株式会社SNOOZE 代表取締役 諸星 亮輔 氏
「サウナは単なるリラクゼーションではなく、体験価値を生み出す舞台です」——こう語るのは、株式会社SNOOZEの諸星氏。自身の芸人としてのキャリアとサウナ愛を掛け合わせ、独自のビジネスを展開しています。彼が手掛けるのは、サウナ用具の卸販売とアウフグースのプロチーム運営で、全国の施設にユニークな価値を届けています。今回は事業の背景、強み、創業の経緯、そして諸星氏自身のキャリアの歩みについて伺いました。
サウナ業界に新たな流れ
——事業概要を教えていただけますか?
私たちはヴィヒタジャパンとして、サウナ用具の製造・販売、そしてアウフグースマスターの派遣を行っています。設立は2018年で、東京を拠点に全国4拠点で事業を展開しています。従業員は約10名ですが、契約している個人事業主に仕事を任せることで通常の企業に比べてコストを約3分の1削減できる点も特徴です。この規模とフレキシブルな組織体制により、急な依頼や繁忙期にも柔軟に対応できる強みがあります。
ヴィヒタを中心に積極的に事業を展開
——具体的な事業内容について教えてください。
事業は大きく分けて2つです。ヴィヒタやアロマ、入浴剤などサウナ用品の卸販売、そして公営施設やホテル、サウナ施設向けに商品を提供しています。とくに「ヴィヒタ」はシラカバの枝を束ねたもので、サウナ内で使われるアイテムです。サウナ室での香りや触感を通じて、利用者にリラクゼーションと新しい体験を提供します。
アウフグースマスターは、サウナ室内で特定のタオルパフォーマンスと香りを駆使して熱や風の体験を提供する専門職です。私たちは全国の施設にチームを派遣し、利用者に“非日常の癒し”を届けています。イベント形式の演出も行うことで、サウナ体験をより印象深いものにしています。
プロフェッショナルが最大の強みに
——どちらの事業が中心ですか?
売上規模はほぼ同じです。ヴィヒタの卸販売は珍しい取り組みで、業界内でも認知度が高く、アウフグースとの組み合わせで相乗効果を生んでいます。たとえば、ヴィヒタを購入した施設からアウフグースの依頼が来ることもありますし、その逆もあります。両方を組み合わせることで、業界内で独自のポジションを築けているのです。
他社と比べて、私は業界内で「プロ」として認知されている点が強みです。たとえば、ヴィヒタを扱うことで施設運営者から信頼を得られ、その後アウフグース派遣の相談につながることもあります。単に商品を売るだけではなく、施設が求める体験価値を提案できる点が差別化ポイントです。
さらに、私は海外研修や現地での修行を通じて、ラトビアやリトアニアなど本場のサウナ文化を学び、日本に紹介しています。単なる輸入や販売にとどまらず、最新の文化や技術を取り入れることで、利用者に“ここでしか体験できない価値”を提供できるのも大きな強みです。
異色の経歴から経営者として成功するまで
——創業のきっかけは何ですか?
私は20歳からお笑い芸人として活動しており、収入が安定しない中でサウナ施設でアルバイトを始めました。そこで、施設運営の課題や利用者のニーズに直面する中で、サウナ文化の奥深さに魅了されました。
あるとき、サウナイベントでヴィヒタを使いたくなったのですが、国内では販売しているところがほとんどありませんでした。この希少性に気付き、海外から調達して自分で販売を始めたのが創業の原点です。
舞台で培ったコミュニケーション力や空気感を読む力は、施設との関係構築や商品提案、アウフグース指導に直結しています。芸人としての経験とサウナ事業を融合させることで、他にはない価値提供が可能になっています。
国内外の架け橋として羽ばたきたい
——今後のビジョンは?
ヴィヒタとアウフグースを軸に、サウナ文化の魅力をより多くの人に届けたいです。単なる商品の販売や派遣にとどまらず、施設運営のサポートやイベント企画、教育プログラムなども展開していく予定です。最終的には、国内外のサウナ文化の架け橋として、利用者にとって新しい体験価値を創出したいと考えています。また、弊社での事業内容と今まで学んだことや経験を全て表現する「サウナ・温浴施設」を作り、新しい風をおこしていきたいです。

