株式会社アルマード 代表取締役社長 保科 史朗 氏
2000年に設立された株式会社アルマードは、「卵殻膜」を配合した化粧品・健康食品の企画・開発・製造を行う企業です。設立以来、着実に成長を続け、2021年には東京証券取引所スタンダード市場に上場。現在は「売上100億円」の目標を掲げ、さらなる飛躍を目指しています。今回は、代表取締役社長の保科氏に、これまでの歩みと今後の展望について伺いました。
卵殻膜に込めた理念と事業の広がり
――現在の事業内容と会社の特徴について教えてください。
弊社は「世界の人々の人生に健康と美しさをもたらす 卵殻膜とバイオテクノロジーで。」の理念のもと2000年10月に設立し、化粧品・健康食品の企画・開発・製造を行っています。最大の特徴は、全商品に「卵殻膜」という素材を配合している点です。卵殻膜は卵の殻の内側にある厚さ0.07ミリほどの薄い膜で、弊社の長年に渡る研究により健康や美容に大きな効果をもたらすことが明らかになっています。私たちはこの素材を差別化の核とし、卵殻膜で美と健康を提供するパイオニア企業を目指しています。
事業は4つのチャネルで展開しています。直販事業(ネット通販)、テレビショッピング事業、ドラッグストアなどの店頭流通事業、そしてOEM事業です。現在は社員約90名体制で運営し、売上高84億円を超える実績を重ねています。今後は店頭流通の比率を現状の約6%から20%まで引き上げることを重点戦略としています。
証券会社からの転身と社長就任までの道のり
――社長に就任されるまでの経緯をお聞かせください。
アルマードは2000年に設立後、創業者の長谷部由紀夫の「卵殻膜を世界に広めたい」という思いから2007年に大手企業の傘下入りをしましたが、その後2014年に再び独立しました。上場企業となり自力で卵殻膜を世界に広める選択肢を選んだのです。そのタイミングで私は野村證券から転職し、上場準備を担当しました。
ただ、その当時はまだ上場企業となるための課題も多かったため、一時ファンドの力も借りながら紆余曲折の末、入社してから7年後の2021年に無事上場を果たしました。上場時は外部招聘の社長が指揮を執っていましたが、任期を経てバトンを託され、私が代表取締役を引き継ぎました。印象深い経験は、初めて株主総会で壇上に立った時。上場企業の経営者として、想定問答を自ら準備し株主の声に直接応える場は、これまでのキャリアで最も緊張し、かつ成長を実感した瞬間でした。
主体性を重んじる組織づくり
――社員との関わりや組織運営で大切にしていることはありますか。
弊社は社員個人の裁量で在宅と出社を選べるハイブリッド型の勤務体系を導入しています。ライフステージが変化しやすい30代女性社員が多いため、柔軟な働き方を整備することは必須でした。ただし、リモート中心では「ちょっとした声かけ」が不足するため、オンライン会議では必ず発言機会を設け、主体性を育む工夫をしています。
採用においても「自分で考え、行動できる人材」を重視しています。そのためキャリア採用が多数を占めますが、自然と自発的に動けるメンバーが揃っており、比較的小規模ながら活発な組織文化が根付いていると感じます。
経営者としての哲学とリフレッシュ
――プライベートや座右の銘について伺えますか。
私の信条は「タフ・ラフ・アバウト」です。経営者はタフでなければ組織を導けませんし、細部にこだわりすぎると部下の挑戦を阻んでしまいます。ラフでアバウトな姿勢こそが組織を前に進める力になると考えています。この言葉は証券会社時代に学び、今も座右の銘としています。
また「人間万事塞翁が馬」という言葉も大切にしています。目先の事に一喜一憂せずどっしり構えるべし、という教えは、日々の経営判断にも通じます。リフレッシュ法は旅行やウォーキングで自然に触れること。心身のバランスを整えることが、次の挑戦への活力につながっています。
卵殻膜という素材が持つ可能性を信じ、社員とともに歩み続ける。その先に、アルマードが化粧品・健康食品業界の新しい未来を切り開く姿を思い描いています。
トップ10入りを目指した未来戦略
――今後の展望や挑戦について教えてください。
直近の目標は売上100億円ですが、その先には「国内化粧品・健康食品企業のトップ10入り」という野望があります。その実現には店頭流通を拡大することが不可欠です。これまではネット通販を成長ドライバーとして拡大してまいりましたが、さまざまな課題もあり、構造改革が急務と考えています。
また、テレビ離れやネット広告費の高騰など外部環境の変化にも対応しなければなりません。今後5年間で利益率を高めるため、CRM強化による顧客LTVの向上、継続率改善に注力します。さらにM&Aも視野に入れ、スピード感ある成長を追求していきます。