株式会社デナリパム 代表取締役 井本直正氏
「あなたの思いを技術で形にする」――この社是を掲げ、株式会社デナリパームはAI・ロボット・IoT・5G・XRといった最先端技術を駆使し、社会課題の解決に挑んでいます。
産官学連携を軸に、誰もが先端技術を手軽に使える「技術の民主化」を目指す同社。
今回は井本直正代表に、会社の現状や経営哲学、そして未来への展望について伺いました。
目次
先端技術を社会に実装するための事業と理念
――御社の事業内容と特徴について教えてください。
当社はDXの企画開発支援、研究開発、スタートアップ支援の3本柱で事業を展開しています。特に研究開発を核としており、AI・ロボット・IoT・5G・XR・EdTechなど幅広い技術を網羅しています。
お客様はそれぞれの業務のプロフェッショナルです。その思いを技術でどう形にするかを共に考え、実現していくことを大切にしています。単なる製品提供ではなく、伴走型で課題解決に取り組むのが特徴です。
例えば、総務省のプロジェクトでAIを活用した地方自治体の課題解決に携わったほか、搬送ロボットの技術を専門学校に提供し、学生が実物大のロボットを制作する教育支援も行いました。PCとウェブカメラでAIを非接触利用できる「ビジョンコントローラー」や、軽量デバイスで体験できるMR技術も社会実装につながっています。
起業に至るまでの歩みと経営者としての原点
――起業に至った経緯をお聞かせください。
大手製造業と直接取引のあるソフトハウスで40年近くシステム開発に携わり、PCやネットワークが普及する前から業務改善に取り組んできました。iPadが存在しない時代にタブレット端末を使った現場管理の仕組みも早期に実現しました。しかし受託開発では、新しい技術を自由に展開できないという課題を感じていました。
「一社に提供するだけではもったいない、もっと多くの場所で活かしたい」と考え、自己資本100%でデナリパムを創業しました。
若手時代に出会った厳しいコンサルタントの存在も大きな影響でした。物流センターを短期間で立て直す経験を通じて挑戦の重要性を学び、その姿勢は今も経営の基盤となっています。
透明性ある経営と人材の主体性を引き出す取り組み
――社員や関係者とのコミュニケーションで大切にしていることは何でしょうか。
大切にしているのは「透明性の高い経営」です。給与や税金の仕組み、会社の財務状況まで包み隠さず共有することで、社員が会社を自分ごととして捉え、主体的に業務に取り組むようになります。
また「できるできないではなく、やるかやらないか」という信条を共有しています。まず挑戦し、分からなければ助けを借りる。この姿勢が、萎縮せず積極的に取り組める環境をつくると考えています。
自社製品で市場を切り拓くこれからの挑戦
――今後の事業展開についてお聞かせください。
これまでは個別課題の解決に特化した支援が中心でしたが、今後は自社製品や研究成果を広く社会に展開していきたいと考えています。AIなどの技術を活用し、効率的にサービスをスケールできる仕組みを構築することを目指しています。
現在の課題は「市場創出」です。知名度は高まってきましたが、自社製品を軸に市場を開くノウハウはまだ不足しています。外部評価を取り入れながら仮説検証を重ね、市場性を高めていく取り組みを進めています。こうした挑戦を重ねることで、先端技術を誰もが手軽に使える未来を実現したいと考えています。
経営者としての素顔と日常のリフレッシュ方法
――お忙しい中でのリフレッシュ方法を教えてください。
リフレッシュ方法は「休むこと」です。仕事中は常に動いているため、プライベートでは“電池の切れたロボット”のように、何もしない時間を意識的につくっています。散歩も気分転換になり、心身のバランスを整える大切な習慣です。
休息を大切にすることで、また新しい発想や挑戦への意欲が自然と湧いてきます。これからも自分自身を整えながら、社会に先端技術を広げていく歩みを続けていきたいと考えています。