一般社団法人テツナグ 代表理事 若林 宏美 氏
子育て中の主婦から一転、東京での仕事を通じて「人と関わる楽しさ」に目覚めた若林氏。現在は地元・高槻市を拠点に女性や学生のキャリア支援を行う一般社団法人テツナグを主宰しています。キャリアコンサルティングから採用支援まで「人をつなぐ」事業を展開する若林氏に、創業の経緯や原動力となっている想いを伺いました。
キャリア支援とSNS採用戦略
――御社の事業内容について教えてください。
テツナグでは、主に女性や学生のキャリア形成支援を行っています。小学生向けの「お仕事の話」から、大学生へのキャリア講義、子育てなどでブランクのある女性への個別カウンセリングなど幅広く対応しています。
また、企業向けに採用ブランディング、特にSNSを使った採用活動のアドバイスなども行っています。
――学生向けには無料で相談を行っていると伺いました。
大学生向けの就職相談は基本的にすべて無料で受けています。これは、有料の就活塾がどれも高額で、それが払えないご家庭のお子さんや、高額を払ったのに結果が出なかったときの落ち込みを考えてのことです。
私は、お金をいただくのは企業様からと決めているんです。学生のリアルな悩みを聞くカウンセリング内容は企業向けのSNS採用戦略にも活かせますし、今後中小企業の求人倍率が上がっていく中で、そちらからの収益を上げることで学生さんたちを助けられればいいなと思っています。
「人と出会う楽しさ」に気づき創業
――創業の経緯を教えてください。
最初は専業主婦をしていて、自分の将来について何も考えていませんでした。でも、たまたま東京の一般社団法人でお仕事をする機会があり、それがすごく楽しかったんですよね。色々な人の取材などをさせていただく中で「人と関わる楽しさ」に気づいたんです。
離婚を機に地元・大阪へ戻ったあとはライターやイベント開催の仕事をしていたのですが、コロナ禍がありイベントはできなくなりました。その時に「人と人とのつながり」を大切にしたいなと思い、キャリアコンサルタントの資格をとりました。その後活動の軸をキャリア支援に移して、法人を立ち上げました。
――キャリアの中で印象的だった出来事はありますか。
就職活動が難航していた大学生の相談です。その方は発達障害があったのですが、何十社も落ちて、何度も泣いたりして、それで最後にやっと複数の内定がでたときは、本当に嬉しかったですね。
「会えてよかった」と思ってもらえる存在であるために
――お仕事をする上で大切にしている価値観を教えてください。
「業績を伸ばす」といった経営者的な意識は薄いかもしれません。それよりも「単純に、みんながキャリアのことを考えて幸せになったらいいな」といつも思っています。
――人の喜びが原動力ということでしょうか。
講座やカウンセリングを受けて「今日若林さんと会えてよかった」と思ってくれる人を少しでも増やしていきたいんですね。その人にとって良い影響を与えられる人間であること、そして、もらった感謝をまた別の人に返していきたいという、ご縁と感謝をベースにしたシンプルな生き方が、私の仕事の原動力です。
全国の小学生にキャリア教育を届ける
――新しく挑戦したいことはありますか。
今特に不足している全国の小学生へのキャリア教育を届けたいという夢があります。現在はまだ収益化が難しい領域ですが、子どもたちに世の中には多様な仕事があることを伝えたいんです。
――子どもたちにどのような話をしたいと思っていますか。
YouTuberや野球選手など目立つもの、お金を稼げそうなものだけでなく、例えば本作りには小説を書く作家さんだけでなく校正や印刷など多くの仕事が関わっていて、それぞれにそれを仕事とする職業があるんだということを伝えていきたいです。スポーツ選手になりたいと言っても、スポーツ選手の周りにはアスリートのマネジメントの人もいれば、スポーツメーカーのデザインや開発の人もいる。子どもたちがそうしたたくさんの仕事があることを知った上で、将来のことを考えられるようになれれば嬉しいなと思います。