株式会社green peace 代表取締役 山本 裕教氏
株式会社green peaceは、出版とPRを軸に事業主の発信を支援しています。山本代表は、雑誌の企画やプロデュースを通じて独自の事業モデルを築いてきました。少人数組織での運営や社員への向き合い方、そしてAIを取り入れた新規事業構想など、これからの展望について語っていただきました。
出版業界の課題に挑む現在の事業
――御社の事業内容や強みについて教えてください。
現在は雑誌広告を中心に、出版社との連携による企画制作を展開しています。小学館や集英社をはじめ、ほとんどの大手出版社と取引があり、これまで1000件以上の実績を積んできました。
特に当社の強みは「企画力」です。ただ広告枠を販売するのではなく、読者プレゼントや推薦コメント付きの特集など、付加価値を持たせた企画を設計することにこだわっています。単なる寄せ集めではなく、テーマに沿った一体感ある誌面をつくることで、クライアントから「御社だからお願いしたい」と言っていただけるのが大きな強みです。さらに、媒体と広告主の双方に納得感をもたらすことを常に意識し、長期的な関係づくりにつなげています。
苦難の中で築いた経営者としての原点
――経営者になられた経緯を改めてお聞かせください。
私はもともと共同経営の会社で「雇われ社長」を務めていました。しかし、売上至上主義の方針や過酷な労働環境に疑問を抱き、退職を決意しました。弁護士を介してようやく辞めることができ、2014年に自宅の一室からgreen peaceを立ち上げました。
当初は売上がほとんど立たず、生活も不安定でした。それでも出版社の方々や知人から「辞めるのはもったいない」と声をかけていただき、お仕事を紹介していただけたことが大きな支えになりました。今振り返れば、多くの方とのご縁に助けられて今日まで続けてこられたのだと思います。現在も「恩を次世代につなげる」という意識を忘れずに経営を続けています。
社員の主体性を重んじる組織運営
――社員との関わりで大切にしていることは何でしょうか。
前職での「恐怖による管理」が嫌だった経験から、当社では信頼関係をベースにしています。社員一人ひとりの強みを見極め、適材適所に配置することを重視しています。そのために雑談も含めた対話を多く持ち、本人がやりがいを感じられる環境を整えるよう努めています。
また、全員がリモート勤務で全国に散らばっていますが、自由度の高い働き方を認めることで、結果的に離職防止や主体的な成長につながっています。最終的には「自立できる人材を育てること」が私の役割だと考えています。社員の可能性を引き出すこともまた、経営者としての大切な使命だと思っています。
新たな挑戦と未来への展望
――今後の事業展開について教えてください。
雑誌広告だけに依存するのではなく、新しい柱をつくる必要があります。その一つが、セールスライティングや「五徳思想」に基づいたコミュニケーション手法を組み合わせたコンサルティング事業です。
営業に苦手意識を持つ人でも、正しいコミュニケーションを学ぶことで営業を楽しく感じられるようになります。私自身も営業嫌いから「営業が好き」へと価値観が変わりました。この経験を活かし、営業や人間関係に悩む方々の支援につなげていきたいと考えています。
出版業界は厳しい状況にありますが、挑戦をやめなければ必ず新しい道が開けると信じています。小さな組織だからこそできる柔軟な取り組みを武器に、時代の変化に対応しながら新しい価値を生み出していきたいです。これからの出版とPRの世界に、green peaceの挑戦が新しい風を吹き込むことを目指しています。
家族と過ごす時間が最大のリフレッシュ
――プライベートでの趣味やリフレッシュ方法を教えてください。
一番の楽しみは家族との旅行です。必ず妻や娘と一緒に行くようにしており、仕事で疲れた心を癒す大切な時間になっています。
また、日常生活でも「誰かの役に立ちたい」という想いを持っています。飲食店で食事をした際も、片付ける人のことを考えて食器をまとめたりゴミを整理したりするよう心がけています。小さなことかもしれませんが、人に親切であり続けたいと思っています。

