株式会社GFエンタープライズ 大羽孝幸 氏
名古屋と三重・四日市を中心に飲食事業を展開するGFエンタープライズ株式会社。
現場主導のスピード感ある店舗運営に加え、「経営者を創る会社」として、若手の挑戦を後押しする独自の組織運営を展開しています。
「人生を経営する」という哲学を掲げ、飲食の枠を超えた未来を描く大羽代表に、これまでの歩みと今後の展望を伺いました。
目次
地域密着のドミナント展開と「経営者創造業」への挑戦
――現在の事業内容と、御社が掲げる理念について教えてください。
当社は、名古屋と三重・四日市を拠点に、複数ブランドの飲食店をドミナント戦略で展開しています。地域の駅前エリアに集中出店し、異なる業態を持ち込むことで、地域の多様なニーズに応えながら店舗間で相乗効果を生む形です。
私たちが目指しているのは、単なる店舗拡大ではありません。「経営者創造業」として、店舗を任せられる経営者を育てることを主軸に置いています。
一人で何十店舗も管理するのではなく、それぞれのエリアに社長を立て、彼らが独立した裁量と責任を持ちながら挑戦できる組織を目指しています。
人生を変えた決断──コロナ禍で踏み出した独立の一歩
――ご自身のキャリアと、独立に至ったきっかけを教えてください。
もともとは飲食・ホテルを手がける企業で役員を務めていました。ところが、コロナ禍で事業が大打撃を受け、「倒産もあり得る」という危機的状況に直面したんです。そんな中、専務の退職も重なり、「それなら自分が会社を買い取って再建しよう」と決断しました。
すべての責任を背負う立場になってから、「人生を経営する」という意識が強くなりました。立場が変わると、物事の見え方も、判断のスピードも、意思の強さも変わるんです。人間って環境で変わる──これは自分の実体験から確信しています。
また、独立後は、自分よりも経験豊富な経営者たちとの出会いが大きな刺激になりました。「人が運を運んでくる」とよく言いますが、本当にその通りで、出会いの質が自分の成長のスピードを決めると感じています。
「挑戦できる環境を用意する」のが経営者の役目
――社員との関係性や、組織運営において意識していることを教えてください。
私が大切にしているのは、「人は環境で変わる」という考え方です。研修や教育も大事ですが、何よりも「挑戦せざるを得ない環境」を用意することが重要だと考えています。
たとえば、完全独立ではなく、グループ会社の社長としてのポジションを用意しています。資金調達から経営まで実務を任せる形にすることで、リアルな経営経験が積める環境をつくっています。もちろん、私たちが連帯保証人になるなど、安全にチャレンジできる仕組みも整えています。
社員に求めるのは、「利他精神」です。他人のために動ける人でないと、経営者にはなれません。その上で、顧客と近い距離でリアルな声を聞き、現場の空気を感じられるような経営をしてほしいと思っています。
数値目標ではなく、「社長を何人創れるか」が挑戦の核心
――今後の展望や、新たに挑戦したいことについて教えてください。
2027年までに売上10億円、2030年には20億円を目標にしています。そのためには、必要な店舗数と、任せられる社長の数を逆算しながら動いています。現在は飲食が主軸ですが、今後は物販やEC、さらには海外展開も見据えています。
ただ、やはり最大の挑戦は「経営者を育てる」ことです。焦っても意味がないので、丁寧に人を見極めながら、一歩ずつ進めています。将来的には、希望者にバイアウトやM&Aといった「出口」も用意し、自分の人生を経営していける仲間を増やしていきたいと考えています。
「仕事が趣味」──だから本気で向き合える
――プライベートの時間や、リフレッシュの方法について教えてください。
正直に言うと、趣味は「仕事」です。年間1000万円以上を外食研究関連の投資に使っていて、全国の飲食店を見て回るのがライフワークになっています。これがインスピレーションや戦略のヒントになっているので、完全に仕事と趣味が融合していますね。
誰もやらないこと、やりたがらない事をあえて選び、困難な選択をする。その先にある結果が、私にとっては一番の学びと喜びです。だからこそ、「経営って本当に面白い」と感じるし、それを伝えていきたいと思うんです。
今後も「人生を経営する」という価値観のもとで、共に挑戦する仲間を増やしながら、社会にポジティブな変化を起こしていきたいですね。