一般社団法人フリーランスビジョナリー協会 田内 功 氏
フリーランスとして働く人が増える一方で、「どう始めればいいのか分からない」「収入が安定しない」といった悩みも多くあります。そんな課題に向き合い、フリーランスや小規模事業者の“最初の一歩”を支援しているのが、一般社団法人フリーランスビジョナリー協会です。
今回は、代表理事の田内氏に、協会設立の背景や取り組み、今後の展望についてお話を伺いました。
「まずは挑戦してみる」ための仕組みづくりを
── 協会ではどのような支援を行っているのでしょうか?
当協会では、フリーランスや小規模事業者の方が事業に挑戦しやすいよう、営業代行案件などを提供するプラットフォームを運営しています。特徴的なのは、初期費用や在庫リスクが一切かからず、会員が気軽に商品やサービスの販売に挑戦できる点です。
── まさに「営業代行のサブスク」のようなイメージですね。
はい、その通りです。月額制で複数の案件に取り組める仕組みになっており、自分に合った商材を探しながら“試せる”環境を整えています。こうした体験のなかで、自分の強みや方向性を見つける方も多くいらっしゃいます。
── 会員同士のつながりづくりにも力を入れているそうですね。
案件提供にとどまらず、会員同士の相互紹介や応援によるエコシステムづくりも推進しています。横のつながりが生まれることで、お互いの事業成長に貢献し合えるようなコミュニティを目指しています。
自ら動き出す個人を、社会の主役に
── 協会として掲げているビジョンについて教えてください。
私たちは「すべての人に自ら動き出す機会を」というビジョンを掲げています。今の社会は情報が多すぎて、頭では理解していても行動に移せない人が多いんです。だからこそ、「まず動く」きっかけをつくることが大切だと考えています。
── そのために、対話を重視していると伺いました。
はい。協会では、単なるノウハウ提供だけではなく、会員一人ひとりとしっかり面談し、事業の背景や目的を丁寧に引き出すようにしています。たとえば「この商品を売りたい」という相談があれば、「なぜ売りたいのか」「誰に届けたいのか」を一緒に掘り下げます。そこにその人らしい事業の軸が見えてくるからです。
経験に裏打ちされた“売れる仕組み”の提供
── 田内さんご自身のご経験について教えてください。
もともとはアパレル企業の宣伝部で、ECが普及し始めた頃からネット販促に携わっていました。その後はシステム販売やコンサルティングの分野へと進み、独立後は個人事業主向けにネット集客や商品販売の支援を行ってきました。
── その経験が協会の支援にも活かされているのですね。
そうですね。多くの方が、知識やスキルはあるのに「売ること」に苦手意識を持っていると感じました。仕入れリスクや集客の壁をどう乗り越えるかを、仕組みとして支えることが、協会の役割だと思っています。今は、自分の経験をもとにマーケティングやビジネスモデル構築のアドバイスをしながら、会員の伴走者として活動しています。
“軌道修正できる一歩”が未来を変える
── 会員の方には、どのような方が多いのでしょうか?
「自分のサービスに自信がない」「集客のやり方がわからない」といった不安を抱える方が多いです。そうした方に私がいつもお伝えしているのは、「まず小さな一歩を踏み出してみましょう」ということです。
── いきなり完璧を目指す必要はないということでしょうか?
その通りです。最初から完璧を求めて動けなくなるより、まずはやってみて、結果をもとに軌道修正していくほうが、無理なく自分らしく進められます。これは私自身の経験からも実感していることで、会員の皆さんにもその考え方を大切にしていただいています。
1000人のコミュニティを目指して
── 今後の展望について教えてください。
まずは年内に会員数1000人を目指して、案件の拡充や関係先との連携強化を進めていきます。また、会員同士が自然に協業したり、紹介し合ったりするようなコミュニティ形成にも注力していく予定です。
── 将来的には制度面での提言も考えていらっしゃるとか。
フリーランスがより安心して働ける仕組みをつくるために、制度や環境整備に向けた提言も行っていきたいと思っています。個人が主役になる社会は、すでに始まりつつあります。誰もが自分のペースで動き出せる。そんな社会の実現に向けて、今後も取り組みを進めていきたいですね。