株式会社MEKABU 代表取締役 株本 誉 氏
着実かつ誠実に、WEBマーケティング支援で地道に成果を積み重ねる株式会社MEKABUの株本代表。現在は岩手県の地方都市を拠点に、地域産業の活性化や雇用創出を目指すプロジェクトに挑戦中です。今回は事業展開や今後の展望、秘めたる想いについて伺いました。
これまでは広告運用を中心として
──まずは事業概要を教えてください。
株式会社MEKABUは、インターネット広告代理店として広告運用を中心に事業を展開しています。地味ではあるものの、「できること」と「できないこと」を明確に伝える誠実さを大事に、クライアントとの信頼関係を築くことに注力しています。
とくに人材業界や保険代理店を中心に、無形商材のリード獲得型ビジネスに強みがあります。リード獲得から営業やクロージングまでモニタリングすることで、クライアントの収益向上に貢献しています。
自分の信念のもと事業を形にしたい
──創業背景と独立の動機
会社員時代、自分の「正しい」と思う価値観が必ずしも会社の方向性と一致しないことを痛感しました。正しいと思うことをするためには事業責任者になろうという気持ちで、仕事に取り組んできました。しかし、立場が上がったときには、それに伴う責任を果たすため、今度は仲間に価値観とは一致しないであろうことを強いるようになったのです。仕方ないことだと割り切りながらも他の道を選べなかった自分の弱さです。「正しい」の反対は「間違い」ではなく、「別の正しさ」であると思っていますし、今もその会社をロールモデルにしています。そのうえで、「自分の信念における正しさを確かめてみたい」という思いが高まりました。当時、社外の仲間と構想中であった事業で起業に挑戦するか否か?と検討していたタイミングであったことからも、独立を決意したのです。その事業は残念ながらチームが解散しうまくいきませんでしたが、解散後も起業家として挑戦を続ける道を選びました。そこからひとりで法人化しました。
独立後は、広告運用だけでなく、クライアントの事業成長に寄与することを最優先に考える姿勢を貫いています。地味であっても確実な成果を出すこと、提案や運用報告において誠実であることが、事業哲学となっています。
この考え方で地方創生にも取り組んでいます。地味でも積み重ねることで地域経済や雇用の在り方を変革できると信じ、昔から地域に暮らす先輩方との関係づくりを大事にしています。
尊敬する仲間と働く
──現在の組織構成はどのような形ですか?
現在は、私と業務委託のエンジニア1名という最小体制で運営しています。仲間はWEBやクラウド関連で手を動かすことに長けた、最も尊敬するバックエンドエンジニアであり、私はマーケティング戦略の設計やクライアント折衝を担当しています。
営業経験をマーケティングに活かす
──事業の中で得意分野としているものはありますか?
MEKABUとしてこれまで取り組んできたものは、無形商材のリード獲得ビジネスが多いです。以下の2つが得意です。
人材業界:働くことに対する将来の不安を抱える顧客のリード獲得。転職後の未来を想像させる情報を届けることで、転職意思決定へと態度変容。
保険代理店:資産運用や老後に不安を抱える顧客のリード獲得。漠然とした不安が解消された未来を想像させる情報を届けることで、「保険を売られる」という後ろ向きな印象から「相談してみよう」という前向きな意思への転換。
私自身が営業を経験していることから、広告でリードを獲得した後の営業を想像できることに強みがあります。同時に顧客の行動を想像した上での広告設計を行うことで、成果につながる施策を提供できるのが大きな特徴です。
地方創生をこれからのテーマに
──今後の事業展開と3年後のビジョンがあれば、ぜひ教えてください。
地方創生を軸とした新規事業に挑戦しています。地方創生を社業にするつもりです。岩手県の人口7,000人規模の町に、私自身が移住して検証活動を進めています。
現在、「金銭報酬ではなく、貢献によるつながりを価値とする」というコンセプトの地方副業(プロボノ)サービスを試験運用しています。
副業をしたときに得られる対価が現物または体験であるのが特徴です。たとえば本業で都内のECサイト運営会社に勤める方が、地方の農場のECサイトの運営業務改善を行います。その報酬として野菜を送ってもらえたり、観光で遊びに行ったときにご飯をご馳走してもらえたりします。このような関係を都会で働くビジネスパーソンと地方事業者の間で築くのがこのサービスです。
単発の企画とするのではなく、ここから継続的に新規事業を作り、地域産業の活性化や雇用創出、そして地域企業と連携した「地域の総合商社」構想の実現を目指しています。
これは町全体を一つの事業体として捉え、地域と協力しながら3年かけて経済循環を作り出す計画です。将来的には、このモデルを成功事例として全国に展開し、地域課題解決と地方創生の両立を目指しています。
これから起業を目指す方たちに私からお伝えできることは、兎にも角にも地に足をつけ、現場を大切に。自戒も兼ねて、焦らないこと。そして、起業するなら何ごとも実際に自分でやってみること。地味でも誠実に、一歩ずつ着実に進むことが、結果的に信頼と成果を生み、事業の拡大につながると私は信じています。

