革は、仕組みや制度だけでは実現できません。一人ひとりの価値観や行動が連動してこそ、本当の意味で「幸動力」が育つ。その仕掛けづくりを、これからも大切にしていきたいと思っています。