Luvir Consulting株式会社 代表取締役 中川 裕貴氏
人と組織の可能性を引き出す「伴走型コンサルティング」を掲げるLuvir Consulting株式会社。戦略・組織・人事の3領域を軸に、ビジネスの上流から現場までを横断的に支援しています。代表の中川裕貴さんは、「人と組織に灯を掲げたい」と語り、従業員の主体性を信じる経営で独自の文化を築いています。今回は、その経営哲学や今後の展望について伺いました。
目次
戦略・組織・人事を一体化した“伴走型コンサルティング”とは
――現在の事業内容と理念について教えてください。
当社は大阪と東京に拠点を構え、戦略・組織・人事の3領域を中心にコンサルティング事業を展開しています。社員は23名で、デロイトやKPMGなどの大手コンサルティングファーム出身者が多く在籍しており、上流の企画設計から実務の改善支援まで幅広く対応しています。
戦略面ではミッション・ビジョン・バリューの策定や営業戦略の立案を行い、組織面では合併・分割時のPMI(統合作業)や制度設計を支援。人事領域では中期人事戦略や人材ポートフォリオ設計など、企業成長を支える基盤づくりを行っています。
特徴は、論理的な分析に加えて「行動変容につなげるコンサルティング」を大切にしていること。
課題に対して打ち手を提示するだけでなく、クライアントと徹底的に議論を重ね、納得感のある結論を共に導くスタイルを貫いています。
“人を変える”のではなく“引き出す”――経営者としての原点
――起業の経緯や大切にしている価値観をお聞かせください。
デロイトで人事コンサルタントを経験した後、2019年にLuvir Consultingを設立しました。
独立前に学習塾を経営していた経験があり、当時から「人の能力に大差はなく、熱量や覚悟次第で変わる」ということを強く感じていました。偏差値40台の生徒でも、学ぶ意義を見出せば目の色が変わる。その体験が今の組織づくりにもつながっています。
創業当初は成果を求めるあまり、指示型のマネジメントをしてしまい、社員が萎縮した時期もあり12人中8人が退職するという危機的な時期もありました。そこから学んだのは「人を変えるのではなく、引き出す」ことの大切さです。今は社員の“Will(やりたいこと)”を丁寧に聞き取り、本人が成長を実感できるような環境づくりを心がけています。
自分ひとりでできることには限界があります。自分より経験もノウハウもあり頭の良い社員はたくさんいますし、自身の事業アイデアややりたいことを押し付けてその社員の才能を殺し、熱を削ぐよりもその社員の「やりたい」を引き上げてポテンシャルを開放する方がよっぽど会社にとってプラスになります。
だからこそ私は、「灯型マネジメント」と呼ぶスタイルを重視しています。社員一人ひとりの想いや意思を引き出し、それを実現する土壌を育てること――それが私の経営哲学です。
「会社は真剣な遊び場」社員の主体性を引き出す文化づくり
――社員の主体性を引き出すために取り組んでいることを教えてください。
当社では「会社は真剣な遊び場」という思想を掲げています。月に一度、全員が集まる「組織開発ミーティング」では“もっと良くするために何ができるか”を全員でディスカッションします。そこで社員が提案した制度やルールが、実際に会社の仕組みとして採用されることも多いです。
また、マーケティングラボや人材育成ラボ、新規事業開発ラボなど複数の「ラボ活動」を設け、社員が自発的に参加・提案できる場を整えています。新しいラボを自ら立ち上げることも可能で、実際にここから新規サービスのアイデアが生まれたこともあります。
ボトムアップで制度や文化をつくることが、社員の主体性を育て、組織の一体感を生んでいます。
3年後に向けた挑戦 “付加価値の進化”で生まれる新たな柱
――今後の事業展開について教えてください。
今後もコンサルティング事業を軸としながら、AIやM&A、ゲームなど新たな分野に付加価値を広げていきたいと考えています。既存事業に新しいサービスを付け加え、それが芽吹いてサービスとして独り立ちできるほどに成長したら、新たな柱として育てていく――そんな進化型の成長戦略を描いています。
3年後には売上を現在の3倍に拡大させることを目標に、案件の再現性向上と単価アップ、そして優秀な人材の採用に力を入れています。最終的には「人と組織に灯を掲げる」理念のもと、社員一人ひとりが自らの名前で仕事を得られる専門家集団を目指します。
トライアスロンが教えてくれた“やり抜く力”と誠実さ
――プライベートでのリフレッシュ方法を教えてください。
趣味はトライアスロンです。練習は正直つらいですが、途中で諦めずにゴールしたときの達成感は格別です。計画的に練習を積み上げ、本番で実力を発揮するには、日々の積み重ねと粘り強さが欠かせません。
経営も同じで、短期的な成果に一喜一憂するのではなく、長期的な視点で挑戦を続けることが大切だと感じています。最後まで走り抜く強さと誠実さを胸に、これからも人と組織の可能性を引き出す挑戦を続けていきます。