株式会社G.com R&M 高橋 誠 氏
少子高齢化や労働人口の減少、そしてDX化の波。社会が直面する課題に対し、ITの力と人の力を掛け合わせて新しい価値を創り出す企業があります。それが株式会社G.com R&Mです。今回は同社CTOの高橋氏に、事業の現状から未来への展望、そして個人的な価値観までお話を伺いました。
ITで介護を支える事業と理念
――現在の事業内容と特徴を教えてください。
弊社は元気グループの一員として、教育、医療、介護といった多岐にわたる分野を支えるIT部門を担っています。建物や設備のメンテナンス、清掃管理などのアフターサービスを主に行う一方で、介護分野におけるDX化も進めています。その代表的な取り組みが、独自開発した「元気de安心システム」です。
――企業理念についてお聞かせください。
私たちは「人とITで共に生きる未来を作る」という理念を掲げています。単にシステムを提供するのではなく、人の営みに寄り添いながらITを溶け込ませていくことを目指しています。ITを活用することで人手不足を補い、人が人らしい仕事に専念できる環境を作ることが私たちの使命です。
IT業界から介護DXへ――キャリアの転機
――これまでのキャリアと、今の立場に就いた経緯を教えてください。
長年HPやコニカミノルタなどで、法人向けのサーバー事業やクラウド、リスキリングに携わってきました。60歳を迎えた頃に元気グループに入社し、その経験を通じて介護事業のDX化の必要性を強く感じ、代表から「この分野を任せたい」と声をかけられ、CTOとして参画しました。社会に還元できる仕事だと確信したのがきっかけです。
――仕事をするうえで大切にしている価値観は何ですか。
大切にしているのは「現場主義」と「実践主義」です。現場の声を直接聞き、必要なものを見極めて実際に行動することを重視しています。ITはあくまでツールであり、それを活かす人が中心であるという考え方が私の根底にあります。
少数精鋭で築くフラットな組織
――社員の主体性を引き出すためにどのような工夫をしていますか。
少数精鋭の組織ですが、一人ひとりに裁量を与えています。「元気de安心システム」の外販準備では、イベント出展からパートナー連携まで任せるようにしています。困ったときにはフォローしますが、基本的には自ら考えて動くことを求めています。
――社内の雰囲気や文化について教えてください。
とてもオープンでフラットな環境です。役職に関係なく意見を出し合い、新しいアイデアも積極的に取り入れています。元気グループ全体で「共に生きる」という理念を掲げていることもあり、助け合いの精神が自然に根付いていると感じます。
介護DXを軸に広がる未来構想
――今後の事業展開について教えてください。
まずは「元気de安心システム」を全国の介護施設や病院に広げていくことです。パートナー企業との協業や展示会出展を強化し、社会に広めていきたいと考えています。将来的には医療・介護分野にとどまらず、IoT技術を活用した新しい領域にも進出していきたいと思います。
――業界の未来についてはどう見ていますか。
介護業界の人手不足は深刻で、DXによる効率化は不可欠です。今後はAIを活用したデータ分析も進みます。「元気de安心システム」で得られる睡眠やバイタルのデータを解析し、医療従事者をサポートする仕組みをさらに強化していきたいです。社会全体が大きな変化の時代を迎えるなかで、私たちはITを通じて働く人の負担を減らし、人が人らしく生きられる未来をつくっていきたいと考えています。読者の皆さまにも、ぜひ新しい技術や取り組みを前向きに受け止め、一歩踏み出していただければと思います。
仕事と学びを支えるプライベート
――仕事以外のリフレッシュ方法を教えてください。
休日は家族との時間を大切にしています。また、自然の中で過ごすことで気持ちを整えるようにしています。
――経営以外で熱意を注いでいることはありますか。
新しいIT技術に触れることです。常にアンテナを張り、技術の進化が社会にどう影響するかを考えるのが好きです。学び続ける姿勢こそ、未来を切り拓く原動力になると信じています。