リライル株式会社 代表取締役 野口 五丈 氏
リモートワークやクラウド会計が普及する中、地方企業への対応や優秀な人材の採用に新たな工夫を凝らす会計事務所が注目を集めています。野口氏が率いる会計事務所は、全国対応のクラウド会計支援を強みに、地方の優良企業や人材を積極的に取り込む独自の戦略を展開しています。今回は、野口氏の経営理念や会社運営の工夫、そして自身のキャリアの歩みを通して、現代の会計事務所の挑戦と可能性に迫ります。
目次
東京だけではなく地方の企業も含めて全国対応
——まず、御社の事業内容と特徴について教えてください。
弊社は会計事務所ではありますが、クラウド会計ソフト「フリー」を早期から導入してお客様を支援してきたことが特徴です。ITベンチャーを中心に、東京だけでなく地方の企業も含めて全国対応しています。リモートでの対応が可能なため、地方の優良企業やDX化を望む老舗企業にもアプローチができるのが強みです。
全国規模で信頼を得る
——地方の企業への展開について、具体的な傾向はありますか?
大きく2パターンあります。一つは都市部でIT企業に勤めていた方がUターンしてリモートワークで働くケース。もう一つは、地方に根ざした老舗企業で代替わりのタイミングにDX化を進めたいというケースです。地方の税理士では対応できない部分を弊社がサポートすることで、全国規模での信頼を得ています。
安心と納得をお届けしたい
——会社としての経営理念やビジョン、組織体制について伺わせてください。
「お客様に安心と納得を届けること」が理念です。その手段としてクラウド会計の活用を進めています。今後2~3年で地方クライアントの割合を約3分の1、5年後には半数以上に拡大したいと考えています。また、社員の採用や働き方も柔軟にし、全国から優秀な人材を迎え入れることで、組織力を高めています。
正社員24名を含む37名の体制ですが、社員一人ひとりの主体性を引き出すことを重視しています。年初に個々の目標を設定し、定期的に達成状況を確認して課題を解決する。リモートでも声をかけやすい環境作りをしています。コミュニケーションはリモートでも重要ですので、オンライン・オフライン両方の工夫を大切にしています。
見出頭を使って社会を動かしたいし
——経営者としてのキャリアのきっかけは?
高校生の時に映画を見て「頭を使って社会を動かすヒーロー像」に感銘を受け、会計士を志しました。その後、リーマンショックによるリストラなどを経験し、自分で主導権を握りたいと思うようになり独立しました。
類は友を呼ぶの言葉の通り、人柄の良いメンバーに囲まれて
——経営する中で、何か印象深いエピソードがあれば、そして御社の強みなどもぜひ伺いたいです。
開業して間もない頃、関与した顧客が脱税していて国税の調査部隊が入ったことがありました。弊社自体に問題はありませんでしたが、この経験で顧客の見極め力が養われました。現在では、契約する顧客を慎重に選び、リスクを管理する意識を持っています。
ちなみに社員に求める素質は、コミュニケーション能力と柔軟性です。採用面接では、突発的な質問にどう対応するか、自ら発言できるかを重視しています。日々の業務では、決算報告会などで気づいた点をその場で共有し改善を促すことで、社員の能力開発をサポートしています。
全国対応型の会計事務所として走り続けたい
——今後の展望と課題は?
地方の優秀なクライアントと人材を掘り起こし、組織力をさらに高めることが課題です。物理的な距離のあるリモート環境でコミュニケーションを活性化させるため、仮想オフィスやオフラインイベントを積極的に活用しています。これにより、社員同士の信頼関係やモチベーションを高め、全国対応型の会計事務所として進化していきたいと考えています。
気分転換をすることで、新しいアイデアに出会える
——プライベートでのリフレッシュ方法はありますか?
趣味はテニスとお酒です。テニスは学生時代から続けており、社会人になってからも社内外の大会に参加しています。お酒は1人でも楽しむことが多く、リフレッシュや考えを整理する時間になっています。

