株式会社RAYVEN 代表取締役 鈴山 佳宏 氏
全員がエンジニアであること、そして、AIを徹底的に活用すること。この2つを武器に、受託開発と自社プロダクトの両輪で成長を続けるスタートアップが大阪にあります。医療現場で非効率なシステムに直面した経験から起業を決意した鈴山代表は、東京一極集中に抗いながら、大阪発のAIユニコーンを本気で目指しています。少数精鋭でありながら圧倒的なスピードと実行力を誇る同社の歩みと展望を伺いました。
目次
AIを駆使しながらスピード感ある事業を
——御社の事業内容について教えてください。
現在、事業の柱は「受託開発」と「自社プロダクト開発」の二軸です。とくに自社プロダクトは、AIを活用した開発支援ツールや医療教育プラットフォームなど多岐にわたります。強みは「メンバー全員がエンジニア」である点に加え、「AIを前提にした開発体制」を整えていることです。
開発現場では、すでにコードの40〜50%をAIが自動生成。これにより従来の数分の一の工数で開発を完結できます。案件によっては1人のエンジニアで中規模プロジェクトを回せるほどの効率性を実現しており、クライアントからはスピード感とコストパフォーマンスで高い評価を得ています。
「なぜ?」という強い疑問が起業を意識するきっかけに
——起業を目指すきっかけは何だったのでしょうか?
私が起業を志したきっかけは、大学時代の経験でした。当時からアプリ開発に携わっていましたが、卒業後は診療放射線技師として病院に勤務しました。そこで直面したのは、非効率なシステムと現場の負担でした。日々の業務に追われながら「なぜこんなに使いづらいのか」「もっと改善できるのではないか」と感じたことが出発点でした。
副業として病院向けの業務効率化ツールを開発したところ、現場からは大きな反響がありました。「外からなら医療現場をもっと良くできるのではないか」と確信し、起業を決断しました。
少数精鋭でスピーディーな対応を
——社員や組織づくりで意識していることはありますか?
現在の体制は、代表と役員の2名を中心に、業務委託メンバー3名を加えた小規模なチーム。案件によっては最大10名規模に拡大することもありますが、基本は少数精鋭です。
全員がエンジニアとして手を動かせるため、意思決定から実行までのスピードが圧倒的に速いのも特徴です。開発体制の柔軟さも強みであり、外部パートナーを巻き込みながら効率的に成果を上げています。
「少人数でユニコーン規模」を実現したい
——今後の展望についてお聞かせください。
短期的な目標は、自社AIプロダクトの強化と資金調達の加速させること。中期的には「大阪を代表するAI企業」として地位を確立することを掲げています。東京一極集中が進む中で、あえて大阪から発信する意義を強調する。「スタートアップ=東京」という構図に風穴を開けたいと思っています。
さらに長期的なビジョンとして、「少人数でユニコーン規模」を実現することを本気で見据えています。多くの人員を抱えることが必ずしも正解ではない時代に、最小のチームで最大のインパクトを生み出すことこそが目指す姿です。
自分が一番手を動かすことが大切
——経営者として強く意識していることがあれば、ぜひ教えてください。
経営者として大切にしているのは「自分が一番手を動かす」という姿勢です。メンバー全員がエンジニアだからこそ、代表自らが率先して開発や営業に携わり、背中を見せることを意識しています。「トップが手を動かす組織は強い」と語り、現場感覚を失わない経営を心がけています。
才能がなくても、勇気で未来が変わる
——最後に、読者・ビジネスパーソンへメッセージをお願いします。
挑戦をためらう人に伝えたいのは、特別な才能がなくても一歩を踏み出せるということ。AIやテクノロジーを味方につけ、工夫を重ねれば、少人数でも大きな挑戦はできる。華やかさよりも現実的な努力を重ねることで、必ず未来は切り拓けます。

