一般社団法人Social Eight 代表理事 松尾 礼 氏
地域社会の課題解決と次世代教育に挑む一般社団法人Social Eight。代表理事の松尾氏は、ハイブリッドワーカーとして、大手生命保険会社で社会貢献活動をリードした経験を活かし、姫路を拠点に多様なプロジェクトを展開しています。設立の背景や具体的な取り組み、そして未来への展望について伺いました。
目次
「城育」を通して地域人材を育成する
——現在、Social Eightではどのような活動をされていますか?
私たちの取り組みは、教育、子育て支援、ジェンダー平等、健康・スポーツ、ICT 活用、ライフプラン支援、観光振興、産業振興という8つのテーマに整理しています。これは、私が前職で自治体と結んだ包括連携協定の内容が8項目に分かれていたことに由来しています。
その中でも特に力を入れているのが教育分野です。代表的なのが「城育(しろいく)」というプログラム。世界遺産・姫路城をモデルに、持続可能性を学びながら地域人材を育成する取り組みです。家庭学習を中心にしている子どもたちやその保護者も参加できる講座を用意し、毎年16テーマを無償で提供しています。
多様な人や企業が連携する仕組みが必要
——一般社団法人設立の背景について教えてください。
私は大手生命保険会社で社会貢献のプロジェクトを担当していました。2018年にスタートした地域貢献の取り組みが姫路を対象にしていたのですが、この場所は私の故郷であり、当時、社長を含む兵庫県人会が発端となりました。
最初は女性活躍推進の「Sakuraプロジェクト」をリードし、その後、地域社会に特化した活動に展開しました。自治体と包括連携協定を結び、本社の企画力と地域の機動力を掛け合わせることで、多様な取り組みを実現できました。
ただ、企業の立場だけでは限界があると感じました。1社だけで資金を投じ続けるのは持続性に欠けるし、もっと多様な人や企業が連携する仕組みが必要だと考えるようになりました。そんな中、2021年に副業が解禁されたタイミングでSocial Eightを設立しました。
人と人とのご縁に支えられて
——現在の組織体制はどんな形ですか?
設立当初は私を含め、弁護士、税理士、同級生などご縁のある仲間数人でスタートしました。現在は理事や幹事に加え、賛同してくれる共創パートナー企業やメンバー会員とともに活動しています。
「共創パートナー」は、単なる協賛ではなく、企画段階から一緒に考え取り組む存在です。教育プログラムの設計から子育て支援まで、多様なテーマに応じて企業や団体と協力しながら進めています。
事業をさらに深く、そして無限大の広がりを
——今後取り組んでいきたいことは何ですか?
これからの展望としては、まずは現在取り組んでいる事業をさらに深化させ、確実に社会に根付かせていくことが第一歩だと考えています。目先の売上や短期的な成果だけではなく、中長期的に持続可能な仕組みを築くことに重きを置いています。
引き続き教育を軸に据えつつ、地域社会に根ざしたプロジェクトを展開していきたいです。とくに「城育」は、文部科学省からの評価もいただき、商標登録も済ませています。その中の城育~地域探求~から生まれた「漫画・姫路ゆかりの偉人たち」は、シビックプライドの醸成となることを願っています。また、昨今では、高校生と企業の協力によるイノベーションとして、未来の価値創造に向けた取組にも注力しています。
姫路だけでなく、他地域のモデルケースになれる可能性があると考えています。また、SDGsの観点からも、企業や行政、地域住民が一体となって課題解決に挑む仕組みを広げていきたいです。
プライベートの時間も活動を
——お仕事以外ではどんなことに時間を使っていますか?
やはり地域とのつながりが多いので、プライベートも活動に近い部分はあります。ただ、故郷である姫路の文化や自然に触れることがリフレッシュになっていますね。
多様な力があって初めて実現できる世界がある
——最後に、読者へのメッセージをお願いします。
地域や教育の課題は、一人の力や一つの企業では解決できません。多様な人や組織が力を合わせてこそ、持続可能な社会が実現できると信じています。Social Eightの活動に共感いただける方がいれば、ぜひ一緒に取り組んでいければ嬉しいです。

