株式会社switz 代表取締役 中川里美氏
AIの進化によって「書く」という行為の価値が問われる現代。そんな時代において、プロライターの「組織力」で高品質なライティングを提供するのが株式会社switzです。代表取締役の中川里美氏は、バックパッカーから経営者へと歩んだ異色のキャリアを持ち、ライター業界全体の底上げを目指して挑戦を続けています。今回は、事業の強み、組織運営の工夫、そして未来への展望について伺いました。
組織で届ける高品質ライティングの仕組み
――御社の事業内容と特徴について教えてください。
弊社は企業向けにライティングサービスを提供しています。特徴は「組織」で案件に対応する点です。約110名のライターが在籍し、ヒアリングを通じて最適な人材をアサインします。
また、執筆と確認を分担する「組織ライティング」により、多角的に推敲を重ねます。誤字脱字だけでなく、構成や表現まで見直し、高品質と短納期を実現しています。
――企業理念やビジョンについてお聞かせください。
理念は「ライター業界の質を底上げすること」と「ライティング未導入企業をゼロにすること」です。登録ライターとは必ず面談し、スキルや人柄を確認します。プロの活躍の場を広げ、業界全体の価値向上に努めています。
また、多くの企業が「伝え方」に悩んでいます。AIにはできない「心に響く言葉」で魅力を最大化し、ビジネスを加速させたい。最終的には、ライティングが当たり前に活用される社会を目指しています。
バックパッカーから社長へ──起業の原点
――中川代表が経営者になられた経緯を教えてください。
20歳の頃、バックパッカーとして訪れたアメリカで日本人経営者に誘われライターを始めました。メディア運営に携わり関西支部長も務めましたが、コロナ禍で事業は売却。その後挑戦した飲食業も断念しました。法人格だけが残った時、「自分にできるのはライティングだ」と決意し、25歳で「switz」として再出発しました。
――社名に込めた想いを教えてください。
「switz」は名前の頭文字Sと「with」を組み合わせた造語です。ライターやクライアントと共に成長していきたいという願いを込めています。
――経営者として大切にしている価値観はありますか。
「金額は責任の対価」という考えを大切にしています。安価な報酬ではなく、スキルに見合った正当な対価を得ること。三者が納得できる関係を築くことを意識しています。
100名超のライターを支える信頼づくり
――100名以上のライターと関わる上で大切にしていることは何ですか。
ライターをパートナーとして捉え、コミュニケーションを最も重視しています。新しい案件は背景や目的を共有し、しばらく依頼できていない方にも定期的に声をかけます。こうしたやり取りが信頼関係の基盤になります。
――ライターさんにはどのような特徴がありますか。
皆さんプロ意識が高く、特に重視しているのは「向上心」と「素直さ」です。AI時代を生き抜くためには学び続ける姿勢が不可欠ですし、組織ライティングでは他者からのフィードバックを受け入れる柔軟さも求められます。互いに学び合いながら成長する文化が根付いています。
AI時代の戦い方──switzの事業計画
――今後の事業展開について教えてください。
一つは、自社メディアの立ち上げです。ライターさんの活躍の場を広げ、同時にswitzの品質を示す場にしたいと考えています。もう一つはライティング教材の開発です。採用・育成ノウハウを体系化し、初心者から中級者まで段階的に学べる仕組みを整え、業界全体の底上げを推進します。
――業界の将来をどのように見ていますか。
ライター業界はAIの進化により二極化すると考えています。情報整理はAIが担う一方で、専門性や感情に響く表現、独自取材など付加価値を持つライターの価値は高まります。そうした人材が正当に評価される環境をつくることが私たちの使命です。
家族時間と仕事──私のリフレッシュ法
――プライベートでのリフレッシュ方法を教えてください。
今は2歳の子どもと過ごす時間が一番の幸せです。日曜日は「家族デー」と決めており、家族で出かける時間が何よりのリフレッシュになっています。仕事と家庭の両方が、私にとってかけがえのない時間です。
――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
ぜひ一度、「プロのライティング」を活用してみてください。貴社の素晴らしい製品やサービスの魅力は、まだ十分に伝わりきっていないかもしれません。AIにはできない「心に響く言葉」を私たちが届け、ビジネスを次のステージへ押し上げるお手伝いをさせていただければ嬉しく思います。