株式会社ゼロキャピタル 代表取締役 鈴木元樹 氏
IPO経験や財務の専門知識を活かし、現在は医療法人の経営支援に注力する株式会社ゼロキャピタル。代表の鈴木氏は、財務コンサルから経営全般に携わる中で、医療分野に強い魅力を感じ、独自のポジションを築いてきました。経営の現場で培った実践的な知恵とスピード感ある姿勢について伺いました。
目次
医療法人を支える財務コンサルティングと経営支援の実像
――現在の事業内容や理念について教えてください。
当社は2012年に独立して立ち上げました。元々は財務コンサルティングを軸にスタートしましたが、現在は医療法人や病院を中心とした経営支援が主な事業です。財務面の改善だけでなく、組織運営や人事制度の構築など経営全般に携わることも多くなっています。
「問題や課題は必ず起こるもの」と捉え、柔軟に対応していくことを大切にしています。従業員を多く抱える会社ではなく、必要に応じて信頼できる専門家や業務提携先と連携し、最適な形で課題解決にあたるのが当社のスタイルです。特に医療分野は法律や制度が複雑なため、経験と知識を生かして現場に寄り添った解決策を提示しています。
IPO経験から独立へ――経営者としての転機
――経営者になられたきっかけを教えてください。
サラリーマン時代はIPOを2度経験しました。特に2社目では規模が年商50億円ほどでありながら上場を達成し、監査対応から書類作成まで一人で任された経験が大きな財産となりました。しかしリーマンショック後の円高で業績が悪化したことを機に独立を決意しました。
当初は中小企業向けに財務コンサルを行っていましたが、ある病院との出会いが転機となり、医療法人の経営に深く関わるようになりました。財務改善を入り口に、経営方針の策定や病院運営の実務まで携わる中で「医療経営の面白さ」に惹かれ、現在の専門領域へとつながっています。
――仕事において大切にしている価値観は何でしょうか。
スピード感です。10日かかると言われる業務を1〜2日で終わらせることもあります。課題を早めに解決し、相手に喜ばれることが自分の強みであり、信頼につながると考えています。効率のよい業務遂行は経営者としての武器であり、長年の現場経験が裏付けとなっています。
組織を動かす鍵はコミュニケーションと現場での実践
――社員や関係者との関係づくりで意識していることはありますか。
現在は1人法人として動いていますが、医療法人に役員として参画した際には、従業員向けに経営方針を直接説明し、組織の一員として関わりました。そこで感じたのは「コミュニケーションを怠らないこと」の重要性です。
病院では形式的な集まりが少ないこともあり、忘年会など小さな交流の場を作るだけで職員の表情が変わるのを見ました。人が動くのは制度や仕組みだけでなく、日常の対話や安心感からだと改めて実感しました。経営者の姿勢がダイレクトに伝わる現場だからこそ、丁寧な声かけや日常的な関わりが何よりも組織の力になります。
アウトドアで心身を整える経営者の素顔
── リフレッシュ方法や趣味について教えてください。
アウトドアが好きで、ドライブやスキー、ゴルフを楽しんでいます。将来的にはキャンピングカーを手に入れて、全国を旅しながら仕事と趣味を両立したいと考えています。仕事で全国を飛び回ることも多いですが、その土地の文化や風景に触れることが心身のリフレッシュにつながっています。地方に出向くたびに得られる出会いや発見は、経営の新たなヒントになることも少なくありません。
財務と医療の両面から切り開くM&Aと未来展望
── これからの展望についてお聞かせください。
医療法人の経営支援をさらに広げていきたいと考えています。特にM&Aの分野では、単なる仲介ではなく、財務と医療の両方の知見を持つことが大きな強みです。法律や規制も絡む分野ですが、専門知識を武器に付加価値を提供していきたいと思います。
また、事務所拡大や人材採用も視野に入れています。必要な時に柔軟に人材と連携しながら、着実に規模を広げ、医療業界における信頼できるパートナーとして成長していくことが目標です。地域ごとに異なる医療課題にも応えられるよう、全国各地にネットワークを広げる構想も描いています。

