株式会社ATE 代表取締役 五月女 莉菜 氏
現代社会において「健康」は多くの人が関心を寄せるテーマであり、中でも「食」は私たちの心身に深く関わるものです。
ファスティング(断食)や食育健康指導を通じて、人々の人生をより良くする支援を行っているのが、株式会社ATE代表の五月女莉菜さん。
自身の壮絶な経験をきっかけに、「知識こそが人生を変える力になる」と確信した五月女さんは、単なる健康法にとどまらない本質的な知識の提供に取り組んでいます。
今回はその思いや、事業に込めたビジョンについてお話を伺いました。
目次
人生を変える「知識」の提供が、企業理念の根幹に
――御社の事業内容や理念について教えてください。
当社は、主に臨床分子栄養医学に基づくファスティング指導を中心とした健康支援事業を展開しています。ファスティングというと“ただ食べないだけ”という印象を持たれがちですが、私たちが提供しているのは単なる断食ではありません。食生活を見直し、身体の機能を細胞から修復しリセットを図ることで、心身の健康を取り戻すための「知識教育と習慣づくりのサポート」です。
お客様の8~9割は女性で、働く女性や子育て中の方など、さまざまなライフステージの方がいらっしゃいます。私たちの理念は、「私や会社と関わった人の人生が、少しでも良くなること」。だからこそ、ただサービスを提供するのではなく、引き算のファスティングや足し算の栄養学といった人体の健康に関わる“本物の知識”を伝えることにこだわっています。
苦境を経てたどり着いた「誰にも奪われない財産」という概念
――ご自身のキャリアや、経営に至るまでの背景を教えてください。
もともとはフリーランスのセラピストとして活動していましたが、コロナ禍で仕事が激減し、無職のような状態になりました。時間が有り余っていたので自分にしかできないことを探すなかで、以前から関心のあったファスティング指導の資格をとりました。自分で実践していくうちに重度の肌荒れや精神的な浮き沈み、月経の痛みやアレルギーなどの改善に加え-13kgの減量に成功し身を持って効果を実感し、私のように人生を救われる人が必ずいると確信しました。
実は私は、23歳のときに信頼していた方から510万円の起業詐欺被害に遭い、多額の借金を抱えました。朝から深夜まで、時には夜通し働いて返済しました。その間の数年間は、誰にも会わず、誰とも連絡を取らずひたすら働き寝不足にストレス、人間不信と心も体も限界でした。
でも、そこから這い上がれたのは「正しい本質的な知識」と出会えたからです。健康面も経済面もすべてリテラシーの低さが、自分を苦しめていたと気づいたんです。
私はもともと勉強がとても嫌いで学生時代はほぼ勉強はせず、授業中もずっと寝ているような人間でした。だからこそ、社会に出て本当に苦労し、学ぶということの素晴らしさと豊かさに気づきました。
「知識は誰にも奪えない財産」だと思っています。モノやお金を失っても、知識さえあればまた立ち上がれる。正しい選択を自らの意思ですることができる。だからこそ、知識の力で人の人生を変えるような会社でありたいと考えています。
社内にも浸透する「自ら学ぶ文化」
――スタッフとの関係や組織運営についてはどうされていますか?
スタッフとの関係においても、お客様と同様、「知識を共有する」姿勢を大切にしています。自分の頭で考え、選択できる人を育てることを意識していて、「人生はすべて知識ゲーム。学ぶことで、人生の選択肢が広がる」という私の哲学は、組織運営にも反映されています。
スタッフ一人ひとりが主体性を持ち、常に専門分野はもちろん多角的に学び続けることで、自分自身も、お客様にも時代や要望に合わせ貢献できるようになると考えています。
また、コミュニケーション学や行動心理学、脳科学などの学びを積極的に取り入れ、どんなライフステージのどんな性格のスタッフでも安心して働きやすい環境づくりにも取り組んでいます。
知識を通じて生きやすい世の中をつくっていく
――今後の展望や挑戦したいことはありますか?
現在はファスティング指導やが中心ですが、今後は多角的に日本全体のヘルスリテラシーの向上に貢献したいと思っています。
いまの日本では、どの分野でも“本質的な知識”が不足していると感じていて、それを補うことが私の使命だと思っています。
例えば、女性の生理痛や月経前症候群が日々の食事や日常生活で何気なく使用しているものが原因で、それらがすべてなくなって生理前後の心身ともにしんどい期間がなくなったら…?お子さんのひどい癇癪が日々の食事が原因だとわかったら…?痩せない原因が努力不足で自分に甘いからではなくホルモンや脳機能に原因があるとわかったら…?情緒不安定やイライラしてしまうことが性格ではなく症状だとわかったら…?
どれだけの方が救われて生きやすくなるのでしょうか?原因がわかれば、正しい対処方や改善策がわかります。
ですのでそういったことをお伝えするスクール運営や、セミナー、講演、執筆などより力を入れていきたいです。子育てをされている親御さんや、大学や高校などの学生に向けても講義ができればいいなと思っています。
「必要なことと、そうでないことを判断できる自分」になってほしい。学べば、自分で選べるようになる。その選択の積み重ねが、人生を豊かにしてくれると信じています。
「知識こそが最大の資産」という哲学
――経営以外で大切にしていることやリフレッシュ方法があれば教えてください。
日々の健康管理そのものが、私にとってのリフレッシュです。心と体の声を聞いて、自分を大切にする習慣を継続すること。それが今の仕事にも直結していると思います。
日々の食事を楽しみ、よく寝て、よく笑い、よく運動する。友人、家族、愛犬との時間も大切にしています。最近はキックボクシングで体を動かしたくさん汗をかくことにハマっています!
また、経営の根底には常に「人の人生をより良くしたい」という想いがあります。ただ痩せる、ただ健康になる、ではなく、最終的には「自分を愛し、自信と誇りを持って生きていける人」を増やしていきたい。これが、私の人生におけるミッション。そのために、今後も精進し続け身体、心、そして社会的な知識をトータルで支援する存在でありたいと思っています。