株式会社First Fun 代表取締役 岩崎 聖 氏
株式会社First Funは、システム開発とウェルネスケアという一見異なる領域を掛け合わせた事業を展開している企業です。「可能性を広げ、ワクワクする未来を」という理念を掲げ、企業の生産性向上と従業員の健康支援を両輪で進めています。今回は、代表の岩崎聖氏に、事業の特徴や経営に込めた想い、組織運営の工夫、そして今後の展望について伺いました。
二本柱で進める事業戦略
――現在の事業内容と特徴を教えてください。
当社は「IT事業」と「ウェルネスケア事業」の二本柱で展開しています。IT事業ではSES(システムエンジニアリングサービス)と自社開発を行い、特にWEB開発の分野に強みを持っています。一方のウェルネスケア事業では、企業の福利厚生として整体やヘッドスパを提供し、従業員の心身をケアするサービスを導入いただいています。
この発想の背景には、私自身がエンジニア時代に感じた「心身の疲労が生産性低下の要因になる」という実体験があります。システム開発に携わる中で、健康管理はエンジニアだけでなく、あらゆる業種に共通する課題だと実感しました。その課題解決を支援するため、ITとウェルネスを融合した事業モデルを立ち上げました。社員にとっても、自社サービスの恩恵を受けながら働けることがモチベーションにつながり、結果的にクライアントへ提供できる価値も高まると考えています。
起業の原点と理念
――起業に至った経緯や大切にしている理念をお聞かせください。
会社を立ち上げたきっかけは、「自分がやりたいことをやれない世の中を変えたい」という思いです。エンジニア時代、やりたいことがあっても動ける範囲が限られていると感じ、自ら道を切り拓こうと決意しました。
理念として掲げているのは「可能性」ではなく「可動性」を広げること。人が動ける範囲を広げ、将来を思い描きながらワクワクできる未来を実現したいと考えています。座右の銘は「無知を恐れず、未知を楽しむ」。挑戦を楽しみながら、未知の世界に飛び込む姿勢を大切にしています。
社員と共に育む挑戦の文化
――社員や組織運営で大切にしていることは何ですか。
社員はまだ少人数ですが、共通認識として理念を強く意識してもらうようにしています。指示の背景には必ず理念がありますし、それを共有することで判断基準がぶれない組織を目指しています。
また、社内文化として「挑戦を楽しむ」を掲げています。知らないことを恐れず、質問や試行をポジティブに受け止められる環境づくりを意識しています。実際に、整体師として入社したメンバーが営業にも挑戦し、今では一人で案件を回せるようになりました。成長を実感できる環境を整えることで、社員が挑戦を楽しみながら力を発揮できるようになっています。
仕事そのものがリフレッシュ
――プライベートでのリフレッシュ方法はありますか。
実は仕事をしている時間そのものが楽しいと感じています。自分たちの事業をどうすれば企業に価値として提供できるかを考えることが、最もワクワクする瞬間です。とはいえ、リフレッシュの一環として、自社のセラピストに施術を受けることもあります。心身を整える時間があるからこそ、また新しい挑戦に向かえるのだと思います。
全国展開とプラットフォーム化を目指して
――今後の展望について教えてください。
短期的には福岡・佐賀から全国への展開を目指しています。ウェルネスケアを導入する企業はまだ大企業が中心ですが、中小企業にも必要性は高いと考えています。従業員の健康を守ることは、退職リスクの軽減や生産性向上に直結するため、認知を広げて導入を促進していきたいです。
長期的には、整体師やセラピストと企業をつなぐプラットフォームを構築し、全国規模でマッチングできる仕組みを整えたいと考えています。さらに、データ活用による健康状態の可視化や、AIを用いたマッチング精度の向上など、IT企業としての強みを生かした新しいサービス開発にも挑戦したいです。社会全体で「働きながら健康を保つ」という文化を根付かせることが、最終的なゴールだと思っています。

