伝統を受け継ぎ挑戦を続けるニット製造の未来――キップス株式会社 田中康雄専務に聞く

キップス株式会社 代表取締役社長 田中 康雄 氏

創業から100年以上にわたり、ニット製品のOEM製造を手掛けてきたキップス株式会社。福島県の工場と東京・墨田区の本社を拠点に、伝統の縫製技術を活かしながらも、地域連携や新規事業開発など幅広い挑戦を続けています。今回は5代目として経営を担う田中社長に、会社の現状や後継者としての歩み、社員との関わり、そして今後の展望について伺いました。

ニット製造を基盤に新しい可能性を模索

――御社の事業内容や強みについて教えてください。

当社はニット製品を中心としたOEM製造を行っています。「ニット」という言葉でイメージされるセーターやカーディガンなどでなく、Tシャツやパーカーといった丸編みのニット製品をメインに幅広いカジュアルウェアを手掛けています。取引先のブランドやデザイナーの依頼に応じて生産を行うOEM製造のため、自社のアパレルブランドは持っていませんが、確かな縫製技術を強みに信頼をいただいています。

福島県の東白川郡鮫川村に工場を構え、地域のベテランの職人が日々ミシンを踏んで製造に励んでいます。滑りやすい素材や扱いにくい生地でも縫い上げられる職人技術は大きな強みです。現在はアパレル業界に加え、作業着ブランドの立ち上げや、銭湯&サウナ用ウェア、さらにはニットで作った花瓶などインテリア領域への挑戦も進めています。

後継者としての歩みと転機

――後継ぎとして入社された経緯を教えてください。

私はもともと継ぐ予定はなく、専門学校にも通っていませんでした。大学卒業後は別の企業で働いていたのですが、父が急遽社長に就任したことをきっかけに、家業を支えるため入社しました。想定外の展開でしたが、自分にできることを模索する中で、ホームページの制作やオリジナルプロダクトの開発など、新しい取り組みを進めてきました。

――キャリアの中で印象的だった出来事はありますか。

墨田区の行政が主導する経営塾に参加したことです。同世代の後継者や経営者と交流し、視野が広がりました。もともと「やりたい業種ではない」と距離を置いていた家業に対しても、主体的にどう関わるかを考える転機となりました。そこで得た刺激が、現在の挑戦的な姿勢につながっています。

社員の主体性を引き出す仕組みづくり

――組織運営で意識されていることは何でしょうか。

本社は6名、工場は約23名体制で運営しています。工場の従業員は高齢化が進んでおり、平均年齢は60歳を超えています。一方でベトナムからの技能実習生も受け入れており、多様な人材が活躍しています。

直近では墨田区のスタートアップ支援事業に参加し、若い企業と共同で新しい製品を開発する取り組みを始めました。経営層が口を出さず、社員同士で企画から製造までを進める形をとることで、学びや挑戦の場を提供できています。これは社員教育にもつながり、会社全体に新しい風をもたらしています。

経営者としての素顔とリフレッシュの時間

――プライベートでのリフレッシュ方法を教えてください。

最近はサウナに通うことが楽しみの一つです。熱気に包まれ汗を流すことで頭が整理され、新しい発想も生まれます。こうした趣味がそのままサウナウェア開発にもつながっており、仕事と生活を一体化させる形で楽しんでいます。さらに、経営における判断や構想を練る際にもサウナで得られるリフレッシュ感が大きく寄与しており、私にとって欠かせない時間となっています。

地域と観光を結びつける新たな挑戦

――今後の展望について教えてください。

アパレル業界は市場縮小が続いていますが、縫製技術を生かせる新たな領域を開拓したいと考えています。オリジナルブランドもあくまで生産背景を維持しながら異なる畑でマネタイズする施策となっており、また新たに民泊向けのウェア開発も施策中です。本社ビルの上階も民泊運営に活用しており、宿泊者向けにパジャマ兼ワンマイルウェアを提供できないかと構想しています。市場規模も広がる可能性がある観光領域の中で、宿泊客が持ち帰ればお土産にもなるウェアで、観光体験と日本のものづくりを結び付けられるビジネスを考えています。

また、中小企業支援や地域活性化にも力を入れています。同世代の後継者と共に組織した「継創(ツギヅクリ)」というチームでイベントやフェスを企画し、ワークショップやプロダクト発表の場を提供する活動を続けています。福島工場の維持は大きな課題ですが、地域全体に人を呼び込む仕組みをつくることで、新しい産業や働き手を生み出し、工場の存続にもつなげたいと考えています。

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